白い紙とペン

広告業界に携わって25年。アイデアを生み出さない日は無いくらい常に考えてきた。何も広告業界に限らずアイデアはどの仕事にも密接に関係していると思う。アイデアを生み出すのは苦手という人は結構いる。たしかにお友達のお誕生日の企画と違って、プロとしてお金を頂いてアイデアをカタチにし、目的を果たし、クライアントに喜んで頂くというのは簡単ではないかもしれない。

しかし、アイデアを生み出すのはそんなに難しくは無い。アイデアを出す時のルールとして、勝手に制限を与えてはならない。ちょっとした思いつきやあり得ないと思われるようなことでも「出す」ことが重要だ。だから最初は質よりとことんくだらなくて良いから数を出すことが大事。ちなみにアイデアを考える時に良いアイデアになる可能性があるのは、ワクワクして生み出されたアイデア。ワクワクするとアイデアからアイデアが生まれる連鎖反応が起きて、伝える相手にも伝染する。よし、やってみよう!となりやすい。

私が昔からアイデアを生み出す時にやる手法が「白の紙にペンを持って1時間集中して考えること」。パソコンもケータイも見ないで、白い紙か目に見える風景か脳みそだけがアイデアを生み出すための情報源。これが結構カロリーを使うので1時間が限界で、この1時間の集中のために日々の情報収集や読書などの学びがあると言っても過言ではない。こうやって取り組んで生み出されたアイデアはたくさんカタチになり、喜ばれたり、驚かしてきたと自負する。

アイデアを生み出す時にパソコンや携帯ですぐ調べる人がいるが、それはやめた方がいい。アウトプットするものが情報であって、アイデアではないケースが増える。先日もあるクライアントのアイデア会議で、他社のHPを印刷してきて「この感じが良い」とプレゼンしている社員がいたけれど、あくまで参考であってそれはアイデアとは呼べない。アイデアは考え抜いてアナログから生まれる方が唯一無二な企画に繋がると思う。

そういう意味でもアイデアを生み出す時は、「白い紙にペン」がシンプルで潔い。自分なりに編み出した流儀です。