『かか』

2023/2/21
宇佐美りん,2022,河出書房新社.

おなかいたいって言うから薬飲んだって聞いたら薬は飲んだよなんでそんなこと言うのって喚き散らした、この1ページが一番強く、心から離れない。
うーちゃんが怒られるいわれは全然全くこれっぽっちもないのだけど、私はかかが今とても傷ついた理由がわかるよ。
精一杯の防寒をして、それでも凌げないくらい寒いところにいるひとに、なんでもっと厚着しないの、なんでもっとあったかいところにいないのって言わないでほしい、責めないでほしい、殆ど祈るような気持ちで、そう思う。
かかが、誰にも心配されないで、ひとりぼっちだって思っちゃう、その苦しみは絶対に本物なんだけど、それは、それをうーちゃんに言ったら、うーちゃんの心配を、うーちゃんの存在を抹消してしまう、だから、それは、やっぱり間違ってると思う。