おちんちんおじさん

「やぁ、おちんちんなのかな?」

「なにが?」と僕は思ったが、同時に「あぁ、これがおちんちんおじさんか。」とも思った。

おちんちんおじさんとは、悩める総てのおちんちんのもとにあらわれるおじさんなのだそうだ。悩める総てのおちんちんってなに?って小さな疑問は、一生懸命考えても答えが出ない気もするし、何より一生懸命おちんちんのことを考えてる自分を一秒でも想像したくなくて考えるのを放棄したというのが正直なところだ。・・・とにかく、僕は悩んでいるということらしい。

「ごめんごめんごめん、歳をとると語彙がちんちんになるんだ。言葉が出てこなくてね。」

なるほど。語彙がちんちんだ。なるほど。なるほど?????意味はわかるけど意味がわからない。多分、知っている言葉が糞みたいに少なくて貧弱な言葉しか出てこない白痴で申し訳ない的な感じの意味合いなんだろうけど、そもそも白痴という言葉を使う人は絶対に白痴じゃないし、語彙がちんちんとかいう人も決して語彙がちんちんなはずがない。何者なんだ?このおじさんは?

「ところで、君はおちんちんを揃える人かい?」


おちんちん揃えゲーム。

そういう言葉が、浮かんだ。少し前にTwitterのトレンドになったワードだった。そんなことを思い出した。今日も日本は平和だ。

そして、意味が不明だ。なんだ?おちんちん揃えゲームのことだとして、おちんちん揃えゲームって何だ?

揃えるもの?何だろう?ポジションの話かな?

・・・靴?

履物かな。そう思った。

:中略)
「おちんちん→靴」が出てこないだけの話だった。靴が出てこないとか本当にこのおじさんは語彙がちんちんだ。
靴は揃えるものだ。しかし、世間一般にはそうであるべきとされるがそうではない。

小さい頃、友達のうちに遊びに行くたび、よく言われた。
偉いねぇ、他のひとの脱いだ靴を揃えてあげるなんて。

不思議だった。
なんで、偉いと言われるか、理解できなかった。

全然、偉くはない。脱いだのを揃えた方が、気持ちがよいだけだ。いや、違う。気持ちがよいも、わるいも、なにもない。あえて、理由をつけるなら、揃えた方が、次に使うときに履きやすくはなるな、とは思う。

そんな感じのことを言うと、また、偉いねと誉められる。よくわからないが、そういうことなのだろう。理由などない。意図もないので、裏も表もない。はじめから、当然のようにあるもので、評価される。少し、それには気持ち悪さを覚えた。

自分はそれを無意識で出来ている、ということへの気付き。
僕の悩み。やさしさと偽善、真の心からのやさしさのお話。きっとそれは、おちんちんを揃えるようなお話。ちんぽじを正す。)

『おじさんっ!』とふい出た自分の声を聞いて、初めて今日僕は言葉を口にしたことに気がついた。

停まっていた時間が動きだした。
停まっていた呼吸を取り返すように肩で大きく息をする。息することは生きること、僕は息を吹き返した。

その事実にハッと気をとられた。夢だったんじゃないかと思いなおし頬をつねり顔をあげる。おじさんはいなくなっていた。

(連城三紀彦ばりの綺麗でいい感じの写実描写)

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