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愛媛とカワちゃん

"河原和寿選手 退団のお知らせ"。
J2リーグも残すところ2試合となり、次節はホーム最終戦というタイミングで、愛媛FCサポーターに大きな衝撃が走りました。この時、愛媛FCは例年よりも遅れて残留を確定させたばかり。来季も同じカテゴリーにいられることに安堵していたのも束の間でした。

河原選手といえば、誰もが認める愛媛FCのエース。在籍7年で3度の年間2桁ゴールという実績はもちろん、ひたむきで献身的なプレースタイルや愛嬌たっぷりの笑顔、誠実で穏やかな人柄から、多くのサポーターに愛されている選手です。特に、苦しい時でも誰よりも懸命に走り、死にものぐるいで一点を狙いに行く姿が印象的で、私はそんな河原選手のプレーに、これまで何度も数え切れないほど勇気付けられてきました。

どんな選手もいつかはチームを去る。そんなことは当たり前で、頭ではちゃんと理解しているつもりでしたが、予想以上に早く"その時"が来てしまったという事実を、私はすぐに受け入れることが出来ませんでした。
このまま愛媛で引退してほしい。そう願っていた、いや、そうであるに違いないと信じていたサポーターは決して少なくないはずです。それは、河原選手がこれまで愛媛FCというクラブやサポーター、地域に注いでくれた愛情の大きさがそう思わせていたのだと思います。

私が愛媛FCの試合を頻繁に観るようになった頃、彼はもう既に愛媛FCの一員でした。スタジアムに行くと周囲の人たちは揃って20番のユニフォームを着ており、20番の選手は随分と人気なんだなぁと思ったのを覚えています。最初は顔と名前がかろうじて一致する程度でしたが、河原選手が人気者である理由はすぐにわかりました。

真面目で努力家。よく笑い、よく泣くこと。そして、愛媛を心から愛してくれていること。
チームを勝利に導くためにとにかく走る。ハードワークをいとわない。結果が出れば全力で喜び、時には嬉し涙を流す。結果が出なければ、思い詰めすぎていないかとこちらが心配になるくらい、ひたすらに努力を重ねる。感謝の気持ちを忘れず、愛媛が大好きだといつも声を大にして伝えてくれる。
河原選手を好きになるのに、時間はかかりませんでした。全力で頑張る姿を見ているからこそ感情移入せずにはいられず、一緒に笑ったり一緒に泣いたりして、その活躍を見守ってきました。きっと他のサポーターも同じだったと思います。

私たちを喜ばせることも沢山言ってくれる選手でした。
来季の去就について質問された時、愛媛に感謝しているから、簡単にこのチームを出て行くことはできない、と答えてくれたこと。このクラブで成長してみんなと上に上がりたいから、契約更新の決断にはなんの迷いもなかったと言ってくれたこと。夢は愛媛に家を買うことだ、と言ってくれたこともありました。
もちろん多少のリップサービスはあったと思います。ただ、これだけの実績を残しながら他クラブからのオファーが全くなかったとは考えにくく、彼が本心からそう思ってくれていて、いくつかの選択肢の中から愛媛を選んでくれていたのではないかな、と個人的には思っています。(真偽は分かりませんが)

退団がリリースされた後、多くの愛媛FCサポーターが河原選手との思い出を振り返っていました。その中でも、河原選手の11ゴールのおかげでJ1昇格プレーオフに進出できた2015年の思い出は、皆の心にとても色濃く残っているように感じます。
タレント豊富なセレッソ相手に粘り強く戦い続け、終了間際に劇的逆転ゴールを決めて勝利を収めたこと。4戦勝ちなしで6位以内のフィニッシュに陰りが見え始めた矢先の群馬戦、久々にゴールを決めてヒーローインタビューで泣いたこと。プレーオフ準決勝で勝つことが出来ず、試合後ゴール裏のサポーターに深く一礼してそのまま頭を上げられなくなったこと。
あの時河原選手が居なければ、愛媛FCがあの舞台に立つことはなかったと思います。嬉しいことも悔しいこともあったシーズンでしたが、たくさんの感情を共有し、一緒に戦えたことは、私にとって一生の宝物です。

退団に関して、冒頭ですぐには受け入れられなかったと書きましたが、今は7年間愛媛のためにと尽くしてきた河原選手だからこそ、最後は"愛媛のため"ではなく"自身のため"の選択をしてくれて良かったのだと感じています。
どこにいても愛媛FCサポにとって彼が特別な存在であることは変わりませんし、今後もずっと応援し続けていきたいです。

チームが苦しい時も、華々しい活躍が出来ていない時でさえも、どんな時だって変わらず私たちのヒーローで居続けてくれた河原選手。愛媛を愛してくれてありがとう!

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I wish you all the best.
今後の人生に幸多からんことを。


…と、こんなことを書いていると、またモカちゃんラブレター書いてる、ときっと冷やかされたり、面倒くさいこと言われたりするんでしょうけど、これだけ愛媛に尽くし、"この街を、このクラブを愛していた"と言って去っていく選手に、愛しているの一言も返せないで何がサポーターだよ、壊れるほど愛しても1/3も伝わらないんだぞ、と思ったので書きました。
河原選手、サポーターには重いくらいの愛を貰っていたと仰っていて、多分こういうのを指すんだろうなぁと思いつつ…でも最後だから重くても許してほしいです(笑)

そして、長くなりましたが、この場で1つお礼を言わせてください。
先日のホーム最終戦のニンスタにて、河原選手に渡す色紙に寄せ書きをしてもらえないかとお願いして回ったのですが、おかげさまで溢れんばかりに沢山のメッセージをいただくことができました。急に突撃したにも関わらず快くご協力くださった皆さま、本当にありがとうございました。また、私がバタバタしていて時間が足りず、書くよと仰ってくださったのに出会えなかった方もいらっしゃって大変申し訳なかったです、ごめんなさい…。

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見られたくない人もいらっしゃるかと思うのでモザイクかけていますが、沢山メッセージをいただいたのが伝わるでしょうか?
子どもたちが僕も書く!私も書く!とペンを奪い合い、大きな文字で河ちゃん大好きと書き始めたのを見て、グッとくるものがありました…。みんなの思いはきっと伝わったと思います!

また、サポーターのみならず、愛媛FCスタッフ、愛媛FCレディースのみなさま、FM愛媛の関さん、そしてなんと元愛媛FCの大山俊輔選手にまでご協力いただきました。みなさま本当に本当にありがとうございました!



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