CyclingEXの敗因とこれから
CyclingEXに一区切りつけた
2009年4月に立ち上げた自転車ブログメディア「CyclingEX」を、今年の4月に一区切りつけました。
「一区切りつけた」というのは、やめたわけではなくて、数年前から始めていた自転車に限らずもう少し広い話題を扱うブログ「WAGTAIL」に統合し、更新ペースもすごくゆっくりとしたものにしました。つまり独立したWebサイトとしての運営は諦めた、ということです。
理由は単純に「今のまま続けてもうまくいかない」と思ったから。もうひとつ付け加えると、原点に立ち返って「やりたいことをやる」ためです。
何がうまくいったのか
うまくいったことと、いかなかったことを書き出してみましょう。まずはうまくいったことから。
競合が少なかった
2009年4月の段階では、単純に「毎日更新の自転車ブログ」自体が今ほど多くなく、そしてブログ以外のメディア形態も多くはありませんでした。したがって、自分の経験を記事にしたり、ニュースをピックアップしたり、ときどきゲストライターに参加してもらったりして毎日更新していればそれだけで、そこそこPVは伸びていきました。
SEOがハマった
そして、これは当初意図したことではないのですが、いわゆるSEOがハマりました。
「コミコミ予算20万円でロードバイクは始められるかな」
「これからロードバイク(もしくはクロスバイク)を買うならこんな選択肢が」
「こういうのを揃えていくといいんじゃないかな」
——といった内容をまとめた記事が「ロードバイク 20万円」「ロードバイク おすすめ」「ロードバイク 初心者 おすすめ」「クロスバイク おすすめ」といった検索キーワードで上位表示される時期が続きました。
こんなのはすぐに誰でも真似するだろう……とは思っていて、実際に2013年くらいにはだいぶ侵食されましたが、イヤーモデルに応じて新しいバージョンを作る際の改善が功を奏したのか2015〜2016年あたりにかなり盛り返し、さらに伸びて、この頃がCyclingEXの最盛期だったと言えます。
まあ、言っても1日のPVが10,000くらい。「クロスバイク おすすめ」でGoogleの検索表示1位を取ってもこんなもんだ——というのも現実だったわけですが。
イヤーモデルという話でいうと「ロードバイク 20XX年モデル」といったキーワードに対しても(これもまったく狙ってなかったんですが)強かったです。これはSEOというより、自分が記事のカテゴリーやタグ、そして記事タイトルのルールなどを整理するのが好きな性格で、自分でわかりやすいようにやってたら効果が出てしまいました。
毎日続けた
これは自分でも理由がよくわからないのですが、毎平日記事をアップすることが習慣化でき、2009年から2019年あたりまでは続けられました。
タイアップ記事等が受注できた
本当にありがとうございます。制作・掲載料は他の方への原稿発注など、有意義に活用させていただきました。もちろん、タイアップが受注できるところまで成長したのは読者の皆様のおかげです。
何がうまくいかなかったか
続いて、うまくいかなかったこと。
競合が増えた
単純に、大小さまざまな競合が増えました。メディアを成長させるために「内容はともかくSEOでトラフィックを集める」ことに予算をつぎこむところが出てくると、個人レベルでは(とくに物量面で)勝てないなと思いました。
ただ、その波が最初に訪れたと実感した2013年頃はなんとかやり過ごして、先ほど書いたように2015〜2016年あたりにかなり盛り返したことが、その先によくない影響を与えました。
勝ち目のないところで意地になった
2017年くらいにキュレーションメディアの大きな波が自転車の分野にも来て、検索上位が取りにくくなったときに「とはいえ以前の波は乗り越えたし」という経験から、意地になって勝ち目もないのに立ち向かったのがよくなかったと思います。
ちまたに、
●●(←ブランド名)のおすすめロードバイク2017年モデル10選
↑
そのブランドのロードバイクの総数が10
——といった記事があふれる状況に対して、自分はちゃんと展示会で取材して、おすすめできると思ったものを「おすすめ」するぞ! という感じで立ち向かおうとしていました。今思えば、読者にとってはそれほど重要なことではなかったのかもしれませんし、それで勝てるなら誰も苦労はしません。
はっきり言えば「自分のほうがちゃんとしている」という自惚がありました。
それに、本当は「そこで勝つ」必要もなかったのです。
自転車や自転車界隈が好きになれない時期があった
これは誰のせいでもなく、個人的な理由で自転車やその周辺が嫌になってしまい、さらにいうとSNSも嫌いになって、モチベーションが維持できない時期がありました。実はトラフィックが伸びたり、幸いにも広告収入(タイアップ記事等)が連続して受注できるようになった時期と重なってしまい、気持ちの面で苦しい時期が続きました。
他の人の「経験」を記事にできなかった
CyclingEXには「自転車にまつわる様々な情報やみんなの経験を、ブログを核としてシェアしていくことで人々に貢献する」というミッションがあったのですが、ブログメディアとしてはそこがうまく行かなかった面がありました。もちろんTwitterやTumblrも活用していたので、RTやリブログなどでシェアしていくことはずっと行っていたけれど、もっと記事としてそれをやりたかったのは確かです。
かといって誰の原稿でもいいというわけでもなく、そこはちゃんと吟味したいという思いがあって、自分自身が「ウェルカム!」という態度をとり切れなかったのがよくなかったと思います。
とはいえウェルカム!と前面に出して、インセンティブも設定すれば集まってくるかというとそうでもないし——まあそのへんの煮え切れない感じがダメなんですよね。
明確な目標がなかった
ミッションは掲げたものの目標は不明確で、なんとなくやっている感が強かったです(今でもあまり変わらないか)。
コロナ禍を経てPVは1/10に
まあ、そんなこんなしているうちにコロナ禍で。
ひらめきがあって心機一転と思ったものの、コロナ禍で振り出しに戻ったのが2020年。更新ペースを大幅に落として、考えをまとめたり、ときには放置してほかのことをやってみたりしたのが2021年でした。
2020〜2021年で、PVは全盛期の1/10に落ちたましたが、PVで一喜一憂しなくなりました。
今までのCyclingEXにお付き合いいただいた皆様に感謝しつつ、一区切りつけるにはよいタイミングかなと考え、WAGTAILへの統合を行いました。
ひとまずシンプルにやりたいことをやる
ここ何年かずっと「自転車+●●」ではなく「●●+自転車」と、ことあるごとに言っています。
WAGTAILと統合されたCyclingEXでは、何か目的があって、それを果たすために自転車があるといいよね——と思ってもらえるようなことします。そして、その上でもっと便利に楽しく使えたらいいよね、という感じです。
新製品の紹介記事はいっさいやめました(お送りいただいているリリースにはちゃんと目を通しています)。
いったん、シンプルに「書きたいことを書く」ようにします。
長い間、従来のCyclingEXにお付き合いくださった皆様には感謝いたします。終わったわけではないので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
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