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海に沈んで思ったこと

海のなかはすごく静かだった。無音ではないけれど、波や魚がたてる水の音は大きな海の中に消えていくように有機的な音で非常に心地が良い。


静けさが心地よくて、沈んでいるのか潜っているのかよく分からない体勢で海面を目指す泡を見ていた。

サンゴは晴れている日に光合成をするので、陽の光を浴びて空気を吐き出していた。サンゴから生まれた空気は、小さい泡となって水の外を目指す。

水の中で宝石のように見えた空気が、海面から顔を出すと見えなくなる。その代わりに水中で見えなかった水が光を反射して輝いて見える。

まとっていたものが見えるようになったり、見えなくなったり、真面目に考えてみると当たり前なんだけど、すごく不思議なことではないか。普段もこうやって何か大事なことを見落としているんだろうなと思う。


気がつくと潮が満ちて、浜ははるか遠くにある。若干流されたこともあってここはかなり沖だ。潮の満ち引きでこんなにも水位が変わるのはすごいなと感じていたが、潮の満ち引きは月の引力に関係しているらしい。

地球の70%くらいを占める海を引っ張るほどの引力は、人間のなにかも引っ張っているんじゃないかって思うけれど、人間の過ごす環境にはあまりにも変化が多いので今更気にすることでもないな、なんて考えるのが面倒になったりする。

多分エモいエモい言う人はみんな同じ時間にベランダで黄昏れているし、インスタでネットビジネスをしてる人の殆どは元サッカー部か野球部だ。

なんかそういう適当な相関関係の仮説はむりやり紐解いて行けば因果関係にたどり着くと思うのだ。それくらい人間が住む環境の変化は大きいから、もう正しく相関関係を紐解くのは困難になっていると思う。

それでも理屈で動き続ける人はどんどん人間味を失っていくし、人間らしく生きようと努力すれば生きにくい社会だから、在りたいように在るというのはとっても難しい。

海に浮かんで、透明な海に沈む夕日を見ながら綺麗だなって思うくらいが人間として、ちょうどいいのだ。

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