『白昼夢の青写真』という作品

 この感想にはLaplacian様制作の『白昼夢の青写真』のネタバレが大量に含まれています。


 『白昼夢の青写真』の感想を一言で表すなら「箱で買え」である。箱と言っても大量に買えという訳ではなく、エロゲ特有のDVDに対してデカすぎる箱のことである。
 『白昼夢の青写真』自体は健全版であるSteam版がセールされていたことで存在を知った。その後、私をエロゲの沼に引きずり込んだ友人と冬コミで会った際に「絶対R-18の方が良い」と言われ、興味があったことも重なり箱で購入したというのがプレイまでの経緯である。
 そしてプレイした結果得た結論が「箱で買え」という訳だ。その理由は単純明快で、箱の表裏(?)に描かれている2枚の絵が作品内において核心を突いたスチルそのままであるからだ。
 この感想を読んでいる人のほとんどは理解しているだろうが、『白昼夢の青写真』は夢の中であるCASE-1〜3と現実のCASE-0の4つで構成されている。
 その中でも最後にして最も重要なCASE-0で箱に描かれたスチルが現れる。箱に描かれたスチルを見た瞬間、私は驚きと共に箱を取り出し「そういうことかよ!?」と本当に叫んでしまった。この感動と衝撃は箱で買った人にしか味わえないように思える。

 後の感想は……

全部良かった


 この手に限る。いや、ホントにこれしか言えない。
 エピローグを除く全てのCASEにおいて、テーマは違えど徹底して美しい別れが描かれているところが、『まいてつLast Run!!』のハチロク‪√‬afterや『はつゆきさくら』が刺さった私には特攻だった。
 開始直後は何も分からずただそれぞれの夢を観測し、スチルやOP、EDを噛み締める。
 そして全ての夢を観測し終え、CASE-0で語られた過去と真実に打ちひしがれた。夢の全てが別れだという理由はそこにあったのか、そして海斗が最初に語った言葉はこうやって繋がるのか、と。
 (恐らく)サブタイトルである“The Girl Who's Called The World”に関しては一字一句文字通りの意味を持っていながら、終盤に「彼女は世界になったんだよ」と告げられることで特大の衝撃をぶつけられた。
 その上、かつての夢を彷彿とさせるスチルの数々が襲い前述した箱に描かれたスチルまで現れる。読み終えた時には涙が流れていたし、深い満足感を感じていた。

 賛否両論あるとされる幸せなエピローグに関しては、私は肯定派である。CASE-0に関しては戻ってくる可能性について示唆されていたわけだし、夢に関しては物語なのだから作者が“こう”だと言ったのならそれが真実だ。あとCASE-3のすももとカンナ君は素直に結ばれて欲しかった。夢の2人の中で一番のお気に入りはすももとカンナ君です。

 改めて言うが、『白昼夢の青写真』は全てをまとめると「全部良かった」に行き着く作品である。長々と書いておきながら浅い感想であることに関しては私自身の実力不足だとしか言えない。
 しかしながらシナリオ、スチル、曲全てが素晴らしい噛み合い方をしている作品であるため、もしここまで読んでプレイしていない人がいたら是非プレイして欲しい。
 個人的にはCASE-0の“手術”など刺激強めのシーンはあるが、初心者向けとも思えたため、(その機会があるかどうかは別として)勧める候補として考えておきたい。
 あとSteam版にはシーンやスチルの大量追加があるという話もあるため、いつか触れたいものである。そのためにはまず『まいてつ』無印もやらなきゃ


 これ以降は蛇足であるため、読まなくても良い文章です。
 CASE-0において明かされた、人類が地中で暮らすこととなった根本的な要因『基礎欲求欠乏症』やエピローグにおける世凪の帰還に関してだが、明かされた際に奈須きのこ氏の「月の珊瑚」を思い出した。
 もちろん全く同じものでは無いし違いも多いが、月の珊瑚の履修者や型月作品経験者であれば終盤の設定開示ラッシュもすんなり読みやすいのかもな、と思った。


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