5月に読んだ青空文庫

今月から、青空文庫で読んだものをリスト化し、簡単な感想を書こうと思います。

橘外男『生不動』

懇意にしている芸妓と雪深い北海道の町を逃避行する男が、恐ろしい光景を目にする。

橘外男を読むのは三度目(初めて読んだのは『逗子物語』で、二度目は『棚田裁判長の怪死』)。
あまり馴染みのない作家だが、SFやホラーなど様々なジャンルを手がけたようだ。『橘外男海外伝奇集 人を呼ぶ湖』や『橘外男日本怪談集 蒲団』なども出版されているので、いつかは読んでみたい。

ところで、『生不動』の読み方なのだが、『せいふどう』かと思っていたら、『いきふどう』が正しいようで、少し驚いた。

宮城道雄『レコード夜話』

あの正月の音楽として有名な『春の海』という曲を作った宮城道雄の随筆。幼い頃に失明していたとは知らなかった。
音楽にもレコードにも詳しくないので、新鮮な気持ちで読むことができた。

古川緑波『色町洋食』

食に関する随筆で有名な食通、古川緑波の随筆である。結構彼の随筆は個人的に好きかもしれない。色町の芸妓。ハイカラな洋食。

古川緑波『駄パンその他』

武者小路実篤の文章が引用されているが、

……僕は勿体ないとか行儀が悪いとか言うので、たべたがらないものを無理に食べさすことにはあまり賛成ではなく、偏食はよくないと思うが、食慾が起らないものを無理に食べさす必要はないのではないかと思っている。食物を外にすてる方が不経済か、胃腑の中にすてる方が不経済か、僕にはわからない。……

武者小路実篤『孫達』

私は偏食でまあまあ苦労したので本当にその通りだと思う。

カレーパンが一個10円と書いてある。昭和の貨幣価値がよく分からないが、安いそうである。
今度パン屋に行ってカレーパンを買ってみようかな。

中谷宇吉郎『桃林堂の砂糖づけ』

物理学者による随筆。寺田寅彦(彼も青空文庫に作品があり、何度か読んだことがある)に師事していたらしい。

アメリカのシカゴにあるお菓子工場の会社の主人との対面。
桃林堂というのは、調べたところ、大阪の八尾市にあって、まだお店は続いているようだ。

いつかお菓子をここで買ってみたい。

芥川龍之介『芥川竜之介歌集』

芥川龍之介は俳句を作っていたことは知っていたが、まさか短歌も作っていたとは。文筆業におけるマルチな彼の才能には驚かされる。

『青空の抜粋室』さん、というアカウントが、X(旧Twitter)で

片恋のわが世さみしくヒヤシンスうすむらさきににほひそめけり

芥川竜之介歌集

というこの歌集の歌を紹介されていて、気になったので読んでみた。
短歌には明るくないが、歌集の中だとこの歌が一番好きかもしれない。

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