『聖母たちのララバイ』
【毒】について思いをめぐらしていたら、こんなのが出てきました。
80年代ですね。
この都会は戦場だから 男はみんな傷を負った戦士。
この歌のサビのところの歌詞ですが、
その時代は、そういうふうに「男」を規定して、
受容するという雰囲気があったように思います。
これとかも、そういう感じです。
んでもって、傷を負った戦士同士で「聖母」を奪い合って殺してしまう。
ガキです。
人間はどうしても【毒】を喰らいます。
【毒】をくらって大人になります。
【毒】を“消化する”のは大変です。
身体ですと肝臓がその役割を担ってくれているわけですが、
この臓器は“キモ”というくらいだから、ホントに重要。
しかも“沈黙の臓器”とか言われて。
黙って耐えて、突然、ダウンする。
鬱病とそっくり。
【毒】の“消化”は大変だから、
中途パンパな大人は“浄化”を望みます。
【毒】を飲む前の「子ども」に返りたいと願うんですね。
その期待に応えて、「聖母」が登場します。
女性の母性本能は素晴らしい!
――いえ、それは誤動作ですから。
母性本能は「子ども」に向けられるものです。
【毒】を喰らう前の。
子どもの健やかな成長を願う、プリセットされた心。
その心は、子どもを【毒】から守ろうとするように思えますが、
その機能は案外、弱いようです。
むしろ子どもに【毒】を喰らわすように誤動作しやすい。
人間は【毒】に対する防衛機能はあまり持っていないようです。
人間が社会的な生き物だからでしょう。
【毒】とは社会を織りなすコミュニケーションの失敗なので、
どうしても避けられません。
避けられないけど、なんとかしないといけない。
【毒】を喰らい続けて中毒になると、こうなります。
他人を喰らいます。
このバケモノは苦い薬を飲まされて【毒】を吐いていましたね。
(『ハガレン』のエンヴィー(嫉妬)もよく似た造形。なぜか。)
こうなると母性は作動しませんよね。
セクシャルではないからです。
母性はセクシャルから誘導されて発動するもの。
なので、セクシャルとひっついて発動しやすい傾向があるようです。
セクシャルが枯れても母性は発動します。
ただ、この発動はなかなかハードルは高い。
毒気を喪失してリセットされたバケモノに、
素朴な「生きる術」を教えています。
素朴であることが大切。
正常に母性を発動させている婆さんとまったく同じ姿の婆さんは
婆さんなのに赤ん坊を育てています。
見るからに不健全です。
(充分に想像できるでしょうから、画像は貼りません。面倒だし。)
いずれにせよ、男はガキです。
充分な男の大人のイメージは難しい。
暫定的に、これかな?
隣に「子ども」を連れているのも得点が高い。
ここまでいくと、行き過ぎのような気がします。
ならいっそ、
「翁」です。
上の進化形。
なお、湯婆婆・銭婆のような同型別バージョンが男にもありまして。
これです。
荒巻課長と翁と般若。
見比べてみて下さい。
感じるままに。