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細胞

細胞の集合体である私たち人間は、生物として生きることも忘れてはいけない。先日、「融合や分裂を繰り返して毎秒形を変えるのが細胞であり、細胞に変化への恐れという概念は備わっていない」と改めて聞いて、ハッとした。なんと潔いこと!

人間には知性や思考、感情があって、"変化する"という行動を起こすまでにどうしても時間的距離が生ずる。もちろん恐れは生命維持を担う大切な感情であることは間違いないのだけれど、いま抱えているモヤモヤとした恐れがどの種類のものなのかを把握して、不純物をなるべく取り除いてみると、意外とあっさり変化するのかもしれない。

『生命とは、生き、動き、行動することであって、ただ思索することではない』

とは、鈴木大拙の言葉。私たちは毎日呼吸をしながら、時間が過ぎてゆくのをただ眺めていたりして・・生きているという確かな実感はないのに、生きているようなフリをして。時を傍観しているだけでは、生命として生きてはいない。違和感に気づいてもやり過ごせる、変化をあまり必要としない環境は、全てを見渡せるようで居心地がよくて。

だけどやはり人間である私たちは、生命として進化をしていきたいと、内側から違和感として常に訴えられているような気がする。融合を重ねた細胞が分裂していくように、温かな場所から出ていこうとする変容を、自然の摂理に抗うことなく受け入れていく。現代社会は脳や心でばかりで状況を捉えがちだけれど、私たちは毎秒ごとに変化している潔い細胞の集合体、"生命"である、ということをもっと意識して生きてもいいのかもしれない。

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