SELECTION PROJECT 5話 感想
久々の記事はセレプロから。
「リアリティーショー」をメインに据え、トップを目指す9人の少女たちがぶつかりあい、心を通わせあいながら進むこの物語。前半部になる一次審査を終え、作品が目指すもの、描きたいものも鮮明になってきたと思います。
5話ではGapsCapsの3人が審査を突破するための歩みを真剣に切り取りつつ、チームとして纏まりができるまでの過程を丁寧に描いていました。個人的に好きなポイントを抑えつつ、エピソードについても語っていきましょう。
まず、セレプロは圧倒的にOPがいいな、と思います。サビ前のダンスで作画を使っているのもいいし、サビ入ってからのコマ送りカット集もセンスの塊。キャラクターたちが日常生活を送りながら、審査のための日々を過ごしているのがよく分かる。
更に、自然と期間中に絆が育まれていくことが示されていて、本編の導入としても優れたムービーになっていると思います。アニメを見る前にこのOPを見ても、振り返りで見ても、納得できる作りになっている。それが本当にいいな、と感じます。
5話もOPで示されたものをなぞるように展開され、マーマが”人と成長していく”という結論を出すまでのエピソードが描かれました。お嬢と先生は相互に家にまつわる誇り、或いは呪縛を背負っていて、意見が合わないまま衝突してしまうことになります。
高名な家に生まれ、英才教育を受けてきたお嬢はその能力を証明したい。子役として幼少期から活躍しつつも、絶えず母のサポートを受けてきた先生は自分一人の力で羽ばたきたい。家の重圧に対する捉え方が二人を分かち、なかなかうまくいきません。
最高のパフォーマンスを追求するお嬢と、早く結果を欲しがる先生。二人の衝突は十分納得できるものですが、解決に至るまで、どちらも”家”が顔を出さないのはいいな、と思いました。捉え方の違いはともかく、二人は共通して家の問題について決着をつけたがっているわけですから、親の力を借りては解決になりません。
とはいえ、これでは一次審査を突破することもできません。そこで、マーマが”親”としての役割を果たすことになります。彼女は前半に適切な答えを見つけられず、二人の間で板挟みの状態に置かれてしまうものの、唯一家族と連絡を取り、解決のための糸口を得ます。
お嬢と先生の二人は実績や教養がありますが、視野が狭く、チームに協力できないなど、まだまだ成長過程にいる存在です。問題が起こった時に、回り道しないと最適解に辿り着くことができません。だからこそ、自立したいという願いを尊重しつつ、親代わりになってあげられる人が必要になってきます。
その点で、マーマは取り立てて証明すべき事柄も、克服すべき障害もなく、非常に安定している存在だといえます。本編でも(つっけんどんな)玲那や遠く離れた母に話を聞くなど、状況をよく見て、解決のために一番必要な手段を選ぶことが出来ています。
そんな彼女が選んだ答えは、今のセレクションを突破することよりも、お嬢と先生の人間的な成長を願い、見守るということでした。愛のある喝を(おしり叩き!)を得てようやくGapsCapsは纏まり、一次審査を突破することになります。
今回のマーマの結論もそうですが、セレプロは問題に対してクリティカルな回答をしません。どのような状況にも対応できる教養に満ちた答えよりも、彼女たちの生活に即し、描いてきたものに対して最も素直な解決策を提示して、泥臭く乗り越えていきます。個人的には、この要素をとても気に入っています。
2話でセイラが出した決断、そして3話でSuzu☆Renaが取った戦略を見ても、選択としては明らかに極端なものが突破口として描かれています。今回のマーマも場合によっては本末転倒になりかねない結論を出しているものの、5話を通してみれば頷けるものになっていると思います。
アイドルアニメは問題に対して優等生的な答えを出しがちというか、ともすればキャラクターが聖人にしか見えない行動をとる場合もあるので、そのような点をかなぐり捨てて描いているのはとても好感が持てます。
その上で、親の力を借りたくない先生(小泉詩)には最後の最後までママと連絡を取らせることなく、彼女のプライドを守ってやる心遣いがあったり、凪咲ちゃんの記号的な腹黒イメージを逆手にとってストーリーを作ってくるなど、各キャラへのケアもよく行き届いている作品だと思います。
他には、ライブが完全に3Dなのもいいですね。演出やライティングに力が入っていて、生でパフォーマンスしている場面がよく伝わってきます。違和感の出やすいフル3Dを採用するのは結構な勇気がいると思いますが、その選択が持つ強みをしっかりと把握し、表現している。こういう部分を見ると、力のある作品だと評価したくなります。
それから全く個人的な感想ですが、自分はラブライブ!虹ヶ咲学園スクール学園同好会が大好きなので、矢野妃菜喜さんの出ている作品が良いものを作っていると、嬉しくなりますね。多くの人が言っているようにIDORY PRIDEと根幹の設定が丸被りしたという疑惑もあった分、それ以外の部分で好きになれる要素を見つけられたのは非常に良かったと思います。
セレプロとアイプラに似たような設定があるのは確定的だと思いますが、内容はリアリティーショーとド直球の勝負論アニメで結構違うので、その辺は大丈夫かな、と思っています。まあ、この辺は見守っていくしかないですね。
物語の方は一次審査を終え、来週から二次審査に入ると思います。主人公ちゃんの設定がアイプラと丸被りでないことを祈りつつ、楽しみにしていきましょう。
最後に、番組HP/OP/第5話挿入歌のリンクを張っておきます。SELECTION PROJECTはエールという独自指標を使っており、実際にHPから各キャラにエールを送れます。淀川逢生ちゃんか小泉詩ちゃんへの投票にご協力お願いします。
サムネイル画像:©SELECTION PROJECT PARTNERS
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