SNS Killed The TV Star

SNS Killed the TV Star

ディレクター時代に幼い頃からよく見ていた歌のお兄さんが、ナレ録りのために打ち合わせに現れた時、セカンドバックに爪先の尖った靴を履いているのが残念でした。

この時期程プロデュースの力の大きさを感じた事はありませんが、他にもプロデュースの力の大きさを現す話があります。

ビートルズが1963年にエリザベス女王の前で演奏できたことは有名ですが、当時はまだ『A Hard Day's Night』発売頃で、絶対的な力を持つ前であり、ほんの直前までエルビス•プレスリーを引きずっていて、リーゼントに革ジャンで演奏していました。本当は体制は嫌いだし、世の中を蹴り上げてやりたいと言う気持ちでRock & Rollをやっていたでしょう。ですが、生物学的に男性ですが男の子のことが好きなマネージャのブライアン・エプスタインが、ジョン達の猛反対を押し切り、革ジャンをスーツに着替えさせ、リーゼントを梳かしてマッシュにしました。私はここに物凄い才能を感じます。例えば、今仮に「Tinder」をスワイプするだけでも、マッシュの髪型の人ばかりですし、この頃が初めての「ティーンエイジャー」の登場と言われているから、支持者の数が多く発言力もあるし、力も持つしで、年配者にとっては鼻につく存在だっただろうにも関わらず、王室御前コンサートまで漕ぎつけたにはどれだけの力が働いただろうかと思われます。

後、ただの下士官上がりだったヒトラーに社交を教えたという人もいました。
人々の「苦しい」「どうにかしてほしい」を誰かへの怒りへ転嫁して力を得ていくには、既存の体制の人達からの一定の了解と、乱暴な言説を正当化する建前が必要だった訳ですが、その顛末が悲惨だったために名前を書くことはできません。

今は裏方に回る人が増えてきているようです。
例えば楽曲を発表する人達も、これはDTM制作環境のコモディティ化とニコニコ動画が醸成したボーカロイド文化のおかげだと思うのですが、楽曲を作ったりプロデュースする人が裏で力を持っていて、曲を歌う人は巧さかその世界観に合うかだけで立てられていると言う場合がまた増えてチャートを席巻しています。
理由は、表に出て得られる利益を表に出て被るリスクが超えてきているからだと思われます。TwitterをTwitterたらしめているのはリツイート機能ですが、開発者の、クリス・ウェザレルがその実装を後悔していると言っていました。気に入らないというだけで炎上という事態は引き起こされるし、現実と仮想の世界は融けつつあるから、炎上は現実となります。

こういうことで、TV Starは死にました。

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