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『22/7「僕が持ってるものなら」発売記念LIVE』(夜公演)

2021/2/28 パシフィコ横浜 国立大ホール 17:30-

まえおき

本公演は22/7 7thシングル「僕が持ってるものなら」リリース記念ライブであり、同時に結成以来リーダーを務めてきた帆風千春さんの卒業公演となっている。昼公演 の続きであり、公演内容に具体的に触れている。

本編冒頭

Overtureから2ndシングル表題曲「シャンプーの匂いがした」でスタート。昼に続き、8人曲を全員化しての初披露になった。続いて3rdからのカップリングで「未来があるから」。この曲には卒業ソングの意味合いがあるように思っていたが、早くもここで登場となった。冒頭2曲の時点で、明らかに昼より高い熱量とパフォーマンスの密度が感じられている。鬼気迫るといっても良いほどの圧倒的なパフォーマンスの理由は、配信などで表情を見ることができるとわかってくる。本公演が帆風千春さんの最後のステージであり、時間が刻々と少なくなっていることを意識したメンバーの大きな感情が楽曲に乗っているのである。

モニターの話

今回昼夜通して、一部でヘッドセットマイクが採用されていたが、イヤーモニターは一貫して使われていない。ステージ上のモニターは数少ないし、走り回ってずれるはずだしさらにPAも混じるのでは?と考えると何がどうなっているのかわからない。メンバーの皆さん、どういう状況下でパフォーマンスされているのか。正直すごいとしか言えない。

本編中盤

MCを挟んで6thから「風は吹いているか」4thから「ロマンスの積み木」「Rain of lies」「何もしてあげられない」が続く。この流れは昼と共通である。MCの間にも感極まってしまいそうな涼花萌さんと、それに対してまだ早いよ!というツッコミが聞かれたりする。「ロマンスの積み木」の冒頭、帆風千春さん~天城サリーさんとソロを取っていくところでは歌唱の強さが際立つ。「Rain of lies」では片足で飛び跳ねるサビの振りが印象的。メロウな雰囲気の「何もしてあげられない」では、今回はひときわドラマティックな展開を意識させる。

7thシングル曲

ここからの7thシングル曲披露の流れも、基本的には昼と共通である。白組の「キウイの主張」、紅組の「雷鳴のDelay」、そして「タチツテトパワー」、「好きといったのは嘘だ」。このパート最後に表題曲の「僕が持ってるものなら」となる。ここでは7thシングル収録曲が、振りが付いたパフォーマンスによりCD版より明らかにグレードアップしていることを示した。特に「タチツテトパワー」の持つパワーは圧倒的で、今後のライブにも期待させるものであった。また「キウイの主張」は一見かわいい曲と見せかけてハイレベルな要素が多いことがわかる。ぬるっとラップに出て行ってこなしてからしれっと戻ってくる涼花萌さんの高等技術を見よ。

本編終盤

MCを挟んで、5thシングル表題曲「ムズイ」。TVアニメ主題歌として、22/7にとっていろいろな意味で分水嶺になった一曲である。2019までいろいろなことがあったこのグループが今ここにこういう姿を見せているのは、TVアニメとこの曲があったからであろう。シリアスかつドラマチックで、セリフも多用されたこの曲はやはり代表曲と呼ぶにふさわしい。この曲は昨年の「11」において全員化がなされており、象徴的な存在となった。そして同じく5thのカップリングから「願いの眼差し」。さわやかな曲調ながら別れを示唆させる内容はどうしても卒業について意識してしまうが、希望を持った旅立ちという晴れやかな印象も垣間見えた。本編最後に2ndからの「循環バス」。昼とも共通であるが、明らかに卒業を意識する内容から感情もさらに大きく動いていることが伺われた。

アンコール

暗闇の中から、マイクスタンドとともに帆風千春さんが一人で現れる。ソロのキャラクターソング「優等生じゃつまらない」である。これ以上ないタイミングで差し込まれた最強の一手。会場のペンライトも一気に赤一色になる。そういった中での帆風さんの歌唱は過去にもまして圧倒的である。意図的なものか、リバーブはほぼ無効で生の声が聞こえてくる。音程や声量といった要素だけではなく、緩急や感情の乗り方が明らかにこれまでとは違っている。スタンドマイクを倒してポーズをつける姿はただただ格好良い。

その後、帆風さんから改めて卒業の宣言と、声優を志していたがオーディションに落ち続けていたこと、最後と思っていた22/7に合格できたこと、そしてグループでの活動についてコメント。この場と佐藤麗華というキャラクター、メンバーへの感謝の意が強調されて述べられた。そしてメンバーが現れる。リハーサルではここまでだったことが想像される。

メンバーからの手紙

ここで帆風さんそして観客へのサプライズとなるメンバーからの手紙が読み上げられる。ここにきて、昼公演で新情報開示やグッズ紹介をしていたMCパートがこれに対応するのだということが判明する(実際はもっとしっかり時間を取っていたが)。

白沢かなえさん。冷静に思い出と感謝の意を述べていたが感情があふれてきて最後には叫ぶように大好きと伝える。天城サリーさん。やめないでと言いたかったとか卒業を意識するから離れていたとか、一味違う感性でだからこそ本質を突く。宮瀬玲奈さん。演技を志して何かになることを目指す人はここで泣かないと決め、流れる涙はいったん抑えてきっちり読み切る。河瀬詩さん。いつでも真摯でまっすぐに向かい合う人は、感謝の意を述べながら泣き出すも、全くひるまず言葉を紡ぐ。西條和さん。長い沈黙から手紙を出して、また収める。この瞬間の本人の言葉でこれまでの想いをつづる。周囲を意に介さず本質だけを示す姿。涼花萌さん。泣きながらもやっぱり笑顔、まさに泣き笑い。「思い出がありすぎて思い出せない」という名言を残す。海乃るりさん。数少ない千春呼びで、初期からの盟友たる立場から感謝の意と帆風さんのすごみを語る。倉岡水巴さん。いつになくストレートに帆風さんが自分を隠して周囲を立てるためもっとすごい人であることを知ってほしいと周囲にアピール。高辻麗さん。ここまででもっとも感情を抑制して分析的にソウルメイトたる帆風さんを語る。代読で武田愛奈さんのメッセージ。努力は才能で、それが発揮できる日が来ると端正な文章で語る。それぞれのメンバーに対して、短いながらも愛情こもった返しで対応している帆風さん。

最後に円陣でいつものアレをするのだが、いつもの「薄力粉」スタートじゃないな?と思っていると最後が「紅ショウガ」で〆になったことでその意図がすぐに分かる。粋な計らい。「ひっくり返して22/7!」やっぱりこれは良い。

最後の最後

そして本当に最後の曲として「空のエメラルド」。冒頭涙しているメンバーもいるが、それでもいつも通り、いつも以上に感情の乗ったパフォーマンスを見せる。歌詞の内容も新たな旅立ちにふさわしい曲であり、クライマックス以降ではメンバーに笑顔も見られる。「新しい未来の境界線」「ここから始まるんだ 眩しい一日が」前向きに送り出せる最高のラストナンバーである。「優等生じゃつまらない」とこの曲は本人のリクエストであったことが後日明らかになるが、本当にこの人はどれだけのものを残していくのか。

そして最後に、河瀬さんがメンバーカラーの入った花束を帆風さんに贈る。帆風さんは恒例の「以上!22/7でした」でこのステージを〆る。この口上ももう聞くことがないことを見ている全員が感じる中で、その後カーテンコールとして何度となく一人で現れて、涙は見せながらも湿っぽくならずに前向きに彼女は去っていった。帆風千春は最後まで帆風千春であったのだ。今日は227の日の翌日。彼女にとっても22/7にとっても新たな一歩が踏み出されたのである。

総合的に

夜公演を見た直後のTwitterにあげた感想がこちらの一言。「夜。本当に来て良かった。」この時見たものに比肩できるものは今後なかなか見れないはずだし、もう二度とないかもしれない。このステージの実現のため尽力していただいたメンバー、スタッフ、関係者の皆様に対して感謝の念に堪えません。この風景は見たものの中にずっと残り続けるでしょう。

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