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愛しのモカ、ありがとう


13年以上一緒にいてくれた愛犬のモカが昨日旅立った

トイプードルの男の子

腎臓病だった


私がまだたしか小学生だったころ、突然うちにやってきた

初めて対面したのは当時岩手県で単身赴任してい父のアパート

父が最初に引き取ったその子を私は兄とふたりでドキドキしながらほぼ初めての新幹線で迎えに行った

真っ黒でかわいくてキーキー甲高い声で泣いている小さな生き物だった

こんな子犬を相手にしたこともなく、どう触れていいかもどう抱き上げていいかも何をあげていいかも分からず、でもただかわいくて幸せな気持ちだった

「トイプードルの飼い方」の本を家族みんなでたくさん読んだ

おきまりのお座り、お手、ふせ、待ては本にならって全て習得させた
加えてバーン、ごろんもお得意技だった

最初はみんなで「クロ〜」って呼んだ
将来的に白くなることを見越してシロって呼んでる人もいた
ほんとに白くなった

誰が名づけたのか忘れたけど最終的に「モカ」になった

結局モカって呼んだり、もかすって呼んだり、もちゃんって呼んだり、もたんって呼んだり、好き勝手呼んだ

最初はお留守番から帰ってくるとペットシーツをがじって食べてたり、ティッシュを食いちぎったり、私たちには訳の分からない行動で焦って病院に連れて行ったりした

私が居間で勉強していると必ず消しゴムを奪っていった
えんぴつにもたくさん歯型の跡をつけられて、隣の席の男子には私がかじって開けた穴だと嫌な誤解をされたこともある

モカがたくさん邪魔してくれたから嫌だったはずの勉強も今はいい思い出として残っている

幼少期のモカはとてもやんちゃでいたづらっ子だった


何年か経ったある日、新しい犬がうちにやってきた

ポメラニアンの女の子、モカとは3つ違い

父、母、姉がペットショップで2万円という安すぎる価格で販売されているこの子を気にかけて連れ帰ってきた

おとなしそうにみえたらしいが、実際はとても元気でやんちゃな女の子だった

モカと同じコーヒーの種類から「コナ」と名づけた

すぐに我が家の環境にも慣れて楽しそうだった


でもその日からモカは元気がなくなってしまった

もちろんも今まで通り変わらぬたくさんの愛情を注いでいた

でもモカにとってはつらかったのかもしれない

コナのパワフルさに圧倒されている様子だった

今まではモカが取りに行ってたおもちゃもコナが奪ってしまうので遊ぶことにも消極的になった

平等に大切にしたいのにできていないような感じがした

飼うことを決める前に考えるべきことはもっとあったのかもしれないと今では思う

元気のなくなってしまったモカに新しいおもちゃを兄がプレゼントした

それがきっかけという訳ではないんだろうけれど、モカが少しずつ元気になってくれた思い出とそのおもちゃが記憶の中で結びついている

少しずつ受け入れて元気を取り戻してくれた

それからは相性ばっちりって感じではないんだけれど、やんちゃな妹と静かで優しい兄のような関係で確実にお互い必要な存在になっていた


2人を連れていろんなところへ行った

自分の車に盛大に粗相をされたことも今となっては笑える思い出だ

最近では父母の結婚記念日に家族全員でペット可の良い宿に泊まったりもした

きっとこの子たちの存在が私たち家族をまとめてくれていた

振り返ってみるとこの子たちがいなかったら家族はどうなっていただろうと思う場面が多い

私がつらいことがあったときも、なぐさめるようにずっとそばにいてくれた

人に言えない悩みも聞いてくれた

朝は2階の部屋で寝ている私を起こしに、階段を登ってドアをかりかりしてくれた

どんなに爆音のアラーム音よりも、モカの小さな足音とドアを開ける優しいわずかな音の方がよく聞こえた

1日の始まりの景色がしっぽをふりふりしたモコモコの犬だったとき人間はこんなにも幸せなのかと、こんなに幸せでいいのかと毎度思わされた

でもほんとを言うとたまにちょっと早過ぎたりもした



モカは今までも体調が悪くなることはあった

一度、尿管結石になったときはもうだめなのかと思った

ずっととまらない血尿に苦しそうで、薬を飲んでも改善されなくて手術を決めた

手術日も決めて準備を進めていた

その前日、手術前の検査に病院へ行くと「石なくなってるね」と先生に言われた

どうやら前日に出し切った?らしい

無敵、不死身の男だと思った


しかし、ある日モカに異変がみられた

あごをかこうとするとバランスが保てず転んでしまう

またある日はただ立っているだけなのに突然転んだりした


病院で診てもらうと慢性腎臓病と言われた

今年の2月に亡くなった祖父と全くおんなじ病気だった

腎臓は一度悪くなると良くなることはないということをまた聞いた

これ以上悪くしないために食事や薬で管理していくことになった

腎臓病犬用の療法食をあげるようになった

硬いフードだと嫌がるので水を入れてチンして冷ましてあげるようにした

今まで絶対残してたごはんを完食してくれるようになった

食事が合っていたのか若返ったかのように鼻艶もよくなって、ティッシュのいたづらもしたりして、久々に子供のように元気なモカで安心した


そのわずか1週間後だった

先週まで子供のように元気だったモカが突然旅立ってしまった


月曜日の朝、コナのご飯までガツガツ食べてしまったその日の夜、私が最初に家に戻ると、嘔吐してかなり体調が悪そうだった

火曜日、母と姉が病院に連れて行った
点滴をしてもらった

全然良くならなかった

ご飯も水も自力では食べられなくなった

水曜日、動物病院がお休みの日

先生が休みなのにモカのために病院を開けてくれた

そんな先生には感謝しかない

たまたま火・水・木と休みだった姉、仕事を早く切り上げた母が病院に連れて行ってくれて、また点滴をしてもらった

それでも回復する様子はなく木曜日も病院で点滴をしてもらったが、状況は変わらなかった

金曜日、休みの人がいなくお留守番の日だった

どうしてもお留守番させるのは不安だから私は仕事を休むことにした

朝、モカは自力で水を飲むことができた

その直後、横転して水分と共に黄色の液を大量に吐いた

それが10回くらい続いた

呼吸もなにもかも苦しそうだった

15時ごろモカは息を引き取った

私は1人モカをみていた

モカは頑張った

頑張ってくれた

亡くなる直前まで私の足元ですやすやと安心したように寝ていた

そばにいることができてよかった

頑張りを見届けることができて

常に人にくっついていたかったモカを1人にしなくてよかった

「トイプードル?」と疑われるほどまるまると太っていた食いしん坊のモカが細々と弱っていく姿は寂しかったけれど

どんな瞬間も全てが愛しくてたまらなかった


大好きなモカ、これからはじいちゃんに可愛がられて好きなもの一緒にいっぱい食べてね。🍠

変わらずに家族として私たちをずっと見守っててね。

私たちと出会ってくれてありがとう。

大好きだよ。







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