見出し画像

イラストで表現すること

簡単にいうと「イラストで、2次元平面で表現できることに特化した表現をして作品にしたいぜ」的な感じです。

で、これに至るきっかけなんですが、「イラストって国や言語に関係ない共通の表現であるはずで、だから3次元のものを描くんではなく、2次元平面の表現のなかで、2次元の世界しかしらない人にも通じるくらい突き詰めた表現が出来たらもっとユニバーサルな意味のあるものになるんじゃないか?」と考えたということです。

例えば、水玉もようのデザインがあったときに、それは実際の雨粒とか黒い球とかを表現してるんではなく、ただ単にデザインとして、「2次元平面にドットが規則的または不規則的に並んでいる」ということだけで知覚して、さらにそういった基本ルールを積み重ねていくことであらたな表現が生まれるんではないか・・・ということなんです。

例えば、漫画ですら、コマを読む順番を知っているか、文字が読めるか、という前提があって読めるわけで、その表現に関しても3次元を2次元に写しとって表現しているという前提がないと理解できない、結局、作られた文化に乗っ取った表現だと思っていて、

本当はそれよりもっとイラストの根源みたいな表現があるんじゃないか?もっといえば文字が読めなくてもわかるぐらいの、記号的な、ただそれを見ればわかる。共通言語としてイラスト表現があるんじゃないかなと思っています。

・・・

で、良い作品を作るには、「アイデアからルールを抽出する」ことと、「そのルールを組み合わせて実験的に表現する」ことが大事で、それには物理的に長めの時間をとることが必要だなと思っています。

そのために日常生活からアイデアをピックアップして、それを作品に昇華するみたいなことをするんですが、

気になるアイデアをメモ帳に書き留めて、思考しながら理論を検討していって、そこから抽出してきたパターンを組み合わせて、しっくりくるものを選んだり、いらないものを削ったりして、イメージに近づけていく、というような作業が大事だと思っています。

これはもしかしたら映画や小説の脚本を作るのに似ているかもしれないなと思いました。まず伝えたいことがあって、それを表現するためにどういったシーンが必要か、そのシーンで伝えたいこと最大化するために、どういう人物やモチーフを当てはめるか、そういったシーンを並べて、どれだけ無駄なく効果的に組みあわせていくかという感じです。

ちなみに、音楽は僕の中では、もう少しスポーツに近くて、着想したアイデアを変態的に繋いで、広げてどこまで走りきれるかという感じです。
今は波形を見ながら作れるようになったから少し変わってきているかもしれませんけど。

・・・

で、そのイラストの種みたいなものはいくつか作ることが出来たとして、最大の課題は「それをどうやってコンテンツ化するか」という事です。

「新しいイラスト表現」という事と、デザインやイラストの世界がもっと一般化していたら、ここまででイメージしてきた種みたいなものはもっと価値が高くて、もっとどんどん出てくるはずだと思うんですが、そうなっていないので。

例えば、音楽は演奏を録音して音源という形でコンテンツ化されていて、しかも時間芸術だから、受動的に空いた時間で楽しめるんですが、イラストは勝手に再生されるものではないので、もっと能動的にかかわる必要があるんじゃないかと思います。

イラストには、ポップアートのように、この時代にこれを書いた、とかこの切り出し形でモチーフを描いた、とか時代性や風刺と紐づいた思想を伝えるためのものと

ダリのように、一枚の絵の中に細かい表現がいろいろ詰め込まれていて、じっくり眺めながらその世界にダイブ、プチトリップするようなものがあると思うんです。

風刺的なものは自分の思想の支えだったり、考え方の見本として頭の本棚にはいっていて、必要なタイミングでそれを取り出して眺めれば気持ちが復活する、という持続性な効果がある。

ダリのようなものは、エンタメ的なものとして楽しめると爆発的に意味があるはずなんですが、それにばっちりハマるコンテンツが未だに無い気がして、パズルやクイズやゲームのようなものがそれに当てはまる気がするんですが、ずっとたどり着かずにいて悩ましい感じです。

これを僕は「能動的受動者」と呼んでいて、コンテンツは変わらず受動的に受けとるものなんだけど、それに関わるひとがいかに能動的にその作品を味わおうとするか、楽しもうとするか、にかかって来ているみたいな感じ。

具体的には空いた時間に音楽を聞く代わりにイラストや画集を眺める文化が来るだろうか、ということ。

そこは結構、文化レベルにかかわってきている気がします。

で、いろいろと考えるわけですが、ある程度メディアミックスみたいなものにしたほうがいいのかな、という気が最近はしています。

作品は変わらないんだけど、そこにいたる導線とか、背景を説明したり、別のものに紐づけることによって、より受動者が自分と関連づけて、能動的に自分なりの楽しみかたが出来るようになるんじゃないか。
という気がしていますが、いかがでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?