いざ黒岳の山頂へ🔥
山麓駅からロープウェイが発車した。
私は
『何だこの変なザックを背負ったヤツは!』
との周囲の視線を感じつつも、先頭にドーンと立ち眼下の景色を眺める。
砂防ダムが連続する黒岳沢を過ぎると一面に大雪山の森林が広がる。
目を凝らすと木の葉はすっかりダークグリーンになっており、夏の終わりが間近といったところ。
それもそのはず、あと1、2週間もすれば大雪山系の森林は赤や黄の衣を纏う紅葉の世界へと移行するのだから。
続いてリフトに乗り換え山頂方面に目を移すと、残念ながらどんよりとした濃密な雲に覆われている。朝方まで降り続いた雨が止んだのだから登れるだけ有難い。
7合目に到着し、小屋の横にある入山届けに名前と時間を記入する。
そして山頂に向けてゆっくりと歩を進め始めた。
歩き始めてから10分くらい経過してからだろうか?
猛烈に肩が痛くなってきた😭
おまけにこのザック、勿論登山用ではなく荷物の重心バランスが取りにくい。予想以上のダメージと歩きにくさに早くも心が折れかける。
私はフッと思った。
これを背負ってドームを縦横無尽に駆け巡るビールの売り子さんたちは神だ・・・。
重たい樽を入れて階段を昇り降りし、絶対に苦しいハズなのに実際はどうだろう?
素敵な笑顔MAXで『ビールいかがですか〜😊?』
と言って販売しているではないか。尊敬と感謝で震えるしかない。
なんて素晴らしい人たちなんだ!
と、いざ自分が同じ立場に立たされ(ちょっと違うけどw)彼女たちの偉大さ、サービス精神に気づくことができた。
よし、今度ドームに行ったら絶対に『ありがとう!』とお礼を言ってビール買おう!
と心に決めた瞬間でもあった。
スタート時よりもテンポを下げ、まるで亀のようにテクテクとゆっくり歩くことにした。
私は内心(なんて馬鹿なことをしてるんだ・・・。重い、辛い、もうウンザリ。二度とこんなことやらん!)
と後悔していた。やっていることは
ドラゴンボールで言う亀の甲羅を背負って修行している悟空とクリリン状態。
それでもあえぐように登り、ようやく山頂に到着。
何と2時間もかかってしまった😅
そしてビールを配ろうにも
全然登山客がいない!
という大惨事。。
私は足元の丸い石に腰を置き、うーんどうしよう〜と考える。
ん?
そうか
黒岳石室なら宿泊客がいるかもしれない!
そう思い、重たい腰(ザック)を上げて再び歩き始めた。
800mもあるのか・・・。
平場を過ぎると懐かしい景色が見えてきた。
25年ぶりに眺める風景。
二度と戻らないあの日。
なんだか胸にこみ上げてくるものがある。
そして黒岳石室はあの日のままの形で残っていた・・・。
黒岳山頂から30分。無事に到着。とにかく腹減った〜。
お昼ごはんを済ませると
デーン。
中身はこうなってます。
せっせと準備をしていると、端っこの椅子に座っている方々のヒソヒソ話が耳に入ってきた。
『何アレ?ビ、ビール!?本当にビール入っているの?』
私はすかさず声をかけてみる。
『山でどーーーしても樽生ビールを飲みたくて背負ってきちゃいました〜!どーです、皆様もご一緒に飲みませんか??』
史上初!世界初!大雪山黒岳石室で飲む樽生ビール🍺
この光景を目の当たりにした他の登山客は
『私も!私も♪』
とコップを差し出してきた。
想定外の大盛況😊
こんなにも喜んでいただけるとは・・・。
皆様の喜ぶ姿を見ていると、いつの間にか先ほどまで抱いていた後悔の念は消えていた。
逆にクラフトビールを造っている自分が少し誇らしくすら思えた。
そしてあることに気づく
クラフトビールには人を笑顔にする不思議な力があるんだ!
帰りの足取りはとても軽かった。それは樽が空になったからという理由だけではない。
人の笑顔を見るのは最高に楽しい!
そして
人に喜んでいただけるっていうことはこんなにも嬉しいことなんだ!
と気づくことができたからだ。
よし、来年はビールが最も美味しい真夏に山頂ビールをやろう!
誰もやらないことをやって皆様の感情を刺激するのだ!
何かのスイッチが入ってしまった私。
これが記念すべく
『クラフトビール普及活動〜クラフトビールで世界を笑顔に!第1弾〜』
だったのです。
そして後に
Hokkaido Beer Porter
と名乗り、クラフトビールで世界を笑顔に!をモットーに動き出したのです。。
以降のクラフトビール普及活動についてはまた随時投稿して参ります🔥
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