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「水循環基本計画」徹底解説:我が国の水資源保全戦略とは?





はじめに

水循環基本計画とは

 水循環基本計画とは、日本の水資源や水環境を適切に管理・保全するために策定された計画です。この計画は水循環基本法に基づいており、水循環に関する総合的な施策の基本となるものです。平成27年7月10日に初めて閣議決定され、その後、令和2年6月16日および令和4年6月21日には見直しが行われています。「水循環基本計画とは」いう問いに対し、これらの改定を含む計画全体が国や自治体、地域ごとの具体的な取り組み指針を示す重要な文書です。

計画策定の背景

 水循環基本計画の策定背景には、我が国における水資源や水環境の複雑さがあります。地下水の減少や水質の悪化、気候変動による水循環の変動など、さまざまな課題が存在しています。これらの課題を解決するために、内閣官房水循環政策本部が中心となり、各地の自治体や関係機関と連携しながら綿密な計画を策定しました。この計画は、流域連携の推進や貯留・涵養機能の維持をはじめとする多岐にわたる施策を含むもので、地域ごとの特性や課題に合わせた具体的な対策が示されています。


水循環基本法と基本計画の関係

基本法の概要

 水循環基本法は、我が国の水循環に関する基本的な方針を定めた法律です。この法律は、水資源の健全な循環の確保を目的としており、持続可能な社会の実現を目指しています。また、基本法では水資源の保全や利用に関する各種施策を総合的かつ計画的に進めるための枠組みを提供しています。

 具体的には、水循環基本法では、地方自治体や政府機関、そして市民が連携して取り組むべき事項が提示されています。これにより、地下水の適切な管理や水質保全、水害防止など多岐にわたる施策が進められます。

基本計画の目的

 水循環基本計画とは、水循環基本法に基づいて策定される計画であり、我が国の水循環に関する具体的な施策を規定しています。基本計画の目的は、持続可能な水資源の確保と水環境の保全を図ることです。

 この計画は、地域ごとの特性や課題に応じた具体的な方策を示しており、自治体と連携した取り組みが推奨されています。また、流域単位での連携や貯留・涵養機能の維持、雨水の効果的な利用など、包括的なアプローチが重視されています。

 さらに、新たな水循環基本計画では、近年の気候変動や社会の変化に対応した施策が追加される予定です。これには、水循環政策本部による調整やパブリックコメントを通じた議論が含まれており、最新の科学的知見に基づいた対策が講じられることになります。


水循環基本計画の具体的な内容

流域連携の推進

 「水循環基本計画」の重点施策の一つが、流域連携の推進です。流域連携とは、河川や地下水を含む広い範囲の水循環を一体的に管理し、その健全な維持を図るための取り組みを指します。流域水循環協議会や流域水循環計画の策定がその具体的な手段となります。これにより、地域ごとの特徴や課題を踏まえた効率的な水管理が可能となり、自治体や関係機関が協力して水資源の保全に努めることが期待されます。

貯留・涵養機能の維持及び向上

 水循環基本計画では、貯留・涵養機能の維持及び向上も重要な施策として位置付けられています。貯留・涵養機能とは、地下水の貯留や森林や湿地など自然環境によって水を含む能力です。これを維持・向上することで、地域の水資源の安定供給や浸水被害の軽減、さらには生態系の保全も期待できます。具体的な施策として、河川やダムの機能強化、森林の保全活動などが行われています。

雨水貯留浸透施設の設置促進

 また、雨水貯留浸透施設の設置促進も「新たな水循環基本計画」の中で強調されています。都市部では、防災や水資源確保の観点から、雨水を貯留し、地下水へ浸透させる施設の導入が急務となっています。この施策は、雨水を効率的に利用することで地下水の補充を図り、干ばつ時の水不足や集中豪雨時の洪水被害を軽減する効果があります。内閣官房水循環政策本部は、自治体と連携してこの種の施設の普及を推進しています。


施策の実施状況と事例

地域ごとの取組

 日本各地で「水循環基本計画」に基づく様々な施策が進行中です。例えば、大野市やにかほ市では、自らの「流域水循環計画」を策定し、地域の健全な水循環や地域振興に向けた取り組みを行っています。これにより、地域ごとの特性やニーズに対応した効果的な水資源管理が可能となります。地域特有の課題に合わせた計画策定が行われることで、地下水の涵養や雨水の有効利用などが進められています。

政府と地方公共団体の役割

 「水循環基本計画」とは、国全体の水資源管理を目指す包括的な計画ですが、それを実現するためには政府と地方公共団体の連携が不可欠です。政府は内閣官房水循環政策本部を中心として、全国的な施策の企画と推進を行う役割を果たします。一方、地方公共団体は、地域ごとの具体的な施策を実施するため、地域住民との協力や地域の特性を活かした計画の策定・実施を行います。こうした連携により、持続可能な水循環管理が実現します。

新たな水循環基本計画の改定

最近の変更点とその背景

 令和2年6月16日に改定された「新たな水循環基本計画」では、さらなる施策の推進が決定されました。具体的には、流域水循環協議会の設置や流域水循環計画の策定が促進されています。これらの変更点は、全国的な水資源の持続可能な管理を目指し、水循環政策本部が主導して進められています。また、地下水の保全や有効利用にも焦点が当てられ、自治体単位での具体的な取り組みが期待されています。この背景には、気候変動や都市化が進行する中で水資源の確保や保全がますます重要となっている現状があります。

今後の展望

 今後、内閣官房水循環政策本部による新たな水循環基本計画の改定が検討されています。この改定では、パブリックコメントや各種会議を経て、より実効性の高い施策が盛り込まれる予定です。次回の改定では、特に地方公共団体と連携した取り組みが強化される見込みです。また、流域連携をさらに推進するための具体的な指針も示される予定です。これにより、健全な水循環を支えるための地域ごとの計画がより一層具現化され、日本全体での水資源の持続可能な管理が進められることが期待されています。

まとめ

水資源保全の重要性

 「水循環基本計画」とは、水循環基本法に基づき策定される計画で、我が国の水資源保全戦略を指針としています。水資源は生活、産業、環境保全などさまざまな面で必要不可欠な要素です。そのため、持続可能な水資源管理を行うことが重要となります。地下水や流域連携の施策を通じて、健全な水循環を維持することが求められます。

持続可能な水循環管理の必要性

 持続可能な水循環管理の必要性は、先述の水資源保全の重要性と表裏一体の関係にあります。地域ごとに異なる水循環の特性に応じた施策を展開し、水循環基本計画に基づく取り組みを促進することが求められています。また、新たな水循環基本計画には、流域水循環協議会や流域水循環計画の策定が重要な役割を果たします。政府と地方公共団体、自治体の緊密な連携が、持続可能な水循環管理の実現に不可欠です

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