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Fuzzを極めよう!ロバート・フリップの使用機材「ファズとアンプ」を徹底解説

こんにちは!
GT SOUND LABのTAKUYAです!!

昨今はマニアだけでなく一般のギタリストにも再評価されてきたファズ。
オーバードライブやディストーションには無い個性と魅力を秘めたペダルですが、うまく使いこなして良い音を作るにはそれなりの知識と経験が必要なエフェクターでもあります。

そんなじゃじゃ馬なファズを使いこなして「極上のギターサウンド」を奏で、土屋昌巳氏や今剛氏といった著名ギタリストにも大きな影響を与えたキング・クリムゾンのギタリストであるロバート・フリップ。

今回は彼の使用した「ファズとアンプ」に焦点を絞り、書籍などには掲載されていない情報をとことんマニアックにご紹介したいと思います!

なお、使用していたギター本体についても気になるという方には下記の書籍がおすすめですよ!


キングクリムゾンについて‥

一応知らない方のために軽く説明させて下さい。KCは今から46年前、1969年に結成されたイギリスのプログレッシヴ・ロックのバンドです。圧倒的なインパクトを誇るこのアルバム・ジャケットをご覧になった方、知ってるという方はお若い方でも多いだろうと思います。プログレの中でも筆頭に上がる世界的な影響力のあるバンドのことです。


ロバート・フリップの使用機材構成


69年から74年までの期間、フリップはエフェクターとして基本的にワウ(CryBaby)、ファズ(ギルドFOXEY LADY)、ボリューム・ペダル(FARFISAというメーカーのものと、独シャーラーのものの2台)、そしてワトキンス製のテープエコー「COPICAT」、この4つを使用していました。ギター用のエフェクターといえばそれくらいしか存在しなかった時代ではありますが、あらゆる可能性をこの少ない機材で探りました。

あの名曲で使用された幻のファズ BUZZAROUND

1966年にイギリスのバーンズ(BURNS)社がBUZZAROUNDという名前の黒いファズ製品を発売しています。このBUZZAROUNDは、あのキング・クリムゾンのギタリスト、ロバート・フリップが名作アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』で使用し、また本人が「今まで使った中で最も素晴らしかったファズはバーンズのBUZZAROUNDだ」という発言もインタビューで残しています。1965年の終わりころ、イギリスのBURNS社が大手楽器商のボールドウィン社に買収された後に製造がスタートし、1968年にははやくも製造が中止された、といわれているオリジナルのBUZZAROUND。1966年には雑誌にその広告も出されていたことがわかっていますので、実際には3年ほどしか販売されていなかった、との推測が成り立ちます(68年にはボールドウィン/BURNS社はギター業界から撤退しています)。そのためBUZZAROUNDは極めて製造数も少なく、激レアな60sビンテージ・ファズとして有名です。

BUZZAROUNDは「SUSTAIN」「TINBRE」「BALANCE」という3つのコントロール・ノブをもったファズで、トランジスターもNKT213というPNPゲルマニウム・トランジスタを3ケ使用した回路でした。

この回路は、60年代当時としては最新の機構をそなえた回路であることもわかっています。ひとつは「ダーリントン・ペア接続」という機構です。出力の低いゲルマニウム・トランジスタを2ケ用いて、「最初の2ケのトランジスタをまるで1ケの高出力トランジスタのように扱う」ための接続方法を指します。その後時代もパーツも変わり、ファズのみならずアンプ等でも高出力シリコン・トランジスタが主に使われるようになるとこの「ダーリントン接続」も廃れていくわけですが、1960年代の音楽電子機器の回路としては、最先端技術でもありました。

また、BUZZAROUNDにはゲルマニウム・ダイオードを用いて3番目に位置するトランジスタの温度安定化機構をも備えています。ゲルマ・トランジスタが温度の変化にとても弱いパーツであることはファズ・マニアの方であればご承知かと思われますが、ダイオードを介して温度の安定化を計る事で、出音も安定化を計る。というのがもうひとつの最先端技術となります。


そうした2つの「斬新な」機構を備えたBUZZAROUNDでしたが、ロバート・フリップがベタ褒めした以外、当時はそれほど流行したファズとは言えませんでした。。故に、今最も入手困難なヴィンテージ・ファズのひとつとなったバーンズのBUZZAROUNDですが、非常にコントロール=思い通りのサウンドを生み出すのが難しいという特徴を持ったファズで、一般的に我々が使う「ボリューム」とか「トーン」とか「歪み」といったコントロールを持っていません。一応機能的には「SUSTAIN」が歪みを、「TINBRE」はトーンを、「BALANCE」はボリュームをコントロールするということになっていますがとてもそんな単純なものではなく、3ケのツマミはそれぞれが相互にリンクするように働くようになっています。そんな点ももしかしたら1966年当時このファズが一般的にならなかった理由かもしれません。

しかしそんなBUZZAROUNDというファズに注目が集まった理由は、1969年にキング・クリムゾンのデビュー作『クリムゾン・キングの宮殿』で、ギタリストのロバート・フリップがこのファズを使った、ということが一因であることは間違いありません。

足踏みペダル3台に混じってプラグされた現物のBUZZAROUND

引続き使用したファズやアンプについて解説すると共に「ファズ」を生かすための本人のセッティングまで詳しくご紹介したいと思いますのでよかったらチェックしてみてください。
なお、こちらの記事は10 部販売したら値上げさせていただきます。

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