EP.8「獅子座ってどんな人?」〜星詠みの物語〜
「そういえば、太陽ってさ、そんなに熱くないんじゃないか?って主張があるの知ってる? 実はめちゃくちゃ冷たい星なんじゃないかっていう」
え? いや、太陽のフレアとかあるし、何より、冷たいのに熱を放てるものなのだろうか?
「太陽というのはある種の放射線を出していて、それが地球に届くまでに熱と光を帯びるようになるという主張をしている博士がいるんだよ」
いやいやまさか・・・この場所に来るまでのことは大して覚えていないけど、太陽=炎の星っていうのは、昔からの常識なのでは。
「まぁ、この主張も色んな変遷とか解釈を経て今に至っているから、トンデモ学説の可能性はあるけどね。・・・ただ、当たり前だとされていることを疑うことが、必要な場面もある」
当たり前を・・・常識を疑う・・・
「ま、実際太陽が熱くても冷たくても、太陽系の中心であることは変わりない。そういうわけで、今回は、太陽が守護する星座、獅子座の話です」
あ、なるほど。それで太陽の話を。
「ではさっそく、獅子座のイメージは~?」
えーと・・・太陽が守護してるってことは・・・
「そう! 派手! ワガママ! 自己中~ッ!!」
・・・この人、本当に刺されやしないか。
「まぁまぁ、「イメージ」だよ、イメージ。言い換えれば、先入観というモノほど、全く厄介なものは無い。実はさっき挙げたイメージは実際の獅子座からかけ離れてるんだよね」
ちょっと、意外。
「でしょ? 獅子座というと、強そうだし熱そうだけど、実はクール系な人が多かったりする。そもそも、分け与えることが大好きなんだ。何でかって言うと、獅子座は王様だから」
王様だから、分け与える?
「王様っていうことは、お金がたくさんあるよね。周りに人もたくさんいるだろうし。いわゆる自由な生活が出来るだろう」
え、でも王様なりの政治とか仕事とか・・・
「それを話し出すと説明が面倒になっちゃうからパスで! とにかく全部が満たされている。ちょっと想像してみて」
・・・う~ん?
「金庫には使いきれないほどの金銀財宝、食べたいと言えば世界中の美食珍味がやって来る。何にも縛られず、自分がやりたいようにやっていい」
・・・なんだか、いい気分になってきた。
「そこで質問。その状態でまだお金いる? 食べきれない量から更に盛り盛りにしたご飯いる?」
・・・いや、別に要らないかな・・・
「なら、どうする?」
他のひとに分け与え・・・あ、
「そう。それが、獅子座。さっきも言った通り、獅子座は王様だからこそ分け与えるんだよ。もちろん、獅子座に生まれた人が、全て恵まれた環境に居るわけではないだろうけどね。でも、気質は貴族のそれ。だから獅子座は、別に他人を蹴落とそうとか、出し抜いてやろうって気は全然ない。自分がどう力を発揮するかが大事なだけだ」
じゃあ、なんで派手とか自分勝手というイメージがつきまとうのだろうか?
「それにはおおよそ、2つ原因がある。1つは口下手なところがあるせい。王様だから、一々口で説明するのは好きじゃない。当然例外はあるけど。そしてもう1つは、自分への肯定感が原因」
自己肯定感?
「そう。獅子座は、基本的に自分の事をOKだと思っている人が多い。だから、自分のやることをクヨクヨ悩んだりする、というのは他の星座より少な目なんだ。派手なものを肯定出来るのは、自己への肯定感が高い人間だけ。試しにさ、君は全身にスパンコールがついた服を着れる?」
絶対無理です。
「だよねー。でもこの世の、特にアーティストという連中には、そういう服を好み、見事に着こなす者もいる。自分は美しい、素晴らしい、カッコいい。そう思っている者だけが、煌めく衣を身につけられる」
ああ、それだけ目立つモノを着こなせるのは、自信の表れでもあるっていうことなんだ。
「うん。だから、派手っていうのは必ずしも悪いことじゃない。ただ、その自尊心の高さを上手く表現できないから、周りから理解されなかったり、派手だの自己中だの言われてしまうんだよね」
なんだか、少し損な性分。
「まぁ、12星座はそれぞれ魅力があって、それぞれの課題があるからさ。まとめると・・・獅子座は、自分への肯定、自尊心を持って、気高く生きて良し!」
自分への肯定、気高く、なんだか、憧れてしまうな。
「あ、ただ言っとくと、行動しない獅子座ってのは、ただの自己顕示欲の権化だからね。あと、自尊心の低さが裏返って、攻撃性を感じさせる派手な装いをしてる獅子座も要注意だぞー」
・・・ほんとに、それぞれに課題があるようだ。
次回EP.9「乙女座ってどんな人?」
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