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"輝き"を灯し続ける先にある"永遠"ーー「Eternal Light」考察

◆はじめに

みなさまこんにちは、ハバネロです。
本記事は、映画「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編第1章」公開に向けたカウントダウン企画「 #これが私のトキメキ 」の一環として執筆しました。
こちらは完結編の劇場公開に向けて、それぞれの形で虹ヶ咲への「大好き」を叫ぶ、そんな企画です。
参加方法はハッシュタグをつけてX(Twitter)に投稿するだけ!
それ以外特に縛りはありませんので、これを読んでいるあなたも一緒にに大好きを叫んでみませんか?

今回、リレーブログ企画にお呼びいただいた本企画の主催・わらみんさん(@WaraminLiver123)には、この場を借りて改めてお礼をお伝えします。本当にありがとうございます!

すいりんさんからバトンを受け取った私が担当させていただくのは、DiverDivaのユニット曲「Eternal Light」です。
果林推しの私にとっては大変嬉しく、かつ責任ある役目を任せていただきました。しっかりと全うさせていただきたく思います。

◆愛と果林、それぞれにとっての「you」

「Eternal Light」が初めて披露されたのは、テレビアニメ二期4話「アイ Love Triangle」の劇中でした。この回では愛の幼馴染である美里さんが登場し、愛と果林の3人を交えてストーリーが展開します。楽曲とストーリーの文脈は深く繋がっていますので、ここで少し内容を振り返っておきます。
幼少期、今より引っ込み思案だった愛にとって、美里さんはトキメキや輝きを与えてくれる大切な存在でした。しかし、スクールアイドルとして活躍するようになった愛の眩しさに、いつしか美里さんは複雑な感情を抱くようになります。自分が知らず美里さんを傷つけていた。その事実を知った愛はスクールアイドルをやめるとまで言い出しますが、果林の叱咤激励を受けて再び奮起。二人でDiverDivaを結成し、美里さんをライブに招待します。
そうしてステージで披露されたこの曲は、ストーリーの展開と歌詞を見れば、愛から美里さんへ向けられる感情が大きく反映されているのは明らかでしょう。

One million lights この世界で
教えてくれたのは That’s you

DiverDiva「Eternal Light」より

この曲の1番Aメロはこのフレーズから始まっています。愛にとって、歌詞に出てくる「One million lights (百万の光)」を教えてくれた「you」とは、美里さんのことだと素直に解釈できます。
しかし、愛の想いだけが乗っているならば、極論この曲は彼女のソロでも構わないわけです。したがって、DiverDivaというユニットの楽曲である以上は、そこに果林の想いも込められていると考えるのが自然だと思います。
そもそも上記の引用箇所を歌っているのは果林であり、彼女にとっても「you」にあたる誰かがいるはずです。

You rescued me
何度だって助けてくれたね
未来でも支えたい
だけど round and round 悔やんで

DiverDiva「Eternal Light」より

こちらの2番Aメロは「何度だって助けてくれたね」「だけど round and round 悔やんで」が果林パートです。
ここでアニメの劇中での果林の描写を思い返すと、意外にもメンバーに助けられている場面が多いことに気づきます。
一期5話での同好会加入に際しては、親友であるエマの導きがありました。お当番回の一期9話では、迷子になったところを偶然通りがかった侑たちに助けられています。ダイバーフェスでの出演に際しては、自身の緊張をメンバーに吐露し、激励のハイタッチを受けてからステージに立ちました。
二期11話では自身の抱く未来への漠然とした不安を彼方とエマに語り、それを受け入れ「イマ」に視点を移したことが、クライマックスの同好会1stライブの開催へ繋がっていきます。
振り返ってみれば、クールで自立した印象とは裏腹に、スクールアイドルとしての朝香果林は、メンバーに助けられながら歩いてきたことがよくわかると思います。

以上のことから、果林にとっての「you」とはスクールアイドル同好会のメンバーであるという解釈が成り立ちます。英語の「you」は「あなた」という単数形だけでなく「あなたたち」という複数形の意味もあるので、こうした解釈も問題なさそうです。また、果林にとって同好会の人間関係がどれだけ大切なものかは、一期9話の冒頭で語られた「私を受け入れてくれた大切な場所」という言葉が物語っています。
その中で、「あなたたち=同好会メンバー」の代表者として果林からのエールを受け取るのが今回の愛の役割であり、「悔やんで」いる姿を見せているのも愛ということになります。
もちろん、愛の視点に立てば「悔やんで」いるのは美里さんでしょう。
ただし、果林も美里さんが何か悩みを抱えていることはそれとなく察していました。したがって、厳密に解釈すれば「愛の背中を押すことで間接的に美里さんの悩みに寄り添う」というのが果林のスタンスと言えそうです。

果林からは愛と同好会のみんなへ、そして愛からは美里さんへ。
輝きを与えてくれた「あなた」へ向けたそれぞれの想いがこめられているのが「Eternal Light」という楽曲なのです。

◆あなたをもう一度、輝きの方へ

ここからは、「Eternal Lighjt」に込められた想いがどのようなものか、もう少し考えていきたいと思います。

再び歌詞に目を向けてみると、全編を通して「君」に向けた感謝と、その夢を応援したいというまっすぐな気持ちが表現されています

Let’s go! Step into the new world
偽りのない姿見せて
手を伸ばしてみてよ ほら
You’re the only one 素敵だよ
Let’s go! Step into the new world
ねえ、気づいて欲しい

DiverDiva「Eternal Light」より

中でも楽曲の顔であるサビのフレーズからは、そのことが特にはっきりと伺えます。
愛の視点に立てば、過去への感謝を伝えつつ、今は楽しい気持ちを失ってしまった美里さんの背中を押したい。
果林の視点に立てば、美里さんのことで落ち込んでいた愛を励まし、もういちどスクールアイドルとして奮起してもらいたい。
歌詞に沿って表現するなら、「君が持っている輝きや魅力にもう一度向き合ってほしい、そして新しい世界に踏み出してほしい」といったところでしょうか。

「愛さんの中には、小さい頃から貰ってきた、たくさんの楽しいがあるから!それを今からみんなにあげる!」

TVアニメ二期4話「アイ Love Triangle」より

「誰も傷つけないなんて、そんなことできる人いないわ。それでも、太陽みたいにみんなを照らせる笑顔が、あなたにはあるでしょ?」

TVアニメ二期4話「アイ Love Triangle」より

劇中の台詞をそれぞれ引用しましたが、二人の思いはこの言葉のなかでそれぞれ形を変えて語られています。

特に、果林のセリフは、DiverDiva結成の契機となる重要なシーンで発されたものです。このシーンでは、光と影の効果的な演出に唸らされました。

美里さんのことで落ち込んでいる愛は、最初は影の側に立っています。ところが、光の側に立っている果林が愛を煽るような形で鼓舞したことで、愛は自ら影を飛び出し、光の方へと踏み出します。

ここで、優しさで寄り添ったり真っ直ぐな情熱をぶつけるのではなく、あえて対抗心を煽るような叱咤激励ができるのは、同好会メンバーにおける果林の無二の資質だと思います。
このような二人のライバル意識によって駆動しているのがDiverDivaというユニットの特徴であり、ここでもそれは存分に表現されています。
話を戻すと、宮下愛という「太陽」が沈んだとき対抗心を煽るような形で再起を促すことができる存在は、朝香果林しかいないと思います。
「Eternal Light」そのものからは少し離れますが、愛と果林、DiverDivaは「太陽」と「月」の対比が意識されているユニットだと思います。特に、3rdシングルは表題曲が「Shadow Effect」、カップリングが「Kiss the Sun」と見事に裏表で太陽と月の構成をとっていました。
太陽が沈んで夜になった時、空を照らすのは月の役割です。
そしてまた、月は太陽の光を反射して輝く存在です。
愛が自ら輝く「太陽」なのは「サイコーハート」の歌詞からも明らかであり、愛を含めた同好会メンバーから輝きを受け取って、自らもスクールアイドルとして輝く果林が「月」と言えます。
太陽が沈めば夜空には月が輝きますが、一方で月が輝くためには太陽の光が必要不可欠です。
この相補的な関係性があるからこそ、DiverDivaは宮下愛と朝香果林の二人のユニットとして成立しているのです。
先ほどのライバル関係と合わせて、虹ヶ咲のテーマである「仲間でライバル」を体現したユニットと言えるでしょう。

このシーンをアニメにおけるユニット結成の契機として描いたことは、そうした背景も相まって説得力のあるものでした。ここで果林が愛を影から光の方へと連れ出してくれたからこそ、愛は「Eternal Light」をライブで美里さんに向けて披露する決心がついたはずです。改めて、「Eternal Light」はDiverDivaの二人だからこそ歌えた曲であるということは、こうした描写からも読み取れます。

◆連鎖し、灯し続ける永遠の輝き

先ほどのシーンを果林サイドから見ると、愛をはじめとした同好会のメンバーが自分に与えてくれた輝きやトキメキを、今度は愛にもう一度手渡すような形になります。
先ほど引用した愛のセリフを借りれば、「楽しい」は、「みんなにあげる」ことができるのです。「楽しい」を「輝き」や「トキメキ」と言い換えてもよいでしょう。
こうした輝き/トキメキの連鎖は、アニガサキの劇中で何度も繰り返し描写されてきました。
この連鎖を、今度は愛を軸にして振り返ってみます。
幼い頃、美里さんに輝き/トキメキを教えられた愛。
そんな彼女が璃奈に手を差し伸べ、同好会とのつながりが生まれ、一期6話では表情がうまく作れないことで悩む璃奈の助けになりました。
そして二期9話では、今度は璃奈がランジュのための曲作りに悩むミアの手を取ります。そしてミアはランジュと向き合う決意を固め、栞子も含めた二人、そして同好会のメンバー全員がランジュを受け入れ、改めて絆を結ぶことになりました。
これは、虹ヶ咲のテーマの一つである「一人だけど、独りじゃない」そのものではないでしょうか。
誰かがくれた輝きやトキメキに導かれ、また別の誰かが一歩を踏み出す姿は、一期1話の侑と歩夢に始まりOVAのアイラとペネロペに至るまで、一貫して描かれ続けてきました。
加えて、「Eternal Light」が披露された二期4話では、誰かの輝きが失われたとしても、別の誰かがそれを再び灯してくれるということが強調されています。果林が愛を激励するシーンもそうですし、配信ライブの準備を手伝う璃奈が「愛さんの役に立てて嬉しい」と言っているのも象徴的です。ここでは、かつて愛が果林や璃奈にあげた「楽しい」が、回り回って愛自身の助けになっているのです。
それは、一期13話にて「夢がここから始まるよ」を披露する際のMCで、3年生のメンバーが語った言葉とも繋がる要素です。

「一人で夢を追う事は簡単ではなくて、それぞれが、それぞれの壁にぶつかったけど…」
「その度に誰かが誰かを支えて、今日、遂に大きな夢を叶える事が出来ました」
「私達は、一人だけど、独りじゃない!」

TVアニメ一期13話「みんなの夢を叶える場所」より

ここで、「Eternal Light」という曲名に視点を移してみましょう。
直訳すると「永遠の光」となりますが、その「永遠」とは、ここまで述べてきたような「誰かがまた別の誰かに輝きを灯す」という連鎖によって成し遂げられるのだと思います。輝きやトキメキは、一度失われたとしても誰かの手でもう一度灯すことが出来るのです。果林に鼓舞された愛が再び美里さんを勇気づけたことも、アニメで一貫して描かれてきた「独りだけど、一人じゃない」というテーマも、そこに集約されます。
また、そうやって灯され続けた輝きは、今という時間を飛び越えて、過去や未来とも接続していきます。そうした縦の時間軸や横の人間関係が繋がって何かを生み出していくのは、虹ヶ咲に限った話ではありません。
憧れから出発し「スクールアイドルとして伝説を作った」こと。
大会で優勝し「学校の名を残した」こと。
新しい学校の歴史を作りながら「絆を結んで強くしていく」こと。
紡がれてきた伝統を大切にしながら「今を生きていく」こと。
お台場だけでなく、秋葉原で、沼津で、原宿で、金沢で、あるいはまた別の場所で。そうした輝きの連鎖は今もなお生まれ続けているはずです。

確かなキズナ感じてる
どこまでも時をこえて.. Eternal Light

DiverDiva「Eternal Light」より

そう考えると、「キズナ」が「どこまでも時をこえて」いくことで"永遠の光"になるというフレーズは、とてもスクールアイドルらしい表現だと、私は思います。

◆そして輝きは、わたしたちのもとへ

そうして二人が「Eternal Light」に込めた想いを受け取った美里さんは、「海外で働いてみたい」というかつての夢に向かって、再び動き出します。
厳密に定義すれば、美里さんはスクールアイドルではなく「スクールアイドルを応援する人」なわけですが、これはまさに今こうして記事を書いている私や、これを読んでくれているあなたの立ち位置そのものではないでしょうか。

輝きやトキメキを追いかけることが出来るのは、今まさに青春の渦中にある彼女たちスクールアイドルだからこそ許される特権である。
……
私はかつて、そんな風に思っていました。
大人になればなるほど、いろいろなものに縛られて、「やってみたい」という純粋な意志で行動することは確かに難しくなります。故に、何でも出来る十代の彼女たちだからこそ、トキメキや輝きを追いかけることができる。それはある意味では事実なのかもしれません。
でも、「Eternal Light」という楽曲と、それに触発されて再び動き出した美里さんの姿を見ていると、決してそれだけではないと思えるようになりました。
やってみたいことがあるなら、我慢しなくたって大丈夫。
自由な自分を縛り付ける必要なんてないのです。

Let’s go! Step into the new world
自由な自分迎えにゆこう
駆け出せば止まらない ほら
Just keep on dreaming 大丈夫だよ

DiverDiva「Eternal Light」より

もともと私自身も、アニメ一期9話をたまたまオススメされて見た結果、朝香果林というスクールアイドルと虹ヶ咲という"新しい世界"に踏み出すことになりました。そうして今、この文章を書いている私がいます。
だからこそ、果林に触発されて自らの夢に向かい合う美里さんの姿は、どこか自分のことのように感じられました。
つまり、愛と果林が「Eternal Light」を通して届けたかった想いは、美里さんを通して画面の向こうにいる私たちにも届いているのです。

そしてその想いは、最終的にアニメ二期のラストを飾る侑の言葉ともリンクしていきます。

「――次は、あなたの番!」

TVアニメ二期13話「響け!ときめきーー。」より

スクスタやアニメ二期で重要なテーマとして語られた「ステージに立つ彼女たちだけでなく、今それぞれのトキメキを追いかける”あなた”もまたスクールアイドルである」という命題は、「Eternal Light」の中にも確かに息づいているのです。

つまり、「Eternal Light」はとても虹ヶ咲らしい楽曲であり、とてもスクールアイドルらしい楽曲だと言えます。「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」のアニメで披露された曲なんだから、当然といえば当然かもしれません。一方で、これだけ個性に溢れた楽曲やキャラクターを擁しながら、このような一貫したテーマ性が隅々まで浸透していることもまた、虹ヶ咲というコンテンツの魅力の一端であると思います。
メンバーひとりひとり、楽曲ひとつひとつで表現の仕方は違っても、そこには確かな繋がりが存在しているのです。

◆おわりに

ここまで「Eternal Light」という楽曲について語らせていただきました。

先ほど書いた通り、私の虹ヶ咲との関わりはアニメ一期9話を見たことから始まりました。あのとき果林に感じたトキメキが、今も私の原動力になっています。
そして二期では、一期の時は部分的にしかできなかったリアルタイムでアニメを追いかける楽しさを体験しました。
さらにOVAでは、エンドロールの参加企画「がんばったこと&がんばりたいこと発表会」にメッセージが採用されるという望外の喜びまで体験させてもらえました。
他にも、ライブに行ったり、お台場を訪れたり、同じように虹ヶ咲を大好きな人達とのつながりが増えていったり、楽しいことがたくさんありました。
そして今、こうして劇場版公開を控えてカウントダウンブログ企画にも参加させていただいています。

……改めて振り返ると、この四年ほどの間に虹ヶ咲が私に与えてくれたものは、思った以上にたくさんありました。
劇場版の公開に際して、「完結編」という言葉に不安や寂しさを感じるのも確かです。
でも、「今度は何を見せてくれるだろう、何を与えてくれるだろう」という期待のほうが、私の中ではずっとずっと大きいです。
沖縄でどんな出会いがあって、どんな物語が展開するんだろう?
久しぶりに「仲間でライバル」な虹ヶ咲が存分に見られるの、楽しみ!
劇中曲のCDが何形態もあるってことはソロ曲たくさんあるってこと!?やばない???
ってことは67分の尺にどんだけ内容が詰まってるんだ?きっと何回も見たくなるやつだこれ……
色々考えてると、楽しみすぎて夜しか寝れないぜ~!!!

このままだとまとまらなさそうなので、そんなわくわくする気持ちも込めて、そろそろ次の走者の方にバトンをお渡ししたいと思います。
次の楽曲はA・ZU・NAの「Infinity!Our wings!!」。変幻自在のこの楽曲を、深い考察に定評のある黒鷺さんがどんな風に語ってくれるのでしょう。それも含めて楽しみです。ていうかこの企画、本当にどの記事も読み応えあって毎日楽しみなんですよね。
そんな中で、私の記事はちゃんとバトンをつなげていたでしょうか?
良ければ、感想などもハッシュタグをつけて投稿していただけると嬉しいです。
それでは、私ハバネロとはこのあたりでお別れです。ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。

ーー完結編第1章公開まであと14日。次の担当は黒鷺さんです。


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