儀礼

〇儀礼において聖俗の区別が象徴的に意識される。
〇社会の安定化と個人の生の意味深さの確認が目的。
〇消極的儀礼と積極的儀礼
〇生と死の象徴的循環
 
信仰対象に対する思考と行為が集団的慣習のうちで固定化されたもの。宗教的世界観を表す象徴体系である。そこにおいて、神話は語られるというより、象徴的に演じられる。儀礼は多様な形をとるが、その共通要素として非日常=聖なるものと日常的なものとの区別がある。この区別を拡大させつつ、自ら神聖なものへ近づこうとするというアンビバレントな心情がここにはある。
 儀礼の機能は聖なるものと人間との関わりをメンテナンスすることで、社会の安定化を図ることである。儀礼において人間は宇宙における自己の位置を確認する。これらに共通なのは、聖俗の区切りと往還への意識である。
 儀礼には積極的儀礼と、タブーなどの消極的儀礼がある。積極的儀礼は、例えば通過儀礼などのように、人生や季節の節目などを区切って、人間に試練を課すものがある。ファン・ヘネップはこれを「分離」「過渡」「統合」の3つに区分する。社会からいったんは切り離された者が試練を超えて、再度社会に合流する。この段階的プロセスにおいて、人間が新たな個人的位置ないし身分を認められるが、これは、人間の生と死を象徴的に繰り返していると解釈できる。儀礼において人間は新たに「生まれ変わる」のである。

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