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「漂泊する幻影」

2021/01/17 @神奈川芸術劇場

見終わってこのタイトルを見ると、ほんとにタイトルどおりだなと思った。
フライヤーが良くて。鹿に惹かれて行ってみた。鹿と洋館と廃墟って、どうしてこんなに相性良いんだろう。展示は二種類、オブジェの部屋と絵画の部屋がある。

室内は真っ暗で、ひとつひとつに灯りがともるから、見えるところにみんな集まる。(漂泊しているのは、むしろ私たち。)
素直に灯りに誘導されるのが悔しいので、ひとつ隣の、薄明かりに照らされたオブジェを見る。私が見ているオブジェに灯りがともると、人が流れて、私は離れる。やっぱり私も漂泊する。

個人的に一番面白かったのは、部屋と部屋を繋ぐ廊下。なにもないけど、鏡だけある。ドアノブをがちゃっと開けるまで、そこには、ドアと私と私の鏡像しかない。(いや、実際には、一緒に行った人もいた…。)「注文の多い料理店」みたいで、ちょっとこわい。
この、ドアノブをがちゃっと開けて次の部屋に進む経験、もっと何回も続くのかと思いきや、オブジェの部屋と絵画の部屋しかないので、二度しかなくて、ざんねん。もうちょっと何回もあの緊張にさらされたかった。

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