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「ニーグリップ」でお茶を濁すな・2


1.白バイ隊員の説明と装備の矛盾点

この記事の上の画像は白バイのタンクパッドです。
白バイ隊員も安全運転講習会等で「ニーグリップ」という言葉を多用するわけですが、私はこれにも疑問を感じていました。

もしも、タンクを膝で強く挟むことそのものが目的ならば、ウレタンスポンジはフカフカしている分その妨げとなるはずであり、白バイ隊員は使用するはずがない。
しかしながら、白バイのほぼ100%にウレタンタンクパッドが貼り付けられている。

この矛盾です。
これまで多くの「運動神経が良い人達」は、自分ができていることをできていない人たちに説明しきれませんでしたがそれと同じような現象が起きていると感じました。

2.ヒントとなった動画

私が「ニーグリップの説明に利用したい動画」の一つが村田諒太氏のYouTubeです。
村田諒太氏のYouTubeチャンネルはどうやらなくなってしまったようで、私が言葉で説明しなければならないようです。
本が入っているような重たい段ボール箱を持つとき、私たちは下腹に力を込めて段ボール箱に近付いて段ボール箱を持ち上げます。
もしも腹筋に力を籠めず、お辞儀をした姿勢のまま段ボール箱を持ち上げようとすれば腰を痛めてしまいます。
下腹に力を込めてしっかりと段ボール箱を持っているときに他人から段ボール箱を叩かれる等して段ボール箱に影響が加わった場合、その影響力は下腹に伝わります(村田諒太氏が説明したパンチの打ち方は「手打ちをして相手に当たったらその反動を下腹でしっかり受け止める」というものでしたが、私はそれを重い段ボールを持つときの下腹に例えてみました)。


3.「つながり」の発見

私は以前MT-07初期型に乗っていて、近くに一本橋風の設備があったのでたまに練習していました。
そして「うまくいくときといかないとき」の差として

膝でタンクを挟んでいるときに腹筋が力んでいるかどうか

が関係していると気付きました。
腹筋が力んでいてハンドルを小刻みに左右に揺らしながら一本橋を渡ったほうがタイムが安定するという現象を体験し、自分の身体が腹筋を力ませてハンドルを左右に揺らす(車体もハンドルと反対側に揺れる)ことで、腹筋が車体の状態を把握していることがわかってきました。
それは前述の「下腹に力を込めていたら段ボール箱を叩かれたときに下腹にも影響があって叩かれていることを把握できる」のと似ていました。
腹筋を力ませて身体の状態を把握させることを何度もやっていると「腹筋とバイクのつながりを把握できるだけの最低限の力み(速度や状況によって最低限はかわってくる)があれば、バイクを安定して走らせることができるということもわかってきました。
すると白バイ隊員の説明の矛盾も解消できました。
彼らはタンクを挟み、パッドと膝との摩擦を増やし、加減速の時に車体と自分の腹筋のつながりを維持していて、それをニーグリップと表現し、
A.目的は身体と車体をつなげて状況把握すること
B.その手段はタンクを挟むこと
C.それにはタンクを挟むだけではなくて下腹の力みが必要
という3つのうち、手段と目的を分けて説明せず、かつ「運動神経がよくてCが自然にできていたからできていない人に説明ができなかった」ということだったのです。


4.書籍やサイトに書いてあることに加えて


現在、書籍、サイト、動画、様々なメディアで初心者向け動画と称してライテクレクチャーをしていますが、腹筋を力ませて体幹と車体のつながりを得ることに言及したメディアはゼロでした。
発進時にフラフラする方、「片足でのホールド」が不安定な方、一度下腹を力ませてハンドルを小刻みに左右に揺らしながら一本橋(白線でも可)をしてみてはいかがでしょうか。
下腹がバイクと繋がって位置を把握する感覚、私の場合はそれが色々なライテクレクチャーでわからなかったことを繋いでくれました。

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