見出し画像

研究・調査の現場⑩:蜘蛛の巣上の無明  インターネット時代の身心知の刷新にむけて 

編著を公刊しました。

電子テクノロジーが見逃してきた盲点を突き止める。

「蜘蛛の巣」を鍵言葉に、人類の想像力がいかに蜘蛛の巣状に連動し、それが従来の研究方法をいかに刷新するのか。また「蜘蛛の巣」というマトリックスに照らして現実を分析することがいかなる可能性を開くのか。電子媒体を「蜘蛛の巣」Webとして捉えることで、そこに潜む危険とも裏腹の将来像を、特定の専門分野の枠組みを横断して探求する。

「吾々は今、電子情報のネット網という「蜘蛛の巣」に囚われている。それはすべてに連絡できるという幻想と裏腹に、「ネット中毒」によって感覚を麻痺させ、「獲物」を雁字搦めに拘束する。そこに囚われた 主体は、実際には「無明」に包まれている。それは「ネットカルマ」(佐々木閑)とも命名された。かつては脳に託された知識の蓄積も「雲上」の外部装置に委託され、教育において次世代に継承すべき知識内容も、いまや自明性を喪失している。その一方で、身体を介した実践知は、人工頭脳やロボット技術による置換がきわめて困難な領域として注目されるに至っている。実際、文書化された教科書的手引では伝達できない領域が、身体に埋め込まれる知にほかならない。本研究では「雲」cloud にも譲渡できず、蜘蛛の巣の裡に取り込まれた身心の裡に「無明」として残された領域をどう扱うか、その将来像を模索したい。 この課題には文化横断的な国際的知見、学際的な経験交流、実践を無視しない総合性が要請される。」(「はしがき」より)

蜘蛛の巣上の無明  インターネット時代の身心知の刷新にむけて 
稲賀繁美 編  witterFacebookLine  https://kachosha.com/books/9784909832726/

Avidya on the Spiderʼs Web
In Search of Psycho-somatic Ethics in the Age of Meta- and Multi-verse

稲賀繁美(グローバルスタディーズ学科教員)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?