見出し画像

#ZETAWIN を楽しむために

この記事について

世界トレンド1位となった「 #ZETAWIN
これは、ゲームの国際大会でZETA DIVISIONというチームが大躍進をしていることでトレンド入りしました。
よくわからない人向けに、いったい何が起きているのかを簡単に解説して、4月23日の次戦を #ZETAWIN で盛り上げたいというところから書きました。(e-sportsの大会では、応援するため「チーム名+WIN」という表記が使われます)

本当に時間のない人向けに端的に今の状況を説明すると
最弱地域と評された日本の代表チーム「ZETA DIVISION」が、国際大会で初勝利→大逆転劇でのプレーオフ進出→Best6→Best4まで来ているのです。

お時間のある方は、ゲームについて、大会について、日本チームについて、Best4までの経緯をそれぞれまとめていますので、読んでいただけると幸いです。ちょっと長いですが、とりあえずこの記事を読めばにわかになれる、くらいには書いています。Wikiやいろんなサイトを掻い摘んでの情報ですので、より詳細な情報を知りたい方は各所のサイトを参照されるのが良いかと思います。
(筆者もVALORANTにわかですので、間違いもあるかもしれませんがご容赦ください)

視聴はTwitchからできます。海外の本配信もありますが、日本チャンネルvalorant_jpnは日本語での実況・解説が聞けます。

VALORANTについて

VALORANTとは

VALORANT

VALORANT(ヴァロラント)は、基本プレイ無料の5vs5タクティカルFPSゲームです。
無料のFPSといえば近年だとAPEX LEGENDSも人気ですが、APEXはメインがバトルロワイアル形式であるのに対し、VAROLANTはスパイクと呼ばれる爆弾を仕掛ける側(アタッカー)と、解除する側(ディフェンダー)に分かれて戦うのが特徴です。この形式によるFPSを爆破系FPSなどということがあります。

マップ例 A、Bの色の付いたエリアがスパイク設置可能エリア
(ZETA DIVISIONのサイトより引用 https://zetadivision.com/news/2022/02/15/7913)

各プレイヤーは「エージェント」と呼ばれるそれぞれ能力(アビリティ)の異なるキャラクターを選択します。ここがこれまでの爆破系FPSとは異なる部分で、銃の打ち合いだけでなく味方・敵チームのエージェント構成を考慮しながら、攻守の戦略を練るのが重要なゲームです。
エージェントのアビリティ、マップの特性などは重要な部分ではあるもののプレーして覚えこまないとわからないので、VALORANTやったことないけどZETAを応援したいという方は以下だけでもおさえておくと試合が見やすくなると思います。

  • アタッカーは、マップに複数ある設置エリアのどれかに向かいスパイク設置を目指す。スパイクは設置後一定時間で爆発するので、スパイクを爆発させる、相手5人を倒す、のいずれかでラウンド勝利(5人やられてもスパイクが爆発した場合はアタッカーの勝利)

  • ディフェンダーは、アタッカーのスパイク設置を防止、もしくは設置されたスパイクを解除することを目指す。ラウンドの制限時間内にスパイクを設置させない、設置されたスパイクを解除する、相手5人を倒す、のいずれかでラウンド勝利

  • 上記の攻守は12ラウンド間隔で入れ替わる

  • 13ラウンドを取るとそのマップの勝利となり、2マップ先取するとマッチ勝利(決勝では3マップ先取)

  • 各ラウンドの開始前には「購入フェーズ」があり、手持ちのクレジット内で、武器、アーマー、アビリティの購入などを行う。クレジットはラウンドの個人結果(勝敗、キル、スパイクの設置・解除等)で決まる。

    • 攻守の最初(第1、第13、第25ラウンド)は初期クレジット800しかなくピストル系武器しか使えないことからピストルラウンドと呼ばれる

    • クレジットを節約するラウンドは「エコラウンド」という。その他、まったく買わないときは「フルエコ」、クレジット内で強い武器を買うときは「フォースバイ」、フル装備を整えるときは「フルバイ」などという。

  • 落ちている武器を持ち替えていることがあるが、これは生き残った場合装備している武器を次ラウンドに持ち越せるため(次ラウンドがピストルラウンドの場合を除く)、敵味方の使っていた強い武器を持ち帰ることで次ラウンドを有利に進めたり、クレジットを節約できる。スナイパー武器であるオペレーターは、最高クレジットかつ超強力武器であるためよく持ち帰られる。

  • その他ZETA戦特有の用語で「国産ジャッジ」という言葉が実況などで出てきます。ジャッジというのは至近距離最強クラスのショットガンのことです。近距離武器ゆえ、相手との距離を詰めれるタイミングがないと使えない武器ですが、ZETAはジャッジの扱いが他チームに比べ上手いため「国産ジャッジ」とよく言われます。

その他の詳細についてはまとめられているサイトが多いのでそちらを参照するのが良いです。

【新連載・今日からはじめる『VALORANT』第1回】『VALORANT』ならではの“基本ルール”を理解しよう!

https://alienwarezone.jp/post/2966

5分でわかる『VALORANT』 爆破か、爆破以外か——本格派チームバトル

ゲームの影響力

世界の競技人口や大会の活発度から影響力のあるe-sportsタイトルが四半期ごとに調査・公開されていて、VALORANTは2021年第2四半期、第3四半期で最高ランクのTier1を獲得しています。世界の影響力はかなり高いタイトルといえます。
また、2021年の後述するVCTという大会のアジアラストチャンス予選の視聴者数は日本だけで10万人を超え、決勝に進出したNORTHEPTIONを応援する「#NthWIN」が日本トレンド1位を獲得しています。日本国内でも注目度の高いタイトルといえるでしょう。

VCTについて

VCTとは

VCTは、「VALORANT CHAMPIONS TOUR」の略で、1年を通して年間最強を決めるVALORANTとしては世界最大規模の大会です。
リージョンとよばれる各地域の代表を決める「Challengers」、Challengersの勝者たちが戦う「Masters」、年間最強を決める「Champions」の3レベルがあります。2022年はChallengers、Mastersは2回(Stage1、Stage2)が予定されています。
(LCQはエリアごとに開催されるChampions出場権をかけたラストチャンス予選大会)

VCT 2022のスケジュール
https://valorantesports.com/news/vct-challengers-kicks-off-soon/ja-jp


2022年4月現在、「#ZETAWIN」が盛り上がっているのは、この中のMasters Stage1で、リージョンを勝ち上がったチームが戦う国際大会となります。
日本の所属リージョンは、「日本」が設定されています。つまり日本が1リージョンとなっています。Mastersには1枠が用意されており、実質的に国内大会となるChallengers Stage1を制したZETA DIVISION(以下、ZETA)が出場しています。

VCT 2022のMasters出場枠
https://valorantesports.com/news/vct-challengers-kicks-off-soon/ja-jp


日本チームの過去の成績

VCT 2021はMasters Stage1が新型コロナの影響で国際大会から地域限定大会となったため、Stage2、3が国際大会となりました。
Masters Stage2はZETAのライバルCrazy Raccoon(以下、CR)が出場し、トーナメント初戦敗退、敗者トーナメントも初戦敗退。
Masters Stage3はZETA、CRの2チームが出場。ZETAがラテンアメリカ代表「KRÜ Esports」に対し念願の1マップ獲得するも、2連敗でグループリーグ敗退。CRはブラジル代表「Havan Liberty」に対し日本チーム初の勝利を納めますが、1勝2敗でグループリーグ敗退。なお、CRの2敗はいずれもこの大会で優勝するGambit Esportsとのものです。ただ2回の内容は全く違いました。1回目は2マップとも1ラウンドしか取れず惨敗でしたが、2回目は第二マップでオーバータイムまでもつれ込む接戦となり善戦と呼ぶにふさわしい戦いでした。
CRが1勝し、Gambit Esportsに善戦するものの全体的な戦績は振るわなかったため、「日本は最弱リージョン」というレッテルが貼られてしまいます。

ZETA DIVISIONについて

ZETA DIVISIONのロゴ https://zetadivision.com/digitalasset


ZETA DIVISIONは、日本のゲーミングライフスタイルブランドです。単なるe-sportsのプロゲーミングチームとは異なるのは、ストリーマーも多く所属し、ゲームカルチャー全体を見通した活動をしています。(ZETAでは選手活動している人はATHLETE、ストリーマーなどの活動をしている人はCREATORと表現している)。現在ATHLETEが活躍しているタイトルは、VALORANTのほか、APEX LEGENDS、COD、FORTNITEなどがあります。

話をVALORANTに戻します。ZETAは2021年のMasters Stage3の敗退後、VCT Championsの最後の出場権を得られる「APAC LCQ」というラストチャンス予選の出場を辞退し、チームの再編に乗り出します。
そこでDep、SugarZ3ro、TENNNの3選手が加入し、今のZETAメンバーとなります。簡単に紹介します。

  • Laz(ラズ):チームリーダー。CS:GOというFPSゲームで台頭を表し、国内大会19大会連続無敗という記録を残し、2020年VALORANTへ移行。VALORANTでも国内初の公認大会から優勝するなど、日本のトップランナーとして活躍。https://zetadivision.com/players/laz

  • crow(クロウ):前身チームAbsolute時代からLazと共に戦っている盟友。堅実なプレイはまさに縁の下の力持ち。スタッツには表れない立ち回りでチームを牽引する。https://zetadivision.com/players/crow

  • Dep(デップ):REJECTから移籍。人呼んで「神の子」。超攻撃的な立ち回りが特徴。これまでオーバーウォッチ、PUBGなどのタイトルで日本代表の経験がある。https://zetadivision.com/players/dep

  • SugarZ3ro(シュガーゼロ):NORTHEPTIONから移籍。チーム最年少。特に扱いが難しいとされるエージェント「アストラ」を使い、アストラといえばSugarZ3roといわれるほど。https://zetadivision.com/players/sugarz3ro

  • TENNN(テン):NORTHEPTIONから移籍。オーバーウォッチで日本代表を経験。VALORANTでは様々なエージェントを使いこなし、攻撃も守備も盤石なオールラウンダー。https://zetadivision.com/players/tennn

そしてコーチも非常に重要なメンバーなので紹介します。

  • XQQ(エックスキュー):ヘッドコーチ。Battlefield4、オーバーウォッチで有名なプレイヤーとして知られた元プロ選手。日本では馴染みのなかったコーチ業にいち早く着目し、2018年コーチへ転身。オーバーウォッチ、レインボーシックスシージのプロチームでコーチを行い、結果を残す。2020年にZETAへ移籍し、VALORANT部門のコーチを行っている。

再編後短い期間で挑んだ2022年のChallengers Stage1では、トーナメント2回戦、さらに決勝でもライバルCRとマッチし勝利。Mastersへの権利を得ました。

グループリーグ

来るVCT Masters。会場はアイスランドの首都レイキャビク。時差は9時間なので、日本で見る場合、試合は夜中~早朝になります。
ZETAはGroup Aで、韓国代表のDRX、EMEA代表のFnatic、ブラジル・ラテンアメリカの各リージョンで2位同士のプレーオフを制したNinjas in Pyjamas(NiP)と同じグループとなりました。引き分けのないゲームなので2勝した時点で勝ち抜け、一方で2敗した時点で敗退確定となります。当然ですがいずれも強豪であり、ZETAが勝ち抜けるとは思われていませんでした。

DRX戦

DRX戦は動画1戦目なので飛ばさず見れます。

オープニングマッチのDRX戦の結果です。表記はZETA - DRXのラウンド取得数。以降統一で左がZETAです。
第一マップ:Icebox  2 - 13(DRX)
第二マップ:Haven  3 - 13(DRX)

何もさせてもらえなかった。そんな感じでした。世界との壁を大きく感じた、、、のは視聴者だけだったかもしれません。
この後ZETAは覚醒し、そしてリベンジの機会も訪れることとなります。

Fnatic戦

Fnatic戦は7時間あたりから。

Fnatic戦の結果です。
第一マップ:Fracture  13 - 7(ZETA)
第二マップ:Icebox  13 - 11(ZETA)

DRX戦から修正がうまくいったのか、見事Fnaticから2マップ連取で勝利し、MastersでのZETA初白星となりました。ここで1勝1敗となり、プレーオフ進出はNiP戦に託されることになりました。(この時点でDRXは2連勝で勝ち抜け、Fnaticは2連敗で敗退が確定)

NiP戦

NiP戦は2時間55分あたりから。

NiP戦の結果です。
第一マップ:Split  6 - 13(NiP)
第二マップ:Icebox  13 - 10(ZETA)
第三マップ:Fracture 14 - 12(ZETA)

1勝1敗同士、勝った方がプレーオフ進出のNiP戦は、超接戦の末ZETAの勝利となりました。ハイライトすべきはやはり、第三マップで、8 - 12とマッチポイントを取られてからの6ラウンド連取での勝利でしょう。時間がないという方でもここの逆転劇は見てほしい!上記リンクの6時間10分あたりから見るのがいいです。

プレーオフ

ZETAは日本チーム初のグループリーグ突破、プレーオフ進出を果たしました。
プレーオフはグループリーグを突破した4チームと、シード4チームでのトーナメントとなります。このトーナメントはダブルエリミネーション方式といって、e-sportsを普段見ない方は聞きなれない言葉かと思います。
簡単に言うと、トーナメントで敗れても敗者トーナメントに入り、敗者同士で戦います。Upper Bracketでいわゆる普通のトーナメントが進み、Upperで負けたチームは随時Lower Bracketに入り、再度トーナメントを勝ち進んでいくことになります。最終的にはUpperのFinal勝者とLowerのFinal勝者同士でGrand Finalを戦い優勝チームが決まります。
通常のトーナメントで起こりやすい「事実上の決勝戦」を排除するためのトーナメント方式となっています。

G2 Esports戦

G2 Esports戦は1戦目なので飛ばさず見れます。

プレーオフ初戦はヨーロッパの強豪G2 Esports(以下G2)。ZETAとCRが涙を飲んだVCT  2021 Masters Stage3で準決勝まで進んだチームです。

G2戦の結果です。
第一マップ:Split  7 - 13(G2)
第二マップ:Bind 10 - 13(G2)

2マップ連取されてしまい、結果としては敗北でした。しかし、内容はG2に完全に食らいついていて、DRX戦のような雰囲気ではありませんでした。なにしろNiP戦から丸1日も間の空かない中での試合だったこともあり、十分に休息できていたらどうなっていたか…と思わせてくれる戦いでした。
ZETAはLower Bracketに進むことになります。

Team Liquid戦

Team Liquid戦は1戦目なので飛ばさず見れます。

Lower Bracket初戦はTeam Liquid(以下TL)。こちらもヨーロッパの強豪。VCT 2021 Championsに出場したチームで、準決勝まで進んでいます。
Champions準決勝進出という成績は、ZETAと比較してもやはりTLに分があるように思えました。(なんでTLがLowerに来た?と言われたくらいです)

そんな名門TL戦の結果です。
第一マップ:Fracture  13 - 7(ZETA)
第二マップ:Haven  4 - 13(TL)
第三マップ:Split 13 - 7(ZETA)

なんと勝利です。正直、TL戦を見ていた多くの人は勝利を信じつつも、いい戦いをしてくれればそれでいいと思っていたと思います。しかし蓋を開ければ第一マップで8ラウンド連取する強さを見せます。第二マップは力で押されてしまうものの、第三マップは5-5あたりまで拮抗しつつも終始ほぼリードする形で、最後は引き離しての勝利です。
日本は最弱リージョン」と大会が始まるまで(始まってもしばらく)言われていたレッテルは、ここに来て完全に剝がされることになりました。世界が、ZETAの、Lazの、crowの、Depの、SugarZ3roの、TENNNの強さを認めました。この時点でBest6が確定
さらに「#ZETAWIN」がTwitterで世界トレンド1位を獲得。世界同時視聴者は64万人、国内同時視聴者は32万人となり、e-sportsファンの垣根を越えた注目を浴びることになります。(日本は夜中2時。夜が明ければ平日月曜日がやってくる時間帯の視聴者数です。)

DRX戦

DRX戦は1戦目なので、飛ばさず見れます。

Lower Bracket2戦目は、オープニングマッチでぼこぼこにやられたDRXとのリベンジマッチとなりました。TLに勝って波に乗りたいZETAですが、それでもDRXは大会開始タイミングで優勝候補と目されたチームです。

DRX戦の結果です。
第一マップ:Icebox  13 - 11(ZETA)
第二マップ:Ascent  10 - 13(DRX)
第三マップ:Split 13 - 4(ZETA)

見事ZETAが雪辱を果たしました。オープニングマッチで何もできなかったIceboxで勝利を納めたのが大きかったと思います。本当にすごい。これでBest4確定です。
TL戦に続き、「#ZETAWIN」がTwitterで世界トレンド1位を獲得。世界同時視聴者数は66万人を超えました。4/21時点で大会の同時視聴者数は、ZETAのDRX戦、TL戦がそれぞれ1位、2位であり、世界でも国内でも強豪ZETA DIVISIONへの注目度が最高潮に高まっている状態です。

次戦

次戦の相手は決まっていて、APAC(アジア太平洋)のChallengers stage1優勝チームで、シンガポールを拠点とする「Paper Rex」です。
ZETAが負けたG2に勝ちBest4を決めています。
常に先手を打ち続け、展開を早め混戦に持ち込むスタイルを得意とし、さらに他チームではほとんど見られないような独特なエージェント構成が特徴です。
そのため今までの強豪とは全く違う角度での対策が必要になってきます。
ZETAがどのような対策をしてくるか楽しみです。

ちなみにBest4だと、普通は次勝てばGrand Finalかと思いますが、ダブルエリミネーション形式では違います
ZETAはLower Bracketですので、次戦勝つとBest3確定。そしてUpper BracketのFinal敗者とLower BracketのFinalをやることになります。そこで勝つとようやくGrand Final進出です。

もうどこで負けても最弱のレッテルを貼られることはないでしょう。それだけの結果を残しています。だからといってここまで来たなら負けてほしくはありません。
ぜひ「 #ZETAWIN 」で応援しましょう。
Paper Rex戦は4/23(土) 朝5時スタート予定です。
NICE!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?