恐らくですが。
原宿近辺の喫茶店にいたら、お母さんと中学生くらいの娘の2人連れに声をかけられた。
お母さん
あのー、すいません、あのー、ですよね?ねぇ?ですよね?ね?ね?
私
は、はぁ?
お母さん
いつも見てます、本当に面白いですよね!
私
あ、ありがとうございます。
たぶんだが、この人たち、原宿に親子で遊びに来て、原宿って言ったら有名人いっぱいいるんでしょう?ってアンテナ張り巡らせて私を見つけたのだろう。それにしても物凄い感度だ。よりによって私を見つけ出すだなんて。
お母さん
握手して貰っても良いですか?
私
もちろんです!
私はにっこり笑って親子に両手で握手をした。親子はお会計を済ませ店を出て行った。
それから10分後。
あのー、とまた声がする、見るとさっきの親子だ。
お母さん
何度もごめんなさいね、よかったらサインして貰っても良いですか?この子も私も凄いお笑い好きで。
私
そうなんですか、わざわざ色紙買って来たんですね、もちろん良いですよ。
街で見ず知らずの人にサインを求められるだなんて幸せな事だ。私なんかに会って嬉しく思って貰うだなんて、恐縮です。
これがきっと2人の良い思い出になれば良い。そう思い、私は意気揚々とサインを書こうとお母さんに渡された新品のマジックペンの蓋を開けてサインを書こうとした。
が、サインが思い浮かばない。サインを描くのが久しぶり過ぎてサインを思い出せないのだ。
私
えへへ、いやー、サイン書くの久しぶりなんでちょっと思い出しますねぇ
お母さん
それにしてもびっくりしましたよー。まさか、こんなところにいるだなんて。やっぱりこの辺って有名な人がいっぱいいるんですねー
私
そんな、有名だなんて。僕なんて本当まだまだですからもっと頑張りますね!
お母さん
この子もね、本当お笑い大好きで、最近本当ハマっちゃってて。私もつられて見てるウチに好きになっちゃってねぇ
私
へぇ、そうなんですねぇ
しかしながら、自分で言うのもアレだが女子中学生くらいでお笑いが好きで、ハブにハマる?どんなセンスしてんだ!?おい!しかも親子で!変わってるね、だいぶ変わってる親子だね、あんた達ってさぁー、でも嬉しい!やってて良かったよ、ありがとう!
私は一向に思い出せない自分の旧サインをこれを機に改める事にして、いつもより堂々と太字でデカデカと色紙の真ん中に
「ハブサービス」
と描いた。
更に日付と宛名も聞いて、"原宿にて"なんて添えて、ペンをお母さんに色紙を娘に渡して、再び二人に求められてもないのに握手をした。
娘が手にした色紙を見て、
あ、ありが…とう…ござ…います。
私
いえいえ
お母さん
いやー、本当すいませんねー
私
とんでもないです。
サイン色紙をチラッと見たお母さん。二人で目を見合わせてから、
あ、ありが…とうござい…まし…た。
私
(ん?え?あれ?)
店をそそくさと出て行く二人。
え?どうしたんだろうか、急に。
なんか嫌なことでもしたんだろうか?
もしかして色紙に鼻くそ付いてたとか?
え?けど鼻糞ほじったり、まさか人前でやってないよな?
え?でも最近無意識でほじるようになっちゃってるのかも?え?え?え?
もやもやした。凄くもやもやした。
そして。
あれから半年とちょっとが経った。
あのもやもやが解けた気がする、確定ではないが。
今日テレビでネタをやっているゾフィーの上田くんを見たのだ。
これって俺じゃないのか!?
いや、もし本人もそしてファンの皆様も気を悪くしてしまったら申し訳ない!しかし、似ている気がするのだ。
ゾフィーならば知名度も充分に私よりあるだろう、そしてゾフィー上田くんだったらなら、女子中学生とそのお母さんがファンになってもおかしくない、いやそれが正常だ。
恐らくですが。
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