見出し画像

大阪という街

大阪が好きだ。

なんでかはわからない。長いこと住んで愛着が湧いているのならまだ理解できるが、住んだのは直近の2年間だけ。それでも、会社から歩いて帰ってるときはいつも大阪はいいなあとしみじみ感じている。

別になにか特別なライブイベントが起こったわけでもなんでもないのだが、記憶をスクロールしていけば、どうでもいいような、でも自分にとっては特別な映像が脳裏に浮かぶ。

クラシックコンサート中に不動産情報誌を読み上げるおじさんも、大声でよろよろ走りながら追いかけてくるおじいさんも、休日に読書の為にホテルのラウンジに行ったら行ったら必ず遭遇する待機中のパパ活女子も、お釣りを渡すときに過剰に手を握ってくるレジ打ちのおばさんも、ある日突然見かけなくなったメガネのフレームがぐにゃぐにゃに歪んでいるスーパーの店長も、公園で罵倒し合いながら杖で叩き合っている老夫婦も、早朝の商店街で植木鉢に頭を突っ込んで寝ているサラリーマンも、銭湯で腕相撲を挑んでくるおじさんも、スーパーで会うと必ず話しかけてくるシングルマザーの水商売のお姉さんも、タバコの火を貸したらゲーテの本をくれたクロックスのお兄さんも、みんな自分にとっての大阪の一部。

とても優しい街だった。
またいつか戻ってきたいと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?