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小学校の頃同じクラスだったIくん。家も近く、時々一緒に遊んでいた。中学生ってのは学年にひとりかふたりは定期的に骨折しているヤツがいた。Iくんはそれだった。彼が柔道部だったのも要因のひとつなのかもしれない。ある時は腕に三角巾をして待ち合わせ場所の公園に現れ、またある時は松葉杖をついて登校してきた。彼の自慢は、自販機の釣り銭チェックを365日休まず続けているということだった。家から歩いて10分ほどの場所に米屋、酒屋、八百屋などの商店が並んでおり、Iくんはそこにある自販機の釣り銭受けに片っ端から手を突っ込んでいたのを眺めていたことがある。雨でも台風でも体調不良だったり松葉杖をついている時にも彼は毎日自販機に向かい手を突っ込み続けていたのだろうか。

帰り道、駅前の駐輪場を出た向かいにある自販機に前からきたキャップをかぶったおじさんが歩きながら流れるような動きで自販機のに指先を突っ込んでいたのを見てそんな事を考えていた。


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