RRC_IDLE状態とRRC_INACTIVE状態の動き

概要

RRC_IDLE状態とRRC_INACTIVE状態の処理はTS 38.304に定義されていて、大きく3段階に別れます。

(1) PLMN /SNPN selection
PLMNまたはSNPNを選択する。

(2) Cell selection / reselection
選択したPLMN/SNPNの中からsuitable cellを選択する。キャンプしていない状態からセルを選択するのがselectionで、キャンプしている状態からより良いセルを選択するのがreselection。

(3) Location registrationとRNA update
セルを選択した後に、必要に応じて位置登録処理(location registration)を行う。RRC_INACTIVE状態においてRNAが変わっていたらRNA updateを行う。

PLMN / SNPN selection

5.1より。
PLMN selectionではUEのサポートするNRバンドに応じてRF信号をスキャンして、信号の強いセルを(いくつか)見つけます。セルが見つかったらSIB1をデコードしてそこに含まれるPLMNを取り出します。その後はUEの設定(automatic, manual)に従ってPLMNを選択し、Cell Selectionへと移行します。
UEは以前に見つけたセル情報などを利用してPLMN Selectionを効率化することができます。このあたりのアルゴリズムは具体的には記載されておらず、各UEメーカーの独自性を出すことができるポイントのようです。

SNPN selectionの場合はPLMNの代わりにSNPNを用いて同じことが行われます。

Cell selection / reselection

Cell selectionはまだどのセルにもキャンプしていない状態でセルを探す機能のこと。Cell reselectionは、すでにどこかのセルにキャンプしていて、より良いセルを探す機能のこと。IDLE状態またはINACTIVE状態で自発的にセルを移動するという点ではどちらも同じですが、そのアルゴリズムは結構違いがあります。

Cell selection

5.2.3より。
Cell selectionではUEが対応しているバンドの電波をスキャンして一番強いチャネルを選択します。スキャンするときに過去の測定結果を利用することもあります。
見つかったチャネルの信号が十分な品質であればそのセル(suitable cell)にキャンプします。十分な品質のセルが見つからなければ、緊急呼をかけたりETWSを受信したりできる状態を維持しつつ、suitable cellを探し続けます。

Cell reselection

5.2.4より。
上に書いた通り、cell reselectionはより良いセルを探す機能です。セルの「良さ」は以下のような条件から決定されます。真面目に判定しようとすると結構複雑。

  • 信号の強さ

  • serving cellと同じ周波数か、同じRATか

  • 周波数やRATに割り振られた優先度

  • 微調整用のパラメータ各種

それと、無駄にセルを探すとバッテリーを消費してしまうため、serving cellの品質に問題がなければreselectionしない、などの処理も決められています。

Location Registration / RNA update

5.4より。
AS (Access Stratum)としてはTracking Area情報をNAS (Non Access Stratum)に上げるだけ。実際にはそれをトリガーとして、NASの要求に応じてあれこれメッセージのやり取りが行われます。

5.5より。
RNAの更新は周期的に行われたり新しいRNAに移ったときに行われます。

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