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Duane症候群(デュアン症候群)持ちは Apple Vision Pro の利用は可能か

はじめに

Apple Vision Pro がアメリカで2024年2月2日に発売されます。米国外でも WWDC 前に発売されるのでは?との噂もあり楽しみです。日本国発売日スタートダッシュを決めたいと考えてはいますが、一点気がかりな事があります。
私は先天性の Duane 症候群(デュアン症候群)という疾患を持っています。
特殊型の斜視の一種で、軽度ではあるのですが、"Vision" 「視覚」を利用する機能が多く搭載される Apple Vision Pro の利用に影響がありそうだと考えています。本記事では、Duane 症候群を持つ私が Apple Vision Pro をどのように利用できるかを探り、同じ状況にある方々との知見を共有することを目指します。

Duane 症候群(デュアン症候群)とは?

Duane症候群(デュアン症候群)は、眼球運動の異常を特徴とする珍しい先天性障害です。私の場合、これはI型、つまり外転制限(左目の外転麻痺)として現れており、左目を外側に動かすことができません。結果として、左を見る際には頭を左に回転させます。これは、制限された視野を補うための無意識の反応です。

Duane症候群I型の患者は、この眼球の動きの制限により、特に側方視が困難になることがあります。しかし、症状の重症度は個人差が大きく、日常生活に及ぼす影響の程度も人によって異なります。私の場合は、症状は軽度であり、日常生活における活動にはほとんど影響はありません。

現在のところ、Duane症候群の根本的な治療法は存在せず、多くの場合、症状の管理と生活の質の向上に重点を置いて対処されます。特定の眼科手術が行われることもありますが、これは主に審美的な理由、または非常に限定的な状況でのみ適用されます。私も幼少期に親が手術の検討をしたことがありますが、最終的には行いませんでした。

Duane症候群は希少であり、そのため一般的な認識は低いかもしれませんが、適切な理解とサポートがあれば、患者は比較的正常な生活を送ることが可能です。特にI型のDuane症候群の場合、多くの患者は日常生活において比較的少ない支障で過ごすことができます。

Apple Vision Pro とは?

Apple Vision Proは、Apple社が最近発表した混合現実ヘッドセットの最新技術です。以下はその主な特徴と仕様です。

3Dカメラ機能: 3Dで空間的な写真やビデオをキャプチャすることができ、没入型のSpatial Audioで体験を強化します​​。

ハードウェアデザイン: ラミネートガラスのディスプレイ面、柔軟なクッションで覆われたアルミニウムフレーム、調整可能なヘッドバンドが特徴です。5つのセンサー、6つのマイク、12台のカメラが含まれています。ディスプレイは、1.41インチのマイクロOLEDディスプレイ2枚で構成され、合計で23メガピクセル、通常は90FPSで動作します​​。

EyeSightテクノロジー: ユーザーの目を表示する外向きのディスプレイ「EyeSight」を搭載し、ユーザーがアプリを使用しているか完全に没入しているかを示します​​​​。

認証とパーソナライゼーション: iPhoneのFace IDのような認証のための虹彩スキャナー「Optic ID」を備えています。また、セットアップ中にユーザーの顔をスキャンしてリアルなアバターを生成し、スピーカー設定を最適化するために耳もスキャンされます​​。

オペレーティングシステム: Apple Vision Proは、iOSのコアフレームワークを主に使用したvisionOSを搭載しています。指のトラッキング、目のトラッキング、音声認識によってナビゲートされる3Dユーザーインターフェイスを利用します​​。

混合現実体験: ユーザーの実世界の環境にアプリやメディアが浮かぶ混合現実ビューから、完全没入まで、さまざまな仮想背景を提供します​​。

電源とストレージ: Apple M2チップで動力を供給され、センサー入力処理用のコプロセッサーが付属しています。デバイスはさまざまな内部ストレージオプションを提供し、使用時間2時間の外部バッテリーパックで動作します​​。

発売と価格: Apple Vision Proは、2024年2月2日にアメリカで発売されると発表され、2024年1月19日に予約注文が始まりました。価格は3,499ドルです​​​​。

このデバイスは、Apple社による仮想現実および拡張現実分野への重要なステップを象徴しており、高度な技術をコンパクトで洗練されたデザインに統合しています。

Duane症候群(デュアン症候群)が影響しそうな Apple Vision Pro の仕様

・Sensors

Four eye‑tracking cameras
Duane症候群は、特定の方向への眼球の動きを制限するため、眼球追跡カメラの精度や効率が影響を受ける可能性があります。これは、ユーザーの目の動きを正確に追跡することが難しくなることを意味します。

・Audio Technology

Spatial Audio with dynamic head tracking
ダイナミックヘッドトラッキングは、ユーザーの頭部の動きに基づいて音の位置を調整します。Duane症候群に伴う斜視や他の眼球運動の制限が、頭部の動きに影響を及ぼすので、この機能の体験に影響を与える可能性があります。

・Input

Eyes
Duane症候群による眼球運動の制限は、目による入力方法に影響を与える可能性があります。特に、デバイスが眼球の特定の動きや位置を入力信号として利用する場合、制限された眼球運動の範囲が入力精度や応答性に影響を与える可能性があります。

EyeSightテクノロジーと影響

Apple Vision Pro の機能に EyeSightテクノロジー があります。EyeSightテクノロジーは、ユーザーがヘッドセットを装着している間にその目を外部に表示するものです。
Duane症候群は眼球の運動に制限をもたらします。この症候群の影響を受けている人は、特定の方向への眼球の動きが難しく、場合によっては眼球が斜視を引き起こすことがあります。EyeSightテクノロジーは、他者がユーザーの目を見ることができるようにすることで、ユーザーがアプリを使用しているか、または完全に没入しているかを伝える役割を持ちます。

眼球運動の制限: Duane症候群による眼球の運動制限は、EyeSightテクノロジーがユーザーの視線や目の動きを外部に表示する際に、正確な情報を伝えるのが難しくなる可能性があります。

視線の表示: ユーザーの視線が正常に動かない場合、EyeSightテクノロジーが表示する目の動きが実際のユーザーの視線や意図と一致しない可能性があります。これは、他者がユーザーの注意や焦点を誤解する原因になるかもしれません。

コミュニケーションの誤解: Duane症候群による眼の動きの異常は、EyeSightテクノロジーを介したコミュニケーションにおいて誤解を招く可能性があります。他の人がユーザーの視線を解釈する際に、ユーザーの真の意図や焦点が正確に伝わらないかもしれません。

Persona と影響

Apple Vision Pro の機能に Persona があります。Personaは、ユーザーの顔をスキャンしてリアルなアバターを生成する機能です。この Persona にも Duane症候群が以下のような影響を与える可能性があります

顔のスキャン: Personaは、ユーザーの顔の特徴を詳細にスキャンしてアバターを作成します。Duane症候群が眼球運動に制限をもたらす場合、特に眼の周辺の表情や動きが正確に捉えられない可能性があります。これは、アバターの眼の表現に影響を及ぼすかもしれません。

表情の反映: Duane症候群により眼球の動きが制限されている場合、アバターの眼の動きや表情がユーザーの実際の動きや表情と完全に一致しないことがあります。これにより、アバターの自然さや表現力に影響が出る可能性があります。

おわりに

本記事では、Duane症候群(デュアン症候群)とApple Vision Proについて、そしてDuane症候群がApple Vision Proの仕様や機能に与える可能性のある影響についてまとめました。ただし、Apple Vision Proはまだ発売前であり、実際のところは何もわかっていません。アクセシビリティ機能がこれらの問題を補う可能性もあり、過度な心配になるかもしれません。また、仕様や機能に関する詳細は発売後のレポートで明らかになることでしょう。今後も引き続き情報を収集し、それを皆さんと共有していく所存です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

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