孤独

異様に寂しがりやの知り合いがいる。彼は孤独を埋めるためにわざわざ繁華街に行って、店に入るでもなく通りすがる人々を見て「俺は、1人ではない」と言う確認をしたりしているらしい。
私には寂しいという感情がまったくわからない。
一人でつまらない、わかる。
周囲から孤立していて苦しい、すごくわかる。
恋人に会えなくて悲しい、まあわかる。
寂しい←??????????????
これは私の母親がたいへん過干渉だったり元彼がすごく束縛してくる人だったからなのかもしれない。縛られるくらいなら孤独でいい,そう思う。
生殖という本能がある以上孤独に苦しむという概念は理解しますけれど。

孤独は良い。人の価値観を良くも悪くも強固にする。孤独から得られる力は、他人といては発生しえない。
思考を誰にも邪魔されずに頑強なものにする作業は人生のうちに必要な期間だと思う。

私が孤独から得たものは、自己否定に基づく社会への諦念と、それに付帯する負の安心感。底の底まで行った人間の行き着いた観念。

私たちの手のひらには無数の細菌がいる。だがその細菌たちは私たちの存在を認知することはできないし、また私たち自身も個々の細菌について意識することはほとんどない。もし仮に、神がいるとしても私たちと神との関係はそういった類のものだと思う。つまり、この宇宙で個人の感情や言動などはおしなべて虚無に近い。
孤独に苦しむこともまた、大きな存在からすれば細胞がマイクロ単位で移動したことと何ら変わりはないので、苦しむ必要などこれっぽっちもないのです。
だからといって誰かれ構わず傷つけたりすべてを放棄したりしてはいけないですよ。我々は細菌なりの生活があり、社会があり、義務があり、倫理があるのですから。ただそれに意味を見出したり他者と比較することに意義がない、それだけです。生殖は本能ですので仕方がないのかもしれませんが、孤独は確固たる個人の思想へと昇華できるものだと感じざるを得ません。

ちなみに偉そうなことを言っておきながら一人で生きていけない(つまり、働けないということです)私には孤独になる資格もないのだが…。

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