見出し画像

一度きりの今を駆け抜けろ~虹ヶ咲2期11話感想~

新たなるステージへ橋を架けた11話、『過去、未来、イマ』の感想です。

今回は卒業が迫った果林さんの切なさに寄り添いつつ、今に目を向けることで、未来を明るく照らすエピソードでした。サブタイトルの通り自制(過去/未来/現在)がテーマだと感じたので、時間軸を意識して話を進めていきます。

10話で楽しい思い出を作り、絆を深めて帰ってきた同好会。過去を振り返りつつ、「私たち13人だからこそやれることを、これからいっぱい考えていこうよ」と、未来への期待に胸を躍らせます。

その雰囲気を切り裂いたのが、イマを一直線に見つめる中須かすみ。「同好会がスクールアイドル部になるかもしれない」という未来の話を、今すぐ解決すべき現在の課題だと思い込み、同好会に駆け込んできます。

即座に勘違いが指摘され、部の申請は一旦先送りに。差し迫った課題であるテストに集中しつつ、「いずれ」話し合おうという空気になりますが、この曖昧さをかすみは良しとしません。中途半端な棚上げはせず、部の申請をするかどうか、「今、ここで決めよう」と提案します。

現在の課題として掲げられた、部の申請という選択。ここで皆の意志を統一するきっかけとなったのは、これまでに同好会が残してきた軌跡でした。みんなの”大好き”を表現する場所。バラバラの活動でありながら、一つの集団でもある同好会。だからこそ皆はこの居場所が大好きで、楽しい活動が出来た。過去を捉えなおすことで、同好会を残す結論が導かれます。

最後に全体を纏めたのは、これまでも過去(旧同好会)と現在(現同好会)を繋いできた侑。意見がぶつかった時にはいつも、侑が間に立って話を纏めてきました。「大ニュース」があったとしても、未来が突然決まるわけではなくて、今までに積み上げてきたもの、描いてきた現在までの軌跡が、今後を作る起点になる。そんなメッセージの込められたAパートでした。

コラム:部長としての在り方~中須かすみの方向性~

かすみが今(=悩んでいること)を見つめることで解決した、部の昇格という問題。その過程で、せつ菜は過去のために苦しんでいました。自らが同好会を引き裂いてしまった過去、そしてラブライブ!出場の機会を奪ってしまった事実。言葉にしなくとも、説明のために歪む顔や、ランジュへの配慮から、その重責は十分に感じられます。

過去に囚われることで失ってしまった、未来を動かすためのエネルギー。せつ菜にとって身動きの取れない現在を、かすみはしっかりと直視していました。しかし、今回も(10話と同じく)自分自身の葛藤を解決するために話し合いをしていて、特別せつ菜に気を配っている訳ではありません。リーダーの資質を意識しないまま、自分らしく同好会を率いていく。かすみ部長のやり方がよく分かる1シーンでした。

いい笑顔。

10話ではメンバーを引っ張るかすみに代わって、桜坂家の挨拶を務めていたせつ菜。今回もさりげなく全体を纏めたり、皆の意見を代表して「今の私たちでいたい」と発言しています。お互いの弱点を埋めつつ、同好会が回るようにサポートしあうのが、新しい二人の関係性なのかもしれませんね。

笑っていてほしい。

【訂正】投稿時に優木せつ菜を「旧同好会部長」と表記しましたが、初代部長は明らかになっていません。一部文章を変更し、対応しました。

さて、提供の読み上げを担当するなど明確に果林回であった11話ですが、意外にも、Aパートは殆どの部分で蚊帳の外でした。話し合いのシーンでも、かすみ、1.2年生+ミア、エマ/彼方、果林という風に区切られていて、全体から疎外されるように描かれています。

Bパートでも、果林は主に「周りを見る」存在となり、現在を彩るプレイヤーたちとは一線を画していきます。ラブライブを戦う遥と、それを見送る彼方。今後のステージに備える愛と璃奈。部長の仕事を覚えようと頑張るかすみ。現在に邁進する他のメンバーを見ながら、自身は今に集中することが出来ません。

街を歩いていても、虹ヶ咲を受験する学生たちの”未来”が気になってしまう果林。心配したエマと彼方は、未来の自分たちを憂う気持ちを聞き出します。不安に共感しつつ、エマの出した答えは「今に目を向けよう」というエール。それを受け取ることで、今を完全燃焼しようと決意した果林は、『1st live』を提案することが出来ました。

KMT…(彼方ちゃんマジ天使)

11話ではメンバーそれぞれの視線を追い、誰が、何を見ているか明確に描いています。何かに興味・関心を持つのはいいことで、それを『見つめる』のも大切なこと。しかし、時間軸が「過去・未来」に向いてしまうと、自分たちの手の届く範囲から逸れてしまう。寧ろ、現在を見つめることが未来を生み出す源泉になる。そのことに、レインボーブリッジを見た果林は気付くことが出来ました。

光るレインボーブリッジ。『未来ハーモ二ー』のBGMが流れていると気づかなかったくらいなので、この辺りの読み解きは他の人たちに任せようかと…

11話は、現在に目を向けることの大切さを語りつつ、かすみと果林という、全く別の視点を持った二人が前進のきっかけを生んだことに、意味のあるエピソードだったと思います。それぞれ普段見ているものが全く違っていて、物事に対する感じ方も違うけれど、そのお陰で問題の早期解決が出来たり、今を一番楽しめるアイデアが浮かんだりする。前回から引き続き、1.3年生を中心に話が進むのも、同好会の現在地をよく示していました。

しかし、その流れも長くは続かず。「これはゆうぽむが始めた物語だろ…」と言わんばかりに、次回は2年生二人にスポットが当たる形となりそうです。家族としてラブライブ!出場を見送る彼方ちゃんが、どう絡むのか。『エール!』というサブタイトルにも注目ですね。

どんな話か全く分からん!

引用:©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?