THE FIRST SLAM DUNKに見た井上雄彦氏

私は井上雄彦氏の大ファンでして
SLAM DUNK だけでなく
バガボンド、リアルなどの
漫画も愛読しておりまして

そんな私は先日?年末?にTHE FIRST SLAM DUNK
を見ましてね大いに感動したわけです
なぜか見たときの勢いで感想を書くことなく
今に至りまして
でもずっと言葉にしたいという気持ちが冷めないので
今更ながら筆をとった次第であります

こういう例は以前にもあり
シンエヴァンゲリオンを観た際も
同じく書き渋っていた
(これに関しては迂闊に発言しにくいこともあり)
その後悔をいまだに引きずっているのです
もうそんな後悔はしたくない!!

このままでは駄文を連ねてしまいそうなので
いくつかチャプターに分けてお話しします

  • 伝説を語り直す意味

  • エヴァとスラムダンク

  • 宮城リョータが背負うもの

こんな感じでお送りします。
そしてすみません
もう公開からだいぶ経ってるので
ネタバレもクソもないと思ってガンガンやります
よろしくお願いします


伝説を語り直す意味


今回のTHE FIRST SLAM DUNKは
原作でも屈指の名試合であり
ある意味でSLAM DUNKを終わられせたも言える
最強、山王高校との試合を描く。

まぁねそれはそうでしょうね
という感じではありましたが
意外だったのは
主人公が宮城リョータであること

原作は運動神経抜群の素人
桜木花道が主人公で
エリート達に混ざり試合を開いていくうちに
予想だにしないスーパープレイをするのが
サイコーなんですよね

じゃあなぜリョータ?
いや、好きやで?でもなんで??

その疑問は冒頭も冒頭にわかりました
少年時代のリョータがお兄さんと
1 on 1をやるシーン

ここで一つリョータである意味がわかりました
リョータはスピードはあるが小柄
フィジカルではなかなか勝てないのです
そこに
井上先生は共感したんだと思います

そして回想編の舞台は
沖縄なのですが
井上先生の育ちは鹿児島県です
そこも含めて
リョータ=井上先生として
描く物語なのだと思いました。

そこから
試合開始になるところで
一人一人のキャラを
井上先生が書き上げているかのような描写
これはもう号泣ですよね

兼ねてから
先生はスラムダンクの
続編は書かないとおっしゃっていました
(どこで聞いたかわからないけど、言ってた気がするという曖昧な情報)

その人がまたSLAM DUNK描いてくれる喜び
そして、なぜこれを映画化するのかという疑問が
リョータを視点に描くこと。とわかり号泣しました。

試合内容は
あの凄まじい原作に劣らない出来で
本当に山王戦をこの目で見ているかのようで
ただただ感動しました

エヴァとスラムダンク

驚くかもしれないが
内容に触れるのはこの辺で…笑

この記事を書きたかったのは
映画の良さもそうだけど
井上先生自身の物語であることを
書きたかったのです

井上先生は
SLAM DUNKの後
バガボンド(宮本武蔵の物語)
リアル(車椅子バスケ)
の漫画を描きます
正直どちらも明暗でいう暗の物語です

暗の時期に入り
内面に入り込んでいくようにないました
やがて
バガボンドで吉岡一門七十余名との決闘
という壮絶な殺し合いが描かれます
その辺りで
先生は心を病み、休載をするようになりました
そしてバガボンドはある展開に入ります

「天下無双は陽炎」

読んでない人はなんのこっちゃ
とう感じだと思うので説明すると
バガボンドという漫画は
宮本武蔵という実在の剣豪が主人公で
天下無双(最強みたいな?)を目指し戦い続ける話です
そして天下無双の背中が見え描けた時に
「天下無双は陽炎」
という言葉を師匠は武蔵に残します
それはつまり
天下無双とかないから。という
今まで描いたことを否定する展開です
主人公が目的を失うのです

漫画を描くとき特に言われのが
主人公は目的がないといけない
物語が進まない

そうです
バガボンドはもう進めなくなってしまうのです
その後農業をしたりするのですが
必死にこの先を探し
自分という畑から新しい芽がでることを祈るかのような展開に
良くも悪くも胸を打たれます

実はここでエヴァと繋がるのですが
シンエヴァも
公開が延期延期となり完結しないんじゃいか?
とも言われていました

エヴァはアニメ版の後
リメイクのような新劇場版が始まります
話が進む連れ少しずつ違う話になり
新劇場版エヴァンゲリオンQでは
全く違う話になります
当時ネットでは結構不評の声が多くて
最初見るのをためらっていましたたが
見てみると
これはクリエイターの苦しみを描いている
と思ったのです
ごめんなさいこれも見返してない記憶で書くので
だいぶざっくりですが
(見返せよ)
もう庵野さんエヴァ書かなくていいから!!!
と言われているような物語だったのです
超超超ざっくり!!!
とにかく主人公シンジくんは
なにもさせてもらえないのです
いざエヴァに乗ったと思ったら
最悪の展開にしてしまい
まじでもういいから

という物語に
引退宣言のようにも取れる印象を受けました
シンジくんがエヴァの監督の
庵野秀明監督の分身だとすると
そのようにしか見れないのです

そのあと何年も経って
公開されたシンエヴァンゲリオン
(前振り長くてごめんなさいつ今から繋ぎます)
これの前半は
農業をしているんです!!
病んだら農業をするのです!!

すみません
ちょっとボケっぽくしてしまいましたが
実際に庵野監督はシンエヴァ公開前に
自殺を考えるほど心を病んだそうです

その他に僕の敬愛する
作家、芸術家の坂口恭平さんは
自身の畑で農業をしてるのですが
自身の鬱を安定させた大きな要素の一つに
農業があると言いました

物語の続きが書けなくて
死を考えるほど苦しんだ人が
土を耕し、水を与え世話をすると
芽が出る植物
大いなる大地に救われるのは
笑い事でなく
結構大事なこと思います
(自分でボケっぽくしたんやろ)

シンエヴァは農業編を経て
全てのファンが涙を流して納得する
結末で無事に完結します
またまたざっくりすみません!1

今回のTHE FIRST SLAM DUNKで
もう漫画が描けないくらい追い込まれた天才が
復活する物語なのだとわかったとき
前が見えないくらい泣きました

宮城リョータが背負うもの

再起の物語として今回重要なのは
やはりリョータが主人公であることです
先述しましたが
まだ話すことがあります

僕は井上先生を敬愛しすぎるあまり
プロフェッショナル~仕事の流儀~で特集された回は
何度見たかわからない

そこで映し出されるのは
とにかく自分に妥協せず追い込んでしまう
孤独な天才の姿でした
それ見ていた僕は
井上先生が湘北高校(SLAM DUNKの主人公達の高校) で
一番乗っかれるのは流川だと思っていたのです
流川は1年生にして強豪のエースに引けを取らない
クールで孤独な天才なのです

そのイメージでいたから
なおのことリョータ主人公であることに
驚いたのです
これに納得する要素のの1つが
先述した
体格が小さいことと

リョータのポジションである
ポイントガード(PG)だと思った
PGはいわゆる司令塔的対場で
ゲームメイクをします
(バスケ詳しくないですすみません)
漫画家として
バスケの試合を描くとなると
神の視点のように全ての選手の動きを見ます
これはPGの視点と重なると思ったのです

大いなる壁「山王」

リョータは冒頭で
お兄さんのブロック?ディフェンス?を崩せません
そして
山王戦でも二人からのマークを突破できない
これはまるで
漫画家として先が見えなくなってしまった自分が
次のステージへ行く象徴に捉えられます

ここでいう山王は
SLAM DUNK,バガボンドなどの過去のヒット作の重圧
そして
以前から井上先生は
SLAM DUNKの続編は描かない
山王戦以上の試合は描けないからと言っていました
(ここまで言い切ってるけど本当に出店がわかりません
でも絶対どこかで聞いたか読んだんです)
その山王戦を再び描き
過去を超える意気込みのようにも捉えられます

その様々な要素が合わさり
リョータは終盤でマークを突破します
本編でも前半から振られているので
ここに大きな感動があります

しかしこのシーン
原作ではさらっと描かれているのです
今作で井上先生は新たに絵コンテを書き直したそうです
それでも原作と同じ構図のシーンは多々あります
完璧主義の方があえて同じ構図を選ぶのは
このシーンは原作のものが至高ということだったのでしょう
そこにも胸が熱くなりますが
僕がわかった中で一番大きな改変が
リョータのマークを突破するシーンなのです
それを踏まえてまたあのシーンが見たいなと思いました

長々と書きましたが
勘違いしないでほしいことがあって
僕は井上先生を過去の漫画家だと思っていません
創作に誠実すぎるが故に苦しんでいる姿をテレビで見てしまい
そこに自分を重ねればどんどん落ちて
描けなくなってると思いこんでいるだけです
ご了承ください

とにもかくにも
この映画が井上先生の癒しになっていることを
心から祈ります


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