初めてのライブの話

中学生の初めてのバンド結成には2つのパターンがある。仲いい友達同士でバンドを組むために楽器を始める場合と、楽器を弾ける人同士で結成する場合。私の場合は前者であった。中学の同じクラスの4人。歌が上手いやつがVo、Gt。ソロ弾きたかったから私がGt。ベースとドラムは恥ずかしがり屋の二人が相談して決めていた。なんとも微笑ましい。かくしてバンド名も決めない状態でバンドは動き出した。

各々楽器を始めたものの、その後一向に活動が進まない。焦った私とVoは、起爆剤としてライブを設定してしまうことにした。私達の通っていた中学の隣には児童館があり、近隣の中高生がスタジオを使って定期的にライブを行っていたのだ。3ヶ月後に行われる中学生用のライブに出よう。中学生バンドしか出ないので基本的に下手だし、曲も2曲でよかった。曲は「天体観測」と「リライト」に決まった。なんとも中学生らしい選曲である。

期限が設定されたことで、停滞していた活動はなんとか転がりだした。何事も期限を設けるのは大事。スタジオに入り、2曲しかないレパートリーを何度も何度も演奏する。最初のうちは全員揃って曲を終わることすらできなかったが、やっているうちに終わりくらいは揃うようになってくる。各々がちょっとだけ他人の演奏を聴く余裕がなんとかできたころ、バンドは初ライブを迎えた。

出演者の友達しか見に来ていないなんともアットホームなライブで、下手くそながらは大きなミスなく演奏しきった私は、周囲の優しい人達に褒められ完全に調子に乗った。人前でアンプの爆音を背にギターを鳴らしているという非日常に、他では感じたことのない高揚感を感じたことを覚えている。

以上が私の初ライブ体験記である。その後も紆余曲折ありながら高校卒業まで活動するが、それはまた別のお話で。ではまた。

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