見出し画像

聖地に来たら土産もね!(3)ふぐの粕漬・糠漬

行きやすさ  ★★★
マニアック度 ★★★
開館時間   店ごとに異なる
定休日    店ごとに異なる

推しが食べたものは私も食べたい。それも推し活

夏目漱石なら「空也」のもなか、宮沢賢治なら「やぶ屋」の天ぷらそばと三ツ矢サイダーなどなど、作家の作品に登場した食べ物や贔屓にしていたお店も現存するなら味わってみたいのがファン心…

文アルにハマりたての頃に開催されたオンライン茶会で徳田秋聲記念館さんに秋聲が行ったお店で現存してる場所があったら教えてほしいと質問を送って丁寧にご回答いただいたこともありました。
その詳細は記念館さんブログ『寸々語』2020.11.3012.4で読むことができます。ついでに言うと12.3の秋聲から見た島清と鏡花についての質問も私。本当にありがとうございます徳田記念館さん…!!!

さて、先達の島清研究者の文献を漁っても島清のお食事事情に着目した人は見つからず自分で調べねばなりません。
島清は『早春』など日記の断片が本になっているのでその日食べた物なんかぽつぽつ書いてありそうなものなんですが、あまり食べ物に関心がないのか存外少なく…

そんな時に思い出した徳田秋聲の『解嘲』。
向山(島清)が韮崎(秋聲)に自宅で食事を振る舞う7節のシーン。

小さい食卓には田舎丸出しの書生の焼いた肴に一皿のフライ、田舎から来た河豚の粕漬のようなものがあったが、韮崎は別に食欲もなかったので、そこそこに箸をおいた。

徳田秋聲『解嘲』

『河豚の粕漬!!』
なんかわかんないけど昔から伝わる方法だと無毒化するから食べてるとネットやTVでたびたび話題になる有名なアレ!!

メニュー書いてくれてありがとう徳田先生!!

島清も私ももはや足を向けて寝られない徳田先生は味の感想なしに箸をおかれてしまいましたが「田舎から来た河豚の粕漬」とは現在石川県だけが製造を許されているふぐの身や卵巣の粕漬のことに間違いなし。
この際「原材料:ふぐ」であれば良しとしましょう。
更に「ようなもの」なので粕漬でも糠漬でもヨシ!!ガバガバ上等!!


ふぐの粕漬は金沢でも製造されていますが美川は北前船の寄港地で唯一ここにだけふぐの卵巣を卸していたという記録もあり、江戸~明治創業で今も続く粕・糠漬け屋さんが集中している一大産地になります。

もしかしたら親戚や母親の知り合いの伝手で美川で作られた粕漬が島清の家にあったのかも…
島清と秋聲が食べたお店はもう無くなっているかもしれないけれど、現存するお店は一部戦後に暖簾分けされた所もありますが元を辿れば島清が生まれる前からある超老舗。この中のどれかを食べていた可能性も充分あり得ます!

という訳で美川にある店舗全5店一覧はこちら

あら与さんと安新さんは東京のアンテナショップに一部商品が常時置かれているのをみかけますが基本的に全店現地購入か通販になります。
食べやすくカットされたものがあったり、現代風にアレンジされていたり、同じ漬物でも店舗ごとに工夫されているのでぜひサイトを見比べて好みのものを見つけてみてください。

当時コロナ禍真っ只中の一人暮らしで丸々一個を食べきるのは難しい&味が不安だった私は悩みに悩んで「あら与」さんの通販でふりかけやほぐれて使いやすいふぐたま他数点を購入。チーズにのっけておつまみにしたり、お鍋の薬味に使ったりツナマヨならぬフグマヨにしたりしました。各お店のサイトにレシピも紹介されています。

お味としては、大量の塩を使っているのでほんのちょっとでご飯お茶碗一杯食べれてしまう位しょっぱいです。その奥にチーズみたいな醸された旨味がある感じ。
個人的には修学旅行のお土産で買った沖縄の豆腐ようを思い出しました。
日本酒のアテにちびちび食べるタイプ。
当たり前ですが粕や糠の匂いが苦手な人には向かないです。こればっかりはしょうがない。

使い切れるか不安…だけど一回食べたいという方はあら与さんの併設カフェ美川駅内の37cafeというカフェにふぐの子を使ったメニューがあるのでそちらを試してもいいかもしれません。ふぐの子ペペロン食べましたが美味しかったです♪

一方、近江町市場、金沢駅のお土産屋で買えるのは四十萬谷本舗(しじまやほんぽ)さんと油与さん。前者は明治8年創業、後者は江戸時代創業で糠漬けは明治から。両方とも金沢のお店になります。

むむ、こちらのお店の可能性もある…?
ちなみに四十萬谷本舗さんのサイト内には泉鏡花、室尾犀星、芥川龍之介などの作品にかぶら寿司が登場している事が紹介されています。

う~ん、やっぱり推しには生まれ故郷のものを食べていてほしいところ。
私は美川のお店フルコンプを目指しますよ!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?