新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として 厚生労働省 首相官邸 のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。

「生ぬるい」対応の日本、なぜ欧米より死者が少ないか

私たち素人が新型コロナウイルスの感染状況を国毎に比較しようと考えた場合、検査方針や検査数の違いに左右される感染者数よりも、死者数で比較するのがもっとも簡便です。基礎疾患を持つ人の多さなど死者数に影響を及ぼす要因には様々なものがあり得ますが、COVID-19はワクチンも決定的な治療薬もないので、基本的には死者の多い国ほど感染者も多いといえるでしょう。また死者数を比較する際に、人口や高齢化比率を考慮しない数字はあまり意味がありません。同じ感染状況なら人口が多い国ほど、高齢者の死亡率が顕著に高いCOVID-19では高齢者が多い国ほど、死者が多くなるのはあたりまえだからです(もっとも近時あきらかになった超過死亡の調査結果からすると欧米各国ではCOVID-19の死者数についてかなりのカウント漏れがあると思われます。)。
"新型コロナ死者、70歳以上が8割…感染者は若い世代多く" 読売新聞 2020年4月14日 13:14
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20200414-OYT1T50115/

以下のグラフは、3月15日から5月16日にかけて、日本、中国、韓国、アメリカ、イギリス、イタリア、スペイン、フランス、ドイツの65歳人口10万人あたりの死者数の変化を示したものです。この9か国を選んだのは、いずれも国際的にみて医療水準が高く、都市化が進み、高齢者が多いグループに属するからです(無論その中にも程度の差はあります。例えば韓国の高齢化率は14.4%で28.1%の日本の約半分、中国はさらに低い11.2%です。)。
なお人口はいずれも2018年現在、高齢化比率の出典はhttps://www.stat.go.jp/data/topics/topi1135.html
スペインの高齢化比率は
https://ecitizen.jp/Population/Country3D/ES 
となります。分母は2020年の高齢者人口より少ないですが、死者数は65歳未満の者も含んでいます。したがって厳密な65歳人口10万人あたりの死者数とは数%のずれがあります。


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3月15日の時点で、日本の65歳人口10万人あたりの死者数は0.06人でした。これに対してアメリカは日本の1.7倍の0.10、ドイツは日本の半分の0.03人でした。当時の死者数が最も近かったこの3つの国の65歳人口10万人あたり死者数変化をピックアップしてみます。

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2ヶ月後の5月16日、65歳人口10万人あたりの死者数は日本は2.05人、アメリカは83.5倍の171.19人、ドイツは21.9倍の44.87人です(ちなみイギリスは273.74人、フランスは210.47人、イタリア228.73人、スペインは318.18人、韓国は3.51人、中国は2.93人。)。
日本とアメリカとドイツ、3月15日には同じぐらいの死者数だったのに(当時の死者数は日本21人、アメリカ51人、ドイツ5人)、どうして2ヶ月でこのような違い(5月16日現在日本729人、アメリカ88,507人、ドイツ8,001人)が生じたのでしょうか?

死者数のグラフを見ると、4月初旬頃から死者数に劇的な差が生じたように見えるかも知れませんが、実はそうではありません。死者数が前日比でどの程度増えたのかを比較すると、ドイツは4月10日頃から、アメリカは4月20日頃から、日本より増え方は緩やかなのです。
ではどうしてアメリカやドイツでは日本の何十倍もの人が死んでいるのでしょう?
日本とドイツ、アメリカの死者数の増加率に大きな差があるのは、3月15日頃から4月5日頃です。この間の死者の増加率の差が、後に大きな差となってあらわれます(例えば前日比1.05倍増え続けるのと1.30倍増え続けるのと、20日後にどれだけ違いがでるのか、計算してみるとよいと思います。なお、私が3月15日から統計を取り始めたのは、マスコミ報道をみても高齢化を考慮した統計どころか人口あたりの死者数すらわからないことに不満を抱いたからからです。そのため15日以前の統計は取っていません)。

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新型コロナウイルス感染からCOVID-19発症までは5日~6日程度(日本の厚生労働省発表)、発症から死亡までは8日(3月22日イタリア政府発表)、10日(3月22日韓国疾病管理本部発表)、18.5日(3月11日中国医科学アカデミー発表)とさまざまな見解が発表されていますが、おおざっぱに感染から死亡まではだいたい3週間とまとめてもよいでしょう。死者数の増加の割合に差が出ていたのが3月15日から4月10日とすると、感染拡大ペースに大きな差が生じていたのは、2月20日頃から3月15日頃と考えられます。

当時のドイツを含む欧州の事情を振り返ってみます。欧州では3月8日の国際女性デーにあわせて各地で大群衆が(マドリー12万人、パリ6万人、ベルリン1万人)密集して肩を組みながらシュプレヒコールを繰り返しました。マドリーでは参加していたサンチェス首相の妻やイレネ・モンテロ男女共生大臣も感染したことが確認されています。UEFAチャンピオンズリーグ(国を超えて選手や数千人のサポーターが鉄道や飛行機で移動し、スタジアムでは数万人が歓声を挙げ、抱き合います)は2月18日ドルトムント、マドリー、19日ミラノ、ロンドン、25日ナポリ、ロンドン、26日マドリー、リヨン、3月10日バレンシア、ライプツィヒ、3月11日リバプール、パリと欧州各地で、大観衆を集めて(途中から無観客試合になりましたが大勢のファンがスタジアム周辺に集まり)開催されました。2月19日のアタランタ対バレンシア(ミラノ・観客4万人)では遠征したバレンシアがスペインに戻ると、遠征メンバーの35%がPCR検査で陽性反応を示しましたが、開催中止になったのは3月17日のグループリーグ第7節からです。欧州各国でサッカー国内リーグについて中止が決まったのはセリエAは9日、リーガエスパニョーラが12日、プレミアリーグとブンデスリーガ、リーグアンは13日です。

アメリカは2月8日に米疾病対策センター(CDC)のレッドフィールド所長が新型コロナウイルスについて「一般のアメリカ人の感染リスクは低い、真の脅威はインフルエンザだ。」と発言したり、トランプ大統領が新型コロナウイルスを軽視する態度をとったこともあり、3月の最初のころはほとんど警戒していませんでした。3月10日の時点で勤務先の病院に既にコロナの患者がいるのに医師ですら「バッドフル(インフルエンザが悪化したもの)のようなもの」、3月17日に発熱しているのに「風邪だろう」で勤務を続けていたとの体験談も報告されています。
"NYの日本人医師感染 軽い違和感が、まさか死の恐怖に" 朝日新聞 2020年4月11日 10時56分
https://www.asahi.com/articles/ASN4B7WZ7N49UHBI04L.html
感染拡大の中心地、NY州は3月7日に緊急事態を宣言したものの、ブロードウェイなどの公演を中止したのは13日、その時点の感染者は421名、以後も感染者は連日倍増しましたが、50名以上の集会を禁止したのは19日(その時点の感染者数は5,298名)、その後も外出禁止をめぐって市長と州知事が対立、厳しいロックダウンを敷いた22日には既に感染者は州で15,168名、市で9,045人、死者は州で114名、市で99名に達していました。

これに対して安倍首相が大規模イベントの自粛を呼びかけたのは2月26日(※)、全国一斉休校は27日です。当時の日本の感染者は全国で149名、死者は1人です。呼びかけを受けて27日のVリーグ男子ファイナル、29日以後のプロ野球オープン戦、3月8日開催の大相撲春場所は無観客試合、8日の国際女性デーのイベントは展示とオンラインイベントに、11日には春の選抜高校野球も中止になりました(なお私はVリーグについて無観客試合が決まる前に体育館に数千人が集まるリスクを考慮して泣く泣くプラチナチケットをキャンセルしているので、一般市民にも自粛要請前に既に一定限度で警戒は広がっていたように思います。)。

ドイツは3月16日から隣国との国境を閉鎖し、多くの州で学校が休校となり、22日から流行の中心・ベルリンでは厳しいロックダウンが布かれました。
・ 公共の場は2名以下でしか歩いてはならない(原則1人。ただし、家族以外の1名、または家族の同伴のみ認められる)。
・ 全ての飲食店は閉鎖。
・ イベントやグループによるパーティーは自宅・公共の場所問わず全て禁止。
・ 美術館・イベントホール、映画館、美容院やマッサージなど生活必需品販売以外のほとんどの商業施設が営業禁止。
日本のような自粛要請ではありません。警察が監視し、違反者には罰金が科されます。

NYも13日からブロードウェイなどのイベント施設を閉鎖、17日から飲食店は店内営業は全面禁止、22日から企業に全社員の自宅勤務を命じ、出勤禁止に違反した事業者に罰金を科しています。

日本は3月25日に小池百合子東京都知事が都庁で緊急会見を開き、週末の不要不急の外出の自粛、平日の在宅勤務等を要請し、安倍首相は4月7日に緊急事態宣言を発しましたが、欧米各国と違って飲食店の営業が全面的に禁止されておらず、違反に罰則はありません。リモートワークも要請にとどまり、公園や買い物にいくなどの外出一般についても制限はありません。

これをもって、マスコミでは厳しい制限を布く欧米と異なり日本の対策は緩すぎる、しかも遅い、と捉えるむきが一般で、ちょっと前までは東京は2週間後にNYのようになるといい、最近は死者が少ない、それはなぜ?と疑問を発しています。
"日本の「生ぬるい」新型コロナ対応がうまくいっている不思議" ウィリアム・スポサト, 2020年5月15日16時50分・ニューズウィーク From Foreign Policy Magazine https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/05/post-93421_1.php

確かに日本は「生ぬるい」対応しかしていません。でも対策は遅くありませんでした。実は早かったのです。欧米が厳しいロックダウンに動いたのは、日本の市民が長引く自粛に疲れた、花見ぐらいはさせろと不満を述べ始めた少し前なのです(当時はメディアには花見の写真とロックダウンで静まり返った欧米の都市の写真を並べて"日本は甘い"という報道が溢れていました。)。
"日本の新型コロナへの対応は「ギャンブル」? 海外メディアの反応 "
Forbes JAPAN 編集部 2020年3月29日 13時30分   https://forbesjapan.com/articles/detail/33334

各国の状況によって多少の違いはあるものの、無症状感染者が多く、後に症状を発する人もその前に他人に感染させ、いわば水面下で感染拡大を続ける新型コロナウイルスの場合、陽性患者が増えてから、死者が出てから対策を講じても間に合いません。感染拡大阻止のために各国政府に与えられたデッドラインは2月末頃かせいぜい3月の初め頃、その締め切りに日本は間に合い、欧米は間に合わなかった。これが私が各国の死者数を2ヶ月間チェックして、考えていることです(日本が早かったのはダイヤモンドプリンセス号のおかげで危機感が高まったせいかもしれませんが、そのあたりの事実は今後ジャーナリストがあきらかにするでしょう。)。

感染症は、最初の1人が1人にうつすのと、5人にうつすのと、10人にうつすのでは、1か月後、2か月後の結果が全く違ってきます。最初の1人が10人にうつせば、その後の感染者が頑張って他人にうつさないように努力しても、感染拡大を阻止することは著しく困難になります。指数関数的に悪化する状況に対処するには初動が極めて重要です。
そして飛沫感染、接触感染を主たるルートとする新型コロナウイルスの場合、人がどれだけ集まるかも重要ですが、集まった人が大声を出すのか出さないのか、抱き合うのか抱き合わないのかも同じぐらい重要です。おおぜいの人がいても無言で立っている通勤電車でクラスターが発生していないこと、それより少ない人数のライブハウスや屋形船(酒を飲めば声は大きくなります。さらにカラオケ大会付き)、スポーツジム(大声は出さないが息は荒い)でクラスターが発生していることからもそれが推測されます。したがって、感染拡大を阻止するうえでもっとも重要なのは、大勢の人が盛んに接触したり呼吸量が多くなるイベントをできるだけ初期に止めることです。

近時のイギリスの研究では、欧州の経験をもとに、感染拡大阻止にもっとも寄与したのは休校とされています(ただし、小学校、中学校、高校、大学のうち、いずれの教育機関での休校が感染抑制に最も寄与したのかは不明)。次に効果があったのは大規模集会の禁止、さらにレストランやバー、レジャー施設、イベント会場の閉鎖で、他方、これら以外の業種における営業停止は感染拡大の抑制にほとんど影響がなく、外出禁止は感染症の発生率の減少との相関がないことが示唆されています。
”Impact of non-pharmaceutical interventions against COVID-19 in Europe: a quasi-experimental study"  Paul Raymond Hunter, Felipe Colon-Gonzalez,Julii Suzanne Brainard, Steve Rushton 2020.5.1
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.05.01.20088260v1
NY市のサンプリング調査の結果によっても、新規感染者の感染場所の66%は自宅、2位は介護施設で22%。つまり感染の88%は外出先ではなくて居住場所です。感染者の83%は無職です。Stay Homeなら安全で、外に出るエッセンシャルワーカーが感染リスクに晒されているというのは事実ではありません。感染者の移動手段は「なし」が90%、つまりStay Homeを忠実に守っている人で、公共交通機関で感染した人は3%しかいません。
"外出制限後もNYで多くの感染者が出続けるのはなぜ? 最新調査データと意外な結果【新型コロナ】" 安部かすみ 2020年5月7日7時16分
https://news.yahoo.co.jp/byline/abekasumi/20200507-00177340/
それはみんなが外出しないからと思うかも知れませんが、そうではありません。GoogleMobilityのデータによると、NY州の減少率は、ロックダウン直前の3月21日と5月2日を比較すると、Retail & recreation -51% 、Grocery & pharmacy -10%、Parks +63%、Transit stations -54%、 Workplaces -38% 、Residential +13%です。つまり大半の人が家庭内で感染したのは、"家にいる人が増えたから"ではないのです。https://www.gstatic.com/covid19/mobility/2020-05-02_US_New_York_Mobility_Report_en.pdf

いったん感染者をハイペースで拡大してしまったら、ロックダウンをしても感染拡大も死者の増加も阻止できません。なぜなら、ロックダウンをしても家庭内の感染は阻止できないからです。ウイルスの立場からみると、消毒作業もいい加減で、換気も悪い空間で、人々が長時間ともに暮らし、長い時間話をして、テーブルを囲んで食事をし、セックスまでしている家庭内は、おおぜいの人がしゃべっているような、例えばコールセンターのような職場は別として、オフィスよりもよほど好都合な場所なのです。ロックダウンの効果が限定的というのは、その文脈であれば理解できます。

なお、日本の場合、陽性者のピークは4月10日ごろ、実際の感染はその1週間程度前とすると、その後の減少について、すべて4月7日の緊急事態宣言の効果とみるのは無理があります。小池知事は3月25日に外出自粛宣言をしましたが、その効果は東京都以外には及ばないところ、4月10日から15日の新規感染者(陽性者)減少の割合は東京都を除く地域の方が高くなっています。
他方、政府が欧州からの帰国制限を実施したのは3月21日午前0時から、アメリカを追加したのは26日からで、その直前には欧米からの帰国ラッシュがおきました。
こうしてみると、感染拡大に一定の歯止めがかかっている主要な要因はまずは早期の大規模イベントの自粛、その後は欧州、アメリカといった感染蔓延地域からの人の流入が途絶えたことと、一貫して効果を発揮しているのはいわゆる"三密"対策の徹底で(後手に回っているのは院内感染、家族間感染防止策、失敗したのは欧米からの帰国者に対してホテルに軟禁した湖北省からの帰国者のような措置を取らなかったこと)、その他の行動制限の効果は不明、とまとめられるでしょう。

(※)もう少し細かくみると以下のとおりになります。
初の死者が2月13日。神奈川県の80代女性。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55604310T10C20A2CC1000/
4日後の2月17日には23日予定の天皇誕生日の一般参賀、東京マラソンの一般参加中止。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55712790X10C20A2CR0000/
https://www.marathon.tokyo/news/detail/news_001575.html
7日後の2月20日には厚労省がイベントについて中止検討要請。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00002.html
2月26日に首相がイベントについて中止等要請。



(2020年5月18日追記)

"ロンドンで「東京五輪の代替開催可能」、新型肺炎影響で市長候補" Reuters Staff 2020年2月21日 / 00:55
https://jp.reuters.com/article/china-health-tokyo-olympics-idJPKBN20E29G
温故知新。ロンドンが東京の代わりに五輪を開催するなど、今から思うと趣味の悪いブラックジョークにしか聞こえませんが、私も当時はダイヤモンドプリンセス号の対処をめぐって日本政府は無能だ、欧米ならこんな無様な真似はしない、というマスコミや識者の議論を信じて、どうしても五輪をするというのであればロンドンの方がいいのでは、と思っていました。
イギリスの死者数は私が統計を取り始めた3月15日には日本と同じ21人でしたが(ただし人口比では日本より多い)、以後前日平均1.36倍のペースで、増え続け、4月5日には12,107人に達しました。感染から発症、発症から死亡までのスパンを考慮すると、2月末にはイギリスでは急速に感染が拡大していたのです。
このとおり、人間なんて1か月先のことどころか、今起きていることだってわからないのです。だからできることといえば、あきらかになった数字で考えることしかないのだと思います。これからもウイルスは身近にあるのですから。

(2020年5月18日追記)
"Jリーグ公式戦中止&延期はファンのため…村井チェアマンが最後まで拒んだのが無観客試合「手段として取るべきでない」" 2020年2月26日 1時51分
https://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/soccer/news/CK2020022602100012.html
Jリーグの中止(首相のイベント中止要請より1日前)も追記します。これも英断でした。

(2020年5月21日追記)
コメント欄で教えていただきました。
”コロナ封じ込め、鍵握る「超拡散イベント」の禁止” By Bojan Pancevski, The Wall Street Journal,  2020年5月21 日 04:35 JST
https://jp.wsj.com/articles/SB12045316788308334862704586396312239100924
""科学者らは、一部の国で医療崩壊まで引き起こした新型コロナ感染急拡大の主因となったのは、今年に入って行われた大型イベント――英国の競馬、米国とドイツの謝肉祭(カーニバル)、イタリアのサッカー試合――だと考えている。
そうした「超拡散イベント」を研究することで、オフィスや学校、教会、ジム、公共交通機関といった混み合う場所でウイルスがいかに広がるか、理解を深められるかもしれない。それにより、結婚式や見本市、スポーツ大会などのイベントを規制する指針を政府に提供できる可能性がある。
超拡散イベントのメカニズムはほぼ明らかになっている。米国科学アカデミー(NAS)が先週発表した研究によると、大声で1分間話すだけで大量の飛沫が飛び、およそ12分にわたり空中に浮遊することが分かった。これにより、その場所にいる人が感染する可能性があるという。他にも同様の研究で、飛沫より微細な粒子のエアロゾルが、ウイルスを含む状態のまま室内で何時間も空中浮遊する可能性があることが示された。
さらに驚いたことに、集団感染は他の状況下での感染よりも重症化する傾向がある。より大量のウイルスに長時間にわたってさらされるからだ。”

全国から集まる歌手5000人、聴衆3000人が国技館という密閉空間に集まり声をあげる5000人の第九コンサート(23日予定、16日中止)、例年7万人ほど集まり「天皇陛下万歳」を唱和する一般参賀(2月23日予定、17日中止)、3万8000人が密集し数時間にわたって大量の呼吸をする東京マラソン一般参加(3月1日予定、17日中止)...どれも今から思うとメガクラスターになりかねない危険なイベントで、私の意見では、日本も紙一重だったと思います。

(2020年5月29日追記)
"3月のスポーツ大会が感染の「苦しみと死者数を増やした」 英科学者が分析"  BBC News Japan 2020年05月27日
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-52806250
「スポーツイベントの休止は、少なくとも1週間は早く実施するべきだったと思う。それによって、苦しむ必要がなかった人が苦しみ、亡くなるはずではなかった人が亡くなった可能性がある」

"イタリア、新型コロナ死者の96%に基礎疾患-保健当局調査" Tommaso Ebhardt、Marco Bertacche, Bloomberg 2020年5月27日 9:56 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-27/QAY6UTDWX2PS01
"死亡した人の約96%には持病があり、平均年齢は約80歳だった。...死者では年齢の偏りがさらに大きく、5月25日時点で50歳未満はわずか1.1%前後で、80歳超が57%余りに上った。今月新たに確認された感染者のほぼ半数は高齢者施設の入居者だったという。"


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908
増田で経済学について書くことがあります。 https://anond.hatelabo.jp/20200229093951  なんの見識もありゃしません。

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コメント (15)
技術系ですが、奥村先生のTweet
2020年2月17日です。

https://twitter.com/h_okumura/status/1229321651549917184

CP+2020中止
天皇誕生日の一般参賀中止
東京マラソン一般参加中止
5000人の第九コンサート中止
技術書典8中止
DevRelCon Tokyo 2020中止
DeNA TechCon 2020中止
日本物理学会Jr.セッションポスター発表中止
ありがとうございます。
例年7万人ほど集まり、大騒ぎかどうかはともかく「天皇陛下万歳」を唱和する一般参賀(2月23日予定、17日中止)、3万8000人が密集し、数時間にわたって大量の呼吸をする東京マラソン一般参加(3月1日予定、17日中止)、全国から集まる歌手5000人、聴衆3000人が国技館という密閉空間に集まり声をあげる5000人の第九コンサート(23日予定、16日中止)・・・どれも今から思うとメガクラスターになりかねない危険なイベントで、日本も紙一重だったのかも知れません。
日本では2月中旬以降にいろいろなイベントが中止になったのが良かったのではないでしょうか。北海道は、2月18日から3月19日まで全国に先駆けて緊急事態宣言をしましたが、これは札幌雪祭りでの感染が大きな原因になっているようです。
大きなイベントは広い地域から人があつまり、また、不特定感染者がでるため感染リンクを追えなくなってしまう危険性がありますね。逆に、家庭内感染は濃厚接触者が限定されるので3次感染以降の抑え込みがしやすいと思います。

イギリスの新聞ですが「‘Superspreader’ events may be responsible for 80 per cent or more of all coronavirus cases 」
https://www.telegraph.co.uk/global-health/science-and-disease/superspreader-events-may-responsible-80-percent-coronavirus/

武漢でも春節の大イベントがあったとのことですので、イベント拡散の有無が運命を分けたという説には納得です。
コメントありがとうございます。
私も初期の大規模イベントが運命を分けたと思っていますが、同じ趣旨を示唆する海外の記事を紹介していただいて、参考になっています。
日本も今回はうまくいったと思いますが、なぜうまくいったのか分からないと再現性がありません。今後、きちんとした検証をしてほしいです。
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