5/21 全身麻酔の経験

もう1か月くらい経ってしまったが、ナガノ先生の入院報告ツイートの絵に"MASUI DAISUKI"と書いてありトレンドにもなっていた。

これをみて全身麻酔の経験がふわっと蘇ってきた。

大学6年間で二度も全身麻酔を経験した。
1回目は鼠蹊ヘルニア(いわゆる脱腸)、2回目は気胸である。


鼠経ヘルニアも気胸も当然ながら外科的処置を施さない限り治らないので、入院して手術を受けた。

鼠経ヘルニアのときは腹腔鏡手術、気胸のときは胸腔鏡手術というやつで、どちらも患部付近に1~2cmくらいの小さな穴をあけるタイプのものであった。穴は患部を見るカメラ用と手術道具をぶち込むためにあけられる。

なので身体への負担は少なく、両方とも入院期間は1週間未満で済んだ。


レールを全身麻酔の話題に戻す。

全身麻酔はマジで一瞬で眠れる。

手術当日、大体8時か9時くらいに手術室に連れていかれて、すぐに手術台の上に寝かせられる。

手術室っていうのは無機質だし、色は明るくのっぺりとしたグリーン一色。手術台の上には歯医者でよく見るようなやつを4倍くらいに大きくしたライトが設置してあって、「如何にも」という雰囲気があった。

そして(多分)麻酔科の先生が麻酔のマスクを俺に装着し、「はいじゃあ眠くなりますよ~~」と喋りかけてきた。それが手術前最後の記憶である。

日常的な僕の睡眠が浅いだけなのかもしれないが、普段は大体時間の経過が分かる。でも麻酔って本当に何時間経ったかよくわからない。

気が付いたら部屋に戻っていて、朦朧とした意識の中でかろうじて看護師と母の話声を認識できた。手術が終わったということを耳元で囁かれたのち、再び眠りについた。


とにかく、麻酔というものはあらゆる感覚を一瞬で遮断する。人生でした体験の中で最も不思議なものだ。睡眠のそれとは違う。睡眠は夢があって、言い換えると意識がある。部屋が暑くて寝苦しいなとか、喉乾いた、とか体から脳へのフィードバックがあって、それをある程度認識しているはずである。


でも麻酔中は体に穴をあけられていじられたはずなのに、とんでもなく痛いことをされたはずなのに、一切の記憶がない。なにも認知していない時間がたしかにあったのだ。

このように麻酔の経験を呼び起こすたびに「タヒぬときってこんな感じに一瞬で、認識する世界から引き離されてそれで終わっちゃうんだろうな。楽になるってそういうことかもしれない」と思ってしまう。


とにかく僕にとって神秘的なものでした。気分が鬱々としているとき、麻酔で全部の感覚をシャットアウトしてしまえたらなと思ってしまう。


外界の嫌な情報から強制的に離れられる。思考も止まってくれるから、自動思考による自傷もない。それが何とも言えない幸せな状態に思えて仕方ないときがある。



ナガノ先生のメッセージに込められた意味とは全く異なるかもしれませんが、僕は「現実から離れられる時間が生まれる」という意味で麻酔が大好きです。


ただ1点、麻酔後の副作用は最悪です。

できればマシな方法で、非侵襲的に(体を傷つけることなく)間隔を一定時間遮断したい。大好きといっても、あの神秘的な体験を与えてくれたことに感謝しているという意味であるかもしれません。


着地地点を見失いましたが、機会があればこの体験をベースに歌詞を書いてみたいと思っています。





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