ねぴらぼ(本番・後日談・ラジオ)

 タイトルは、ずばり『ねぴらぼ』とさせていただきましたが、最初におことわりしたいのは、この夢のようなピアノの実験室のことを網羅的に語るものではないということです。あくまでも一人のかてぃんファン(50代♂)が観たライブの感想やら妄想やらを好き勝手に綴ってるわけで、素晴らしい場面でも、かてぃんさんが絡んでないと華麗にスルーしていたりします汗。
もちろん四人とも大好きなんですよ~。

Neo Piano Rising

 けいちゃんとの合宿で一緒に作ったこの曲がオープニングナンバーです。プレゼントのリボンをほどくようなワクワク感あふれるポップな曲調で、これから始まる楽しい出来事への期待が高まります。
 青いライトに照らされたステージの中央に立つかてぃんさん・・・ショルキーを持つ立ち姿が、どうしてもカリスマギタリストにしか見えません。いつものことながら絵になる人ですね。立ち姿のカッコよさについては、後でまた話します。

残酷な天使のテーゼ

 界隈のスタンダードナンバー『残テ』は、かてぃんさんの編曲・構成担当だそうです。あえてリズム隊や電子楽器を使わず、2台4人8手のみで進行します。特徴的な中間部の輪唱のようなアレンジは、ミニマルミュージックから着想を得たということで、「ざーんーこくな てんし の てーぜ」でお馴染みのフレーズが順々に重なって拡散するようで一点に収束し、転調して爆発する流れが斬新でカッコいいです。年少の二人が着席、年長組が横に立って下を支える構図もおもしろいですね。

Summer Rain  ⇒  情熱大陸

 リハーサル配信で披露してくれたこの曲が本番でどんな仕上がりになるのか楽しみでした。ベースの熊吉郎さんを含めた五者五様のソロがそれぞれ見所だったんですが、みんな自由に自分のターンを表現しつつ、手を挙げてバトンタッチしていく流れの中で、ござさん、異彩を放ってましたね。
 天に掲げたあの左手は宇宙と交信していたんですか? 取り巻く三人もそろって両手を広げて天を仰ぐ様は、宇宙教の儀式ですか?
 かてぃんさんいわく:「ござさん、憑依してるから…それが合図なのか、憑依してるのか、わかんないんすよ周りには…それがめっちゃおもろくて…あれはどっちなんだ…読み合い…」
 もちろんかてぃんさんのソロは、全身ノリノリでジャズ魂炸裂のカッコよさでした。たなびく髪、荒ぶる両足、立ち上がって全身のバネを効かせながら最高潮を迎え、最後はバシッと「決めた終わり方」!

 ステージの照明が落ちる中、一筋のスポットライトがかてぃんさんに当たっている。これから何が始まるのか固唾を飲む一瞬の静寂。そして神の手から紡ぎ出されたこの美しい調べは何なのか? これってかてぃんさんのソロコーナーが始まったの? 
 「綺麗な指…」・・・チャットに流れるつぶやき。そしてどこかで耳にしたことがあるようなメロディ・・・「これって情熱大陸?」
 壮大なイントロダクションを弾き終えた瞬間、バーンと両腕を広げるいつものポーズに重なるドラムの響き・・・そして『情熱大陸』の文字・・・界隈の定番曲、いざお祭りの始まり!!
 ここでもござさんがいい味を出してくれてます。葉加瀬太郎さんが乗り移ったような憑依型プレイにスポットが当たるのを、下からロックオンしながら伴奏で支えるかてぃんさん。いつしか手を止める菊池さんとけいちゃん。ステージの空気を読んだ照明さんがかてぃんさんにもスポットを当ててくれて、浮かび上がる二人の世界がしばし続く…。

■ござさんとだけ連弾したことないんすよね…だから曲決めの時ござさんとやりたいですねって言ったんだけど…結局、叶わなくて今回は…いつかやりたいですよ、ござさんとは…連弾でウォーキングベースをやってほしい…僕は上で遊びたい…

連弾ではなかったけど、二人のあのシーン、すごく印象に残った。かてぃんさん、次回はござさんの鉄板のウォーキングベースに支えられながら、安心して自由に遊んじゃってください。

かてぃんソロ

 ここからがかてぃんさんのソロコーナーです。本番のMC中に水分補給のお願いしちゃってます。熱演の後で喉が渇いてたまらなかったんでしょうね。お水飲んで一息ついてから、ソロに選んだ二曲の説明をしてくれました。
 後日談の中で、実はこのMC、しゃべってる声があまり聞こえなくて、テンションがよくわからなくて、めっちゃ動揺してたそうです。そんな風には見えなかったけど、言われてみればフワフワと不思議?な動きしてましたよね笑。

■大猫のワルツ
 初公開のオリジナル作品です。モチーフの「大猫」とは、かてぃんさんいわく:「うちの猫がデブっつうかおっきいんですよ(ぷりんちゃんのことだね)…おっきいけど、力強いけど、軽々しく飛び回ってるみたいな…」
 軽やかで優雅な旋律は、ネタばらしなしで聴くと、ショパンの小品といわれても納得の仕上がりだと思いました。まぁ、われらがぷりんちゃんの曲だと聞いてしまったので、今ではぷりんちゃんが踊ってるイメージしか思い浮かばなくなってしまいましたが・・・

■On Fire
 二曲目は打って変わって、ジャズの巨匠ミシェル・カミロのいわゆる超絶技巧曲を持ってきましたね。
「ドラマーのあつしさんとベースの熊吉郎君に無理を言って三人でやらせてもらうんですけど…」
 ほんとめちゃくちゃ大変な曲だと思いました。特にベースはどの曲と比べても一番難易度が高かったのではと想像します。演奏中に何度もアイコンタクトを交わす場面があったりして、本家TRIOをも凌ぎそうな息の合った疾走感でした。

※ソロパートは、おのおのが自分の色を表現する時間だと思うんですが、かてぃんさんが用意したこの二曲、いかにもかてぃんさんらしい選曲でした。ジャンルの垣根を越えて音楽を楽しむ超ハイブリッドピアニスト・かてぃんの真骨頂を見せてもらいました。
 かてぃんワールド・・・そのルーツの一つは、東大時代にピアノの会とPOMPの兼サーしながら青春を謳歌していた日々だったんだろうな。そして今、25歳の人気YouTuberかてぃんになっても、やっぱり青春真っ只中してて眩しいね。

KABURAYA

 けいちゃんソロ(『動き出すラボラトリー』『World &Me』)からの二人のMCタイムでした。
「ひとりでしゃべるのも寂しいんで、ちょっと友だちを連れてこようと思います…「(手を振りながら)ともだち~」」
 手を振る先からは誰も出てきてくれません。仕方なく振り返ると、そこに向かって満面の笑みを浮かべながら駆け寄ってくるかてぃんさんが…。ドンと激突しながら手荒くじゃれ合う二人。「そっちだったか」 
 
 このコンビ、いいですよね。6月末の合宿中のライブ配信でわちゃわちゃと遊ぶ仲良しぶりとか、オリジナル作品完成に至る後日談などを訊かせていただきましょう。

■(6月下旬の曲決めの時)絶対インパクトあるものにしたいと思って…Zeppでせっかくやるのだから、ここでしかできないものをやってやろうと思って…そのためにオリジナルだなぁと思って…で、けいちゃんに声をかけたんすよ、オリジナル二人で作ろうよって…それでできたのが『KABURAYA』なわけですけど…

■オリジナル作ったことなんてほとんどなかったし…けいちゃんは作ってたわけじゃないですか…そういうのを傍で見ててかっけーなーって思ってたから、そん時初めて声をかけて…で、合宿をすることになって…合宿っていっても、半分仲良くなるのが目的みたいなもんで…作曲という名目を使って親交を深めるっていう…

■(歌詞がなくても広く受け入れられるためには)まずはメロディでキャッチーでなければならないと思いつつ…ちょっと気難しいことをしている要素も欲しかったんですよ…

■YMOってまさにそうで『東風(トンプー)』っていう曲があって、サビはめっちゃキャッチーなんすけど、Bメロが意味不明なんすよ…そういうものを作りたくて…

■キャッチーなところはけいちゃんが作ったんですよ…僕はアンキャッチーな部分を作ろうと思って…あの曲は絶対に僕だけでは作れない…でも僕のエッセンスが入れられた…ちょうどいいバランスになったかなぁと思ってます…

『KABURAYA』っていうタイトルも最後の最後まで決まらなかったんですけど…ユニークなタイトルにしたかったんで…検索で一発で出てくるやつ…で、連想ゲームみたいに調べてるうちに、あッこれだ!と思って僕が提案しました…

■知り合って日が浅かったってのもあるんすけど、めっちゃ一気に仲良くなって…多分伝わると思うんすけど…けいちゃん、俺のこと大好きだから、ずっと俺の隣にいるんですよ…控室とかタクシーとかも…ずっと隣にいるし…おもろかった… 

舞台が暗転して暗闇の中で、ほんのりと浮かび上がるペットボトルがかてぃんさんの手からけいちゃんに渡るのをぼんやりとながめながら、二人はバディになったんだなぁ・・・

Some Skunk Funk

 この曲、だれの発案だったんでしょうか? まったく知らない曲でしたが、ため息が出るほどカッコいいです。そしてスタンディングでシンセを操るかてぃんさんの立ち姿がこれまた絵になること・・・
 “ショルキーかてぃん“ がカリスマギタリストにしか見えないと書きましたが、“シンセかてぃん“ はさながらフロアを沸かすカリスマDJといったところでしょうか。首にヘッドフォンでもひっかけてたら完璧ですね。
  途中、ござさんと並んで横揺れの動きがシンクロするところも見所でした。

Spain

 思い起こせば、去年の11月26日にけいちゃんのチャンネルに上がった「四人の『Spain』」がねぴらぼの源流だったんでしょうね。
 あれから8ヶ月、みんなあの時よりも、もっとずっと大きな存在になって帰ってきました。
 世界で一番楽しい88鍵のおもちゃ箱に肩を寄せ合って興じる永遠のピアノ少年たち・・・
 この風景をずっと忘れないと思う。ねぴらぼ、ありがとう。

アフタートーク

■かてぃんさんのコメント:

■いやぁもう、めちゃくちゃ楽しかったです…はしゃぎすぎて今、足震えてますもん…立てない(笑)…リハと本番が全然違って…僕の気持ちもそうだし、この四人での一体感っていうのが…やっぱ本番だなぁって思いました…ほんとにみんなカッコよかったし、楽しかったです…

■蛍の光
 
かてぃんさんの『蛍の光』のなんともエモいこと…。かてぃんさんらしいアレンジとコード進行で、ここだけでも何度もリピりたくなります。カノン進行ならぬ “かてぃん進行“ の心地よさ。そういえばこの曲も4度上がってますね。エモいはずだ。
 まぁ、かてぃんさんだけじゃなく、どの演奏もその人らしいエモさで終わり感出してくれてました。ほんとに終わってしまうのが寂しい・・・

 お辞儀の仕草やタイミングも最後まで個性的で、デコボコなのに絶妙にバランスの取れた、そんなねぴらぼメンバーが大好きです。

ねぴらぼ後日談

■菊池さん

■(菊池さんのソロ)めっちゃ良くなかったですか…もともと良いんですけど、特に良かったなぁと思って…僕が言うのも(おこがましくて)あれですけど、緩急のつけ方とか…あと、手前のピアノって照明的にめっちゃカッコいい写真が撮れるんですよ…青いライトにシルエットだけ写ってる写真、カッコよーと思って…

 舞台裏情報ですが、手前のピアノは新しくて重く、奥のピアノは古くて軽いそうです。鍵盤の重さを感じさせない菊池さんの演奏は、さすが経験豊富なプロの技でしたね。
 その時の “カッコいい写真” を特に示し合わせたわけでもないのに、ほぼ同時にアイコンにする二人・・・なんか通じ合ってますね。

■事務員Gさん(カワウソ)といりすさん(リス)

■界隈を盛り上げることってすごい重要だなぁって思うんですよね…一人の力ってそんなに大きくないから…(盛り上げるために)なんかもっとおもしろいことやりたいなとずっと思ってたんですけど…そしたら去年の12月くらいにいりすさんを通して事務員Gさんから声をかけていただいたんですよ…僕は僕の想いを長文で返事しましたよ…ぜひやりたいですって…

■事務員Gさんのことはもちろん存じ上げてたし…僕の10個ぐらい上なのかな…いわばニコニコ動画がバアっと盛り上がってた頃の世代なんで…インターネットにおける音楽がどういうものたるかをすべて知ってるんですよね…だから圧倒的な信頼感があったし、これは良いものができるなと楽しみにしてました…

■事務員Gさんはほんとに偉大っす…演者かつプロデューサーってのは最強だよね…必ず演者の気持ちを理解してるし、かつどういう風に見せればベストなのかわかっているし…売れるために行動しなきゃいけないってわかりつつも、演者目線でのことを常に考えてくれるっていう…めちゃくちゃ偉大ですよ、しかもめっちゃバー知ってるし…(いろんなバーを教えてもらったんで)通いますよ、一人で行く勇気はまだないんだけど…

■いりすさんもすごい人ですよ…どう凄いかっていうとマメですよね、配慮が凄い…事務員Gさんと僕ら四人のピアニストの間に立って、僕らの想いや意見を統合して伝えてくれていた…あえてワンクッション置くことで、やりたくないけどやるしかないみたいな窮屈さが生まれるのを防いだ…

■誕生日ケーキ@リハーサル配信

■これねー今すごい言うか迷ってるんだけど…バースデーケーキの上に半球のチョコレートが乗ってて、その頂点にシールが貼ってて…その形がめちゃオッ〇イだなぁと思って…それにしか見えなくてめっちゃ笑いをこらえてたんですけど…

■みんな思いませんでした?…(思った!というチャットいっぱい)思ったっすよね、やっぱ(笑)…よかった~、みんな思ってて…あれはどう見てもオッ〇イ!…も△そうになったもん…まぁおいしかったっすけどね…おいしかったっていうとなんか語弊があるな…普通にケーキとしてね… 

一応、伏字にしておきました笑・・・ピアノの王子様なんで…。

近況報告

■引越しする予定

■引越しって僕したことないんで、何すればいいかわかんないんすよね…広い防音室があって、リビングも広くて、そんな高くないみたいな所、偶然見つけたんで…ピアノはもちろん持って行きますよ…まぁ8月末ぐらいかな…

 さらりと話してくれたけど、けっこうビックリしました。最初に感じたのは、あの見慣れたリビングからのCateen's Piano Live (CPL)がもう見れなくなってしまうのが、なんか寂しいな…でした。勝手に「角野家」のファンになってたんで・・・
 でもねぇ、もう学生じゃないし、25歳男子が実家を出て独立するのって普通だし、むしろ自分で生活を切り盛りする経験は絶対やっといたほうがいいとすら思う(一人暮らし前提でよいのかな?)。
 実際問題として、都心での活動が多いだろうから、千葉のご実家住まいだと交通アクセスの不便さってあったんでしょうね。
 以前、「バケットリスト」のお話の時に、「めっちゃオシャレなスタジオをつくりたいんですよね…」って言われてましたよね。
 新しいお部屋(=Cateen Studio?)からのCPLってのは、それはそれですごく楽しみです。その前に@おうちリビングのお別れライブが先かな・・・

■就職のこと

■関わりたいとは思ってるんだけどもね…もはや就職するということのほうがチャレンジなんだよね…10年後20年後を考えるとね、AIみたいなのは凄いから、うまく関わっていきたいってのはあるんだけど…今は音楽だけをやりたいから、俺は…

 きっと今でも、やりたいことが多すぎて時間が全然足りないんでしょうね。音楽家/ピアニスト/YouTuberとしての活動が軌道に乗ってる今、研究活動のブランクや組織に所属することの窮屈さなどを勘案するとチャレンジと捉えてしまうお気持ち、わかるような気がします。 

■3-4ヶ月ほとんど研究せずにずっとピアノしててもう研究の道はないなと勝手に思ってたけど、最近再開してみたらやっぱりこれはこれで楽しいんだよな、まあ大したことはできねえけど God only knows 天職

 去年の秋につぶやかれているのを、引っ張り出してきて申し訳ないんですが、きっとこんなものかもしれないなぁって思って・・・
 あと、フランス音響音楽研究所での留学生活のお話の中で、アーティストとエンジニアがプロジェクトで協働する体制において、自分はエンジニア側から参画していたと言及されていた記憶があります。今の角野さんならば、エンジニアリングに精通しているアーティストの立ち位置で関わる形がいいんでしょうね。

※予定されてる組織は、日本屈指のエリート集団ですから、知的好奇心・探求心の塊のような天才たちがひしめく、ある意味おそろしくも刺激的な環境なんだと思います。
 個人的には、そんな天才研究者・エンジニアたちと、天才アーティスト角野隼斗のコラボレーションから生まれてくる「音楽×AI」の未来の姿が見てみたい。他者の人生に口を挿む権利なんて1ミリもないとわかった上での独り言でした。

J-WAVE(8/2)

【当日(7/24)をどのように迎えましたか?】

■基本的に本番前って緊張してナーバスな感じになるんですけど、今日は割とワクワク感のほうが強くて…それはおそらく気心の知れた四人の仲間と一緒にできるってのが…普段ソロでやることが多いので…あとはZeppHANEDAという凄いところでできるというワクワク感もあって…楽しみでしたね…

【YouTubeを始めて変わったことがありますか?】

■めちゃくちゃありますね…ひとつはYouTubeをやることによっていろいろなネットワークができること…この『ねぴらぼ』もそうだし…で、すごく交流が増えるのと…観てもらえるには自分の個性をフルでそこに出していかないといけないから…そのために考える過程の中で自分のオリジナリティを確立していく…確立できているかわからないですが…外部から影響されて自分も成長できてるかなという実感はありますね…YouTubeによって…

■演奏する曲も、元々はゲームとかアニメの曲だったんですが…最近はクラシックも上げるようになってきて…やっぱ僕はベースがクラシックなので、その上でプラスアルファでオリジナリティを出していきたいなと思ってます

【未来について?】

■僕は小さいころからずっとクラシックを習ってきて、今もクラシックをやってるわけですけど…クラシックの世界って演奏家と作曲家がだんだん分離してきてるんですよね…昔は自分で作曲をして演奏して観客を沸かすみたいな…僕はそういうピアニストに憧れを抱いていて…もちろん演奏もしっかりやるんだけれども、自分の編曲だったりとか作曲だったりとかを世に発信して、それで楽しんでくれる人がいたらそれ以上の幸せはないと思うわけですね…自分のオリジナリティを出していけるようなピアニストになりたいですね…


ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。