Hate you,
夜な夜なベランダで吸うWinstonの3ミリ
白パッケージに甘臭い後味
灰皿を埋めるのはLarkの汚いオレンジ
彼が吸う銘柄にはひとつも当てはまらない
誤魔化してるつもり
それでもどうかしてる私
夏:タバコ辞めるって言ってたやろ
連れ込む癖は治らない
それを許してしまうお人好し
○:ごめんな、でも嫌なら部屋戻ってもええよ?
2人で半分こした家賃
築年数はかなり経ってる
それでも小綺麗な壁や天井が若作りする
1本目の半分
深く吐いた息が煙となって足跡をつけた
夏:あんな、一緒におる時間なんてそれでなくてもないのに家の時間まで削ったらほぼ別居やろ
○:別居なんて縁起でもないこと言わんでよ笑
夏:それぐらいのことしてるくせに…
はっきり言ったはずなのに彼までの距離には壁がある
育ちが悪い訳でもないしヤンキーに憧れた訳でもない
きっかけだけが謎だった
夏:なぁ…ウチらいつまでこんな関係なんやろな
○:好き勝手やってるうちはこんままやろうな…
夏:...○○のお父さんまたパチンコ負けたらしいで?
○:また?ほんまにあんなやつと血縁関係あるなんて信じたくないわ…
少なからず周りは止めてくれてる
「夏鈴には他にもっといい人がいる」って
恋は盲目、そんな言葉を作った人を褒めたい
モクモク煙があがる火柱
東国の日本にもやってくる白銀世界
夏:最近どうなん?仕事の方は
○:バッチリやで!ほんまに!
夏:やろうな、でなきゃ彼女放ったらかしで仕事なんてしぃひんやろ
○:嫌味?笑
夏:ウチの事も少しは構って欲しいねん...
そんなの嘘だなんてすぐ分かる
仕事以外にも抱えてる女がいることなんてお見通し
地獄まで突き落とす勢いで怒った時もある
でも彼を関西に送り返す案内人に私はなれない
散々でも最後は許してしまう私はお人好し
○:...不安にさせてるやんな、ごめん
夏:いつも謝れば許されるって思ってるやろ
夏:やから治らないねん
灰皿から漏れた吸殻
付き合った頃から変わった吸い方
私が嫌がればどれだけ残っていても踏み消した
若気の至りならそれでいい
長い目で見据える未来なら
私はあなたが嫌いだな
○:...
夏:ウチの何がダメなん...?
夏:身なりがダメなん?○○にとってウチは飾りなん…?
○:もう夜遅いて夏鈴
夏:理性なんか関係あらへん時だけ愛を伝える○○が1番ずるいやろ…!
夏:愛してるなんて軽い言葉じゃないねん…!
うるさい口には蓋をしろ
鼻先に抜けるバニラの甘い風味
逃げられないように頭が掴まれる
○:夏鈴が1番
○:何よりも愛してる
夏:っ...口だけならなんとでも言える!
夏:そういうんじゃなくて…ウチだけを見てほしいねん!夏鈴間違えたこと言っとる…?
切れかけたLEDの照明
愛の証明のために今だけは休んでてね
でも雰囲気に共鳴して桃色に光ってくれてもいいんだよ?
そして今日も愛を受け止めながら私に注がれる結晶
白く濁った液体がダラダラ垂れる
それが私を沼に引きずり込む
○:これでわかったやろ
○:俺には夏鈴しかおらんねん
夏:もうだれにも目移りしんようにマーキングしたるから...
全身につけたキスマーク
それでも君の首には見つからず
目印に余白なんていらない
私があげた琥珀色のネックレスはまだ持ってるかな
○:っ...
夏:○○はウチのモノ...誰にも渡さへん
気持ちを噛みすぎて穴の空いた皮膚にはたっぷりの消毒液
鈍い味ならちょうど得意だ
君に貰ってる日々で慣れたよ
朝焼けに染まる住宅街
いくつもあった終着点
それでも屈託のない君の笑顔はなぜか私を離してくれない
執着してるのは君なのに
私の空白を埋めてくれるのは君しかいない
他の女の誘惑なんてとっぱらって欲しいのに
私はまた君を求める
オレンジ色の空にはまた煙がたつ
背を向けた私は「優しい君」の元に向かうよ
なんでだろうね
やっぱり君が嫌いだ
恋人の皮を被った狼くん
この関係に終止符を打てたらいいのに