【書店員時代①】勘違いから生まれた忘れられない話。本屋に野菜はありません。

はじめまして。
細川もやしです。

パティシエ時代を投稿しようと思っていましたが、うまくまとまらないので、書店員時代のことを話します。

新卒で入社したある会社を半年も持たずに退職した私。その会社での出来事はまた改めて投稿します。

大型ショッピングセンターができるらしい。自宅から30分くらい。時給1000円か。でも、本に囲まれた仕事っていいかも。それに、漫画本をタダで読めたりして。

前職を退職してからほぼ三ヶ月後に書店で働くことになりました。

オープンまで三ヶ月。業務に関するトレーニングをしつつ、膨大な量の本を棚に埋めていく作業が続きました。9時~17時までひたすら、段ボールから本を出し、棚に入れ、を繰り返す日々。どこからともなく、次から次へと運ばれてくる本。本が好きだったはずですが、見るのも、触るのも嫌になるほどの量。

あのとき流行っていたのは「千の風になって」でした。カラオケで歌詞を見ないで歌えるほど聞き込まされましたっけ。

さて、今回投稿したいのは書店時代の忘れられないエピソードを紹介します。これ、本当にあった話ですよ。何回かに分けて紹介する予定です。

オープンしてすぐぐらいだったでしょうか。雑誌の返品作業中に、ある老夫婦が目に留まりました。何かお探しかと思い、声をかけました。すると、お爺さんがすごい大声で怒り出しました。

えっ…。何?

思考停止するほどの驚きでした。

「なんで野菜がないんだ!青森ではたくさん置いてあった!」

……。野菜。ここは本屋だよ。もしかして、野菜の本?いや、この方はカチで野菜を探している目をしている…。本屋に野菜。野菜って本屋で買うんだっけ。思考停止していた私は徐々にシナプスが繋がり出しまして、「ま、ま、まさかっ!」っと閃きました。

勝ちを確信した私。絶対的優位。

「あの~、ここは書店です。お客さまはスーパー紀○国屋さんと勘違いされていませんか」

今度はお爺さんが思考停止する番だぜ。
おや?動かなくなった。コンコン。そうだろそうだろ、あんたは勘違いしているのだよ。ここはスーパー紀○国屋ではなく、紀○國屋書店なのだから。フッフッフッ。この勝負は私の勝ちだ!さあ、土下座しろ!のような流れにはならないところが、私の優しさ。

さあさあお客さま、こちらにお掛けくださいと、老夫婦の足並みに合わせて、パソコンの前までご案内。そして、スーパー紀○国屋のサイトをご覧いただきましたよ。

「よく勘違いしてご来店されるお客さまもいらっしゃいますよ。どうして、似たような名前をつけたのか迷惑ですよね」

お爺さんの顔は覚えていません。もちろん、お婆さんの顔も。ただ、 そのあと、お店を出ていかれる姿は覚えています。とても、さびしそうでした。

お爺さんは悪くない。
勘違いなんて誰にでもあること。
老夫婦はオープンした大型ショッピングセンターにスーパー紀○国屋があると信じて、美味しい野菜を求めてお越しいただいただけ。それなのに、本しかないんだもの。そりゃ怒鳴りたくもなるさ。ふざけているのか!野菜はどこだ!って言いたくもなるよね。でもね、ないものはないのだよ。お互い頑張って生きていこうよ。

というようなエピソードがいくつかあるので、まとまり次第投稿します。お読みいただけると嬉しいです。

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