5GにおけるMsg1送信までの手順

携帯電話(UE, User Equipment)はシグナリングメッセージを使って無線チャネルの設定をやり取りし、その設定に従って無線信号をやり取りして通信を行います。
ではUEが一番最初のメッセージ、いわゆるMsg1を送信するための設定はどうやって伝えるのか。このページではそのあたりについての概要をまとめています。

注意点として、自分もまだまだ勉強中なので適宜加筆修正していくことになると思います。間違いなどありましたらご指摘いただけると助かります。
また用語の詳しい説明は(気が向いたら)別の記事にしていくので、それまでは各自ググってください。

MIBのデコード

UEの電源が入れられたとき、UEはまずセルを探します。
セルを見つける方法は以前に見つかったセル情報を基に探すなど色々ノウハウがあるみたいなのですが、何にしろまずSS (Synchronization Signal)を探します。SSにはPSS (Primary Synchronization Signal)とSSS (Secondary Synchronization Signal)があります。
SSが見つかると、その近くにあるPBCH DMRS (DeModulation Reference Signal)を探します。
PBCH DMRSが見つかるとSS/PBCH Blockの位置がわかるため、それを基にPBCH (Physical Broadcast CHannel)を探して、その中にあるMIB (Master Information Block)をデコードします。

MIBの中にはSIB1 (System Information Block type1)を探すための情報や規制状態などが含まれています。
このセルが規制されている場合はこのセルでのサービスを受けることを諦めて別のセルを探しに行きます。規制されていなければMIBの情報をもとにSIB1を探しに行きます。

SIB1のデコード

SIB1を探すというのは、具体的にはまずCORESET 0 (COntrol REsource SET 0)に含まれるPDCCH (Physical Downlink Control CHannel)を探しに行きます。MIBの中にはCORESET 0の位置や大きさなどの情報が含まれているので、それを基にPDCCH DMRSを探し、PDCCH DMRSを基にPDCCHを探してデコードしていきます。

CORESET 0のPDCCHにはDCI (Downlink Control Information)が含まれています。このDCIはSIB1 (System Information Block type1)を含んだPDSCH (Physical Downlink Shared CHannel)の場所を示しているので、このDCIを基にPDSCH DMRSを探してPDSCHを見つけ、SIB1をデコードしていきます。

PLMN Selection

SIB1の中にはPLMN (Public Land Mobile Network)やCell Selectionに関する情報、他のSIBの情報、詳細な規制状態、セルのチャネル設定に関する情報などが含まれています。
PLMNはMCC (Mobile Country Code)とMNC (Mobile Network Code)からなり、それぞれ国コードと事業者コードを表します。そのためUEはPLMNを確認し、サービスを受けられる(契約している)PLMNでなければ別のセルを探しに行きます。

Cell Selection

サービスを受けられるPLMNであれば、次はサービスを受けられるセルかどうかを確認していきます。具体的にはCell Selectionに関する情報や規制情報などを確認していきます。
Cell Selectionに関する情報とは、大雑把に言ってしまえばそのセルの信号品質に関する情報です。UEまで届いた信号が弱すぎたりノイズに埋もれていたりすると正常な通信ができないため、その場合は別のセルを探しに行きます。
規制もされておらず信号品質にも問題がなければ、このセルと通信するための準備を行います。

Preamble送信

SIB1の中にはDownlink, UplinkのBWP (BandWidth Part)に関する情報が含まれています。
一番最初のメッセージを送信するためのBWPをInitial Uplink BWPと言い、そこで送信されるRACH (Random Access CHannel)に関する情報もここに含まれています。UEはこの情報に基づきRandom Access Preamble、つまりMsg1をセルに送信します。これがUEからセルに送信する一番最初のメッセージになります。以降、Random Access Response (Msg2), RRC Setup Request (Msg3)と続いていき、ようやくセルとの通信が開始されます。

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