MIXと称してやっていること

はじめに

 「各人のやりかたを共有してほしい(大意)」とだれかから要望があったから書いているので、必要がないひとはこんなの見なくていいです。むしろ今だっておれが教わりたいくらいなので。

今回の音源(※曲のほう)は、以下のもののボーカルを自音源の「篶鳴ふる」に差し替えたものです。

大まかな過程

①ボーカルwavを澄んだ声に整えます。ここではイコライザーとコンプレッサーを主に使います。特殊エフェクトが欲しいときはその後にかけます。
②リバーブをかけて響きだけのトラックを作ります。もし、ハモりパートがある場合は、「余力があればメインと別に用意する」くらいでいいです。
③ ①と②、オケのバランスをとります。ここが要です。
④マスタリング。ただし、ここの意味がなるべく薄くなるように、①〜③を仕上げるのが理想です。

①ボーカル音源の調整

 ここですることの意味は、大まかには、「余計な高音と低音を削った後で圧縮し、強度を確保する」です。あと、状況によって不要な場合だってありえます。

低音を削る:
 イコライザーを使います。声の低音成分にベースが埋もれないようにするためです。
 合唱の各パートの役割を考えればなんとなく理解できるかもしれませんが、男声はベースと周波数帯が衝突します。そこで、ハイパスフィルター(イコライザーの設定のうち、一定以上の高音しか通さないもの)をかけます。男声は実用的にはC2(約130Hz)辺りが低音の限界になることが多いので、多少余裕を持たせても100Hz以下で切っておくと、ベースの邪魔をしないので、あんまり声が浮かなくなります。勿論、曲によって加減が要りますので、気になったら後からまた微調整しましょう。もし、なんとなくもこもこが気になるなら、200~300Hz近辺も少し下げます。

高音を削る:
 こちらもイコライザーを使います。伴奏の繊細な高音をちゃんと聴かせたいからですね。
 こっちは倍音の都合上かなり高い音もあった方が響きは澄んでくるのですが、流石に15kHzくらいになるとそれより上がいっぱいでもつらいことがあります(モスキート音はこの辺)。なので、高過ぎる音はローパスフィルターで切ります。うまく切ると、ドンシャリがなくなっていい感じに音質が落ち着くので、曲によって加減しましょう。音源(両義)によっては切らなくてもいいです。

音を盛る:
 削る一方ではなく、補うことだってありえます。10kHzあたりを盛ってなんとなくすっきりさせたり、2~3kHzを盛って音量上がって聞こえたりさせる必要がある場合がありますが、まあ、削ってからやった方がいいです。

圧縮:
 コンプレッサーの仕事ですが、私はよくわかんないので、音量を均すための最初の下処理はNectar 3 Elementsに任せて雑にやっています。UTAUだと音量揃いがちなので、要らない作業になることもあります。イコライザーの後に好みで味付けにOTTをDepth20〜30%でかけたりしていますが、食い物でいうマヨラーみたいな雑さなので、あんまり参考にしちゃいけません。

ハモりパート:
 原則は「最初は①と同じように加工した後、低音を高めに削り、高音を低めに削って、メインボーカルの響きやすいところも削る。ついでに若干強めに圧縮し、一歩退いた声にする」です。曲に合わせて調整してもらうしかないんですが、低音は200〜300くらいを床に、高音は10,000Hzくらいを天井でかけています。メインボーカルは2,000〜3,000Hzが大きさに関係し、7,000〜8,000Hzが声の明瞭さに関係する気がするので、ここを必要があったら引きます。

②リバーブ

 響きのぶんだけ単純に音量が増えるので、声の厚みが付きます。ほんのり輪郭が滲むことで、多少周囲との馴染みが良くなるという副産物もあります。リバーブはそのためのエフェクトです。狙っていない限りは、オケと混ざるときにほわんほわんとした効果が聞こえた時点でアウトです。
 原則は、「オケと混ぜたらリバーブ部分は聞こえない、って程度にかける」です。
 元の声と響きの部分で分けて処理できると楽なので、響きだけ作ります。
 リバーブ用にトラックを用意し、DAWの設定でそこに音を送ります。わかんない人はコピペしましょう。
 そこにリバーブをかけます。Dry(元の音)を無くして、Wet(加工済みの音)だけにするようにツマミを弄ると、響きだけの音が作れます。これを、元のトラックと合わせると、元の声を残したままリバーブをかけた音が得られます。
 これも、必要を感じたらここから①の過程を同じようにやります。

③音量バランス

 音量のバランスの取り方は、「メインボーカルはスネア/キックより僅かに大きくなるように。ハモリは和音を奏でる楽器と同じくらいの音量に」です。多分、音量だけの調整だと、どんなにいじっても周波数帯によって出たり引っ込んだりしていることがあるので、必要に応じて凸凹をイコライザーの微調整で均します。

④マスタリング

 きれいにバランスを整えた音源の音圧を、目標に合わせて引き上げたり、イコライザーでほんのりメリハリをつける過程です。おれはもう諦めました。Ozone 11 Elementsに自動でやらせています。というか、マキシマイザーは原理的にはコンプレッサーとほぼ同じことをしているわけなので、そこを勉強した方がいいです。
 音圧はラウドネスメーターをマスターに挿してチェックした方がいいです。-15LUFSくらいにしておくと、ニコニコに上げてもYoutubeに上げてもあんまり変わんないくらいになるらしいのですが、雰囲気でやっていますので、みんなも雰囲気でやりましょう。YouTubeでは、動画を右クリックすると「詳細統計情報」のVolume / Loudness欄のcontent loudnessで原曲の音圧がわかりますが、昔の高い音圧の曲だと7~8dB(単位が揃っていないですが、よくわかんないうちは ' ここ限りで ' 同一視してしまいましょう)くらいなので、この辺までは好みの高さを通せます。

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