終わりは死ね。2

恋人と別れた。

なんだか綺麗な別れ方をした。喧嘩別れしかしたことなかったから、別れた後にブロックされなかったり、最後にこれからもよろしくねなんて、初めてだ。
前の失恋で「どうして俺はこんな別れ方ばっかり」って嘆いたから、きっと神様が新しい別れ方をくれたんだと思う。いや何唐突な信仰心。

相手は本当に「良い人」だから、体の関係が続くとか、なんだかんだ連絡を取り合うとかは無いと思う。

なんだか気分は晴れやかだ。

僕はたまに人生をゲーム感覚で行うから、この恋愛も勝負に勝つ=関係を続けて相手に好きになってもらうために色々と足掻いたものだ。
でも、負けた。
最後には僕が折れて「別れよう」と言うことになった。

ぶっちゃけこんなの、振られた僕の負け惜しみにしか聞こえないだろうし、実際そうだと思う。



本当は、彼女とおそろの洋服や、彼女が買い足した調味料や食器や、思い出の写真たちをどうしようかなって思う。
普通は捨てるんだろうけど、そういうの、今までやってこなかった。
付き合ったのは3ヶ月って今までで一番短いし、一回しか泊まったことがないから、それほど未練を残す物はない。

それに、もし本当に別れるなら文句を全部ぶつけてやろう、泣き喚きながら、って思ってたけど、彼女と電話してる時は何故か気分がスッキリして本当に降参したんだ。
だから、プレゼントであげたボディクリームの匂いも、一緒に行こうって旅館も決めた旅行も、二人で楽しみにしてたフェスも、うぶでピュアでおばかな彼女に悩む時間も、全部なくなったって、構わない。
手を繋いだ時の嬉し恥ずかしそうな仕草も、甘えてきた時の髪の匂いも、じっと見つめた時のあの照れ顔も、素直じゃないくせにキスだけは求めてくるのも、もう帰ってこなくても、構わない。


この3ヶ月、本当はそんなに楽しくなかったかもしれない。
本当に好きだと言えたのはきっと、最後の二週間だけかもしれない。
ずっと、可愛い後輩の恋人ごっこに付き合っていたのかもしれない。

でも、今僕は、どこか充足した気分なのは間違い無いのだ。

付き合いたての頃はよく「いつ別れるかな?」とか、「お試し期間だから満足せんかったらやめるね」とか、よくからかったものだし、その度ちょっと拗ねながらでも、僕のことを好きなんだなって、思ってくれてるのが伝わる、あの時間が、あの笑顔が、僕は、好きだったんだろうな。

ありがとう。
何かが終わるのはいつも寂しいし、時には人を殺す。だから俺は”終わり”が嫌いだし、死んで欲しいと思ってる。
楽しい時間も、キラキラ輝いてた空間も、みんな変わってく。
変わるってことは、終わり、始まるってこと。
本当はまだ、新しい始まりだなんて思いたくないし、余韻に浸ってたいし、あの時に戻りたい。
でも、それはできないから。
僕は前を向いて歩きます。

カレンダーから彼女の名前を消し、LINEの名前も元に戻した。

ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?