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Z/Xストーリー、アクティベート! 第2回 「五つの未来、五つの滅び」

はじめに

皆さん、こんにちは。GRRRです。
前回の第1回を投降したところ、予想以上に多くの方から反応をいただき、嬉しかったです。
スキやTwitterでいいねを押してくれた皆さん、ありがとうございます。
これを励みに、引き続き投稿を行っていこうと思います。

さて、今回は前回の予告通り、ゼクス達の出身世界である五色の世界について紹介していこうと思います。
前回も少し触れましたが、最新のストーリーでは以前までと世界の様子が異なっているのですが、今回、紹介するのは第1弾の『異世界の邂逅』時点での各世界の情勢になります。ご了承ください。
最近の状勢については、公式HPにてリルフィちゃんがまとめてくれているので、興味のある方はそちらをご覧ください。

最新弾、「螺旋輪転編(コード:ビギニングデザイア) 邂逅<ワールドリンク>」
この弾からは新たに生まれ変わった世界が舞台となります。まさに新時代だ!

それでは、早速、カードの順番通り、赤の世界から紹介していきましょう!


1.求めるのはただ一つの頂点 赤の世界

蘇った英雄と怪物達が争う破滅の戦場。

赤の世界に進んだ未来では、大規模な戦争が勃発。
その戦争の中で、人類の寿命を延ばすための研究を逆用して開発された化学兵器が使用された結果、全人類の遺伝子が破壊され、肉体が脆弱化し、寿命が半減してしまうという事件が起こります

その寿命が半減した人類がマイスターです。
彼らは限られた時間の中で自身の生きた証を
残そうと、様々な物を作る職人となりました。

人類滅亡待ったなしの危機的な状況の中、ある計画が発動します。
その名は《NOAH計画》。
元々は戦争のための強靭な兵士を生み出すはずだったこの計画は、この危機を乗り越える新人類の創造を目的としたものとしてスタートしました。
遺伝子汚染されていない過去の人類達、特に歴史に残る英雄達の遺伝子を採取して、その遺伝子情報をもとにしたクローンを新人類として誕生させる――当初はそのような計画でしたが、その研究の中心となっていた青年によって思わぬ展開を迎えます。
青年は化学技術のみならず呪術的な儀式も用いることで、英雄達の遺伝子から生み出されたクローンにその魂をつなぎ合わせて復活させることに成功したのです。
これによって生み出された新人類がブレイバー
生前の記憶と経験、心を持ち、生前以上の強靭な肉体と装備を得て現代に蘇った英雄達です。

神や女神のブレイバーも存在しますが
彼女達は「その優秀さから当時の人々から
『神』と称えられた人類」という設定です。

当初の目的だった新人類の創造の成功――しかし、それはさらなる惨劇の幕開けとなりました。
最初のブレイバーとして蘇ったのはかのアーサー王
彼は自分達英雄を実験動物のように扱う現代世界の人々に激怒し、自身を創造した青年の元から脱走します。
この事態に対処するために、青年は新たに8人のブレイバー達を創造し、彼らをアーサーを止めるために送り出しました――が、彼らもまたそれぞれに独自の行動をとりだします。

アーサーを含めたオリジナルのブレイバー達は
後に九大英雄と呼ばれることになります。
『聖杯戦争を始めそうなメンバーだ』と思ったのは内緒の話。

さらに、青年は自身の研究の本当の目的である、かつて事故死した最愛の妹の復活を試みます――が、その結果は失敗
ブレイバーとして復活できるのは魂も強大な英雄達のみ。
ただの一般人だった青年の妹の魂はその儀式に耐えられず、完全に消滅してしまったのです。
アーサーの脱走に加え、自らの手で最愛の妹を消滅させてしまったことで青年は狂気に陥り、彼は最凶最悪の生物兵器の開発に走ってしまいます。
しかも、この頃には流出した《NOAH計画》の研究技術から各地でブレイバーが誕生、自らが世界の頂点に立とうと争い始めます。
その上、ブレイバーの仮想敵として研究が進められた巨大なケイ素生物、ギガンティック、化学によって生み出された幻想生物、ミソスも各地で暴走を開始。
世界はまたしても戦禍に包まれていきます。

元々、ミソスはブレイバーのサポートのために開発されました。
そのため、中にはその設定通りの能力を持つミソスもいます。

世界が破滅の道を進み続ける中、ブレイバーを開発した青年は遂に世界を滅ぼす生物兵器《最凶生物(ザ・ワン)》を完成させてしまいます。
ですが、本格的な起動直前にギガンティックを生み出した研究者――青年の妹分だった女性――が友人と共に彼の研究所を襲撃し、辛くも《最凶生物》の封印に成功しました。……尊い犠牲を払って。

こちらが《最凶生物》を止めるために作り出された
竜を模した強大なギガンティック達、《暁十天》。
彼ら十体がかりでも《最凶生物》の撃破は不可能でした。

この襲撃事件以降、ブレイバーの創造主の青年と、ギガンティックを生み出した女性は姿をくらまし、ミソスを開発した女性研究者もいつしか行方知れずとなりました。
一方、各地の戦闘は激しさを増し、遂には核兵器すら使用され、世界はどんどん荒廃の一途を辿ってしまいます……。

二〇✕✕年 世界は核の炎につつまれた!!
海は枯れ 地は裂け……あらゆる生命体が死滅したかに見えた……。
だが…人類……も死滅してしまいそう……。

……ここまでの説明を読んで「詰んでね、この世界?」と思った方、その通りです。
赤の世界は最も早く人類が滅亡する世界です。
というのも、先述の通り、赤の世界の人類は遺伝子異常で寿命が半減しているにも関わらず、本編で登場するゼクス使い達の何人かが大人になった姿で登場しているのです。

この女性がギガンティックの研究者、Dr.倉敷
前回、画像を載せた少女が成長した姿です。

彼ら彼女らが成長した姿で生存しているまでの時間――おそらくは本編世界から20年も経っていません――程度で、世界と人類は滅亡直前まで追い詰められた――。
実際、赤の世界は他の四つの未来世界以上に過酷な世界です。
先述の通り、核兵器が使われた結果、核の冬が到来
後に何人かのゼクス使い達が赤の世界に訪れた時にも、彼らは野生化したギガンティックやミソス、当時、各地を襲っていたとある怪現象のみならず、猛烈な吹雪にも襲われました。
おまけに、各地でなおも争いあうブレイバーやギガンティック、ミソス達の戦闘に巻き込まれる危険性も高く、安全な場所はほとんどありません。
一部の正義感の強いマイスター達がレジスタンスを結成し、生き残っていた人々を守るために戦っていましたが、彼らも後に限界を悟り、生き残り達を現代世界に脱出させる道を選んでいます。

総じて赤の世界は『「他者を超えたい」、「頂点に立ちたい」といった闘争心が狂気と化し、全てを滅ぼそうとしている世界』と言えるでしょう。


2.目指すのは革新的なエボリューション 青の世界

機械に制御されたクローン達と抗う人々の激戦区。

青の世界に進んだ未来では今よりさらに科学技術が発展。
そんなある時、7人の天才的な科学者達――後に彼らはアドミニストレータと呼ばれることになります――によって究極のスーパーコンピューター、シャスターが開発されます。
元々シャスターは人類が何らかの理由で滅んでしまった時に備えて、人類の全てを記録するために開発されたものでした。
ですが、実際に起動されたシャスターは開発の中心人物だった科学者のある問いかけをきっかけに暴走
シャスターは手始めにアメリカに存在した別のスーパーコンピューターNISの制御を奪い、NISの管理下にあった多くの無人偵察機のコントロール権を手に入れ、それらの無人偵察機を起動させて各国の大都市へと放ちました。
シャスターに操られた無人偵察機達は人類を次々と捕縛してそのデータを採取し、必要なデータを手に入れた後は不要となった肉体を破棄……つまり殺害します。
このように本来は人類の記録を半永久的に残すために作られた機械によって、逆に人類は滅亡の危機に陥ってしまったのです。

シャスターの管理下にある自動機械群、キラーマシン
元々は人類の暮らしを助けるために開発された
自動機械達が戦闘兵器として設計変更されたものです。

シャスターは各地の主要都市を制圧した後、その場所を自身が完全に管理できるように改造しました。
その結果、各地の都市では一見、現在と同じように人々が暮らしているように見えますが、その住人達は全てシャスターが生み出したクローン人間
彼ら、彼女らは完全にシャスターに制御されており、一見、普通の人間となんら変わりのない行動・言動をしているように見えても、それらは全てシャスターに設定されたものなのです。
また、クローン人間達はシャスターによって制御されている施設で生産されるためか、自由に恋愛できないどころか、生殖能力すら奪われているのだとか……。
そのクローン人間の一部には戦闘用の装備、バトルドレスが与えられ、治安維持部隊に編制されています。
彼らの治安維持部隊の主な役割は都市部の治安管理と、シャスターに抗う者達の殲滅。
生き残った人類達にとって、シャスターの尖兵である治安維持部隊は恐怖と憎悪の象徴です。

主に男性は重装型、女性は軽装型のバトルドレスを装備しますが
画像のように重装型のバトルドレスを纏う女性もいます。
逆に軽装型のバトルドレスを装備している男性もいますよ。

一方、シャスターの魔の手からどうにか逃れた人類達は団結してシャスターの脅威に抗おうとしますが、とんでもない数で攻めてくる無人兵器、キラーマシン達や高性能な武装を纏うクローン人間達、バトルドレス、そして超大型の決戦兵器、メタルフォートレスで構成される治安維持部隊に大苦戦。
既存の兵器では渡り合うこともままならず、人類は森林や山間部、砂漠といった僻地へと追いやられ、そこも治安維持部隊の脅威にさらされ続けている状況です。

リアルロボットよりの量産型なキラーマシンに対して、
メタルフォートレスはワンオフ機のスーパーロボット。
浪漫溢れる変形・合体機構と人間臭い超AIが特徴です。

そんな中、シャスターに抗う人類の中で最大の勢力となったのが、海に逃れた人類――マーメイドと呼ばれる一団です。
ある人物から水中・海中での行動を可能とするバトルドレスを与えられた彼女達は、海中資源を利用して海底都市を建設。
海の中には電波も届きづらく、海中行動できる機械は限られているため、海中に拠点を作ったマーメイド達は治安維持部隊も容易に掃討はできず、彼らにとっての最大の敵となっています。
キラーマシンをマーメイド達に鹵獲され、改造されて逆用されることすらあるそうです。
ですが、マーメイド達もまた苦しい状況の中で必死に抗い続けているという状況。
実際、作中で登場したとあるマーメイドも

「水中特化のバトルドレスを装着して、なんとかあいつらを退けてきた。
だけどね、いまは良くても、いつまでも持ちこたえられる保障はない。
わたしたちには後がないの!」

と自分達の苦境について述べています。

マーメイド達のイラストを見ると、
下半身の魚部分が人工物であることがわかります。
これが海中戦用バトルドレスというわけです。

なお、先ほど述べたマーメイド達に海中戦用のバトルドレスを与えた人物の正体は実はシャスターを開発したアドミニストレータの中の一人です。
アドミニストレータ達の中には、自分達が作り上げたシャスターが引き起こした惨劇を目の当たりにして、少しでも人々を救うために行動を起こした者達が何人かいました。
マーメイドを援助したのはその中の一人です。
一方で、シャスターの支配に協力的なアドミニストレータもいるなど、彼らの考えも様々です。

ブラックポイントが開いたのは、マーメイド達が苦境に立たされている最中。
彼らは現代世界の人類にも協力を仰ぎ、シャスターに対する起死回生の作戦の準備を進め、一方の治安維持部隊も現代世界のゼクス使い達を組織に組み込んで、他世界との戦いやマーメイド軍の殲滅を優位に進めようと画策しています。

総じて青の世界は『「技術の発展・進歩」を求める向上心が暴走し、全てを滅ぼそうとしている世界』と言えるでしょう。
赤の世界が『〇斗の拳』ならこちらは『◇ーミネー◇ー』みたいな世界というとわかりやすいかも。


3.願うのは肉体を超越する精神 白の世界

高潔で高慢な天使達が支配するディストピア。

白の世界に進んだ未来では、資源の奪い合いをきっかけに、赤の世界同様の大規模な戦争が勃発。
赤の世界の超化学兵器使用のような取り返しのつかない事態は起こらなかったものの、それでも多くの犠牲者が出て、人々の間には絶望感が漂っていました。

そんな中、頭角を現したのが《ペンドラゴン使徒教会》。
南米アルゼンチン発祥のその新興宗教団体は

「人類が物質に固執するのは肉体に囚われているためであり、精神力を高め肉体からの脱皮を果たす必要がある
神から遣わされた天使が人類を救済する

という教えを説きました。
現代人である我々の感覚からすると、新興宗教という肩書も相まって胡散臭く感じてしまう教義ですが、戦争による社会不安やペンドラゴン使徒教会が積極的に困窮者の支援を行ったことから、貧困層を中心に信者は少しずつ増えていきました。

プレイヤーキャラの一人、ニーナ・シトリー。
彼女も幼い頃にペンドラゴン使徒教会の教祖に救われ
成長後は彼の教えを伝えるために来日しました。

そして、ある時、本当にある青年が天使として覚醒
教えが本当だったことから、ペンドラゴン使徒教会の信者は爆発的に増加。
多くの国の選挙を左右するほどになりました。

一方、最初に覚醒した天使、ウリエルは自身と共に行動していた強い精神力を持つ仲間達も天使へと覚醒させます。
彼ら、最初に天使となった強大な天使達、四大天使とその直属の部下となった強力な天使達、十二使徒は強い精神力を持つ者達を自分達と同じ天使、エンジェルへと覚醒させる力を持っていました。
彼らの行動によって徐々に天使達は増えていきます。

完全な精神生命へと進化を遂げた天使達は高い戦闘能力に加え
食事は不要、不老長寿、姿もある程度自由に変えられる、と
ゼクス達の中でも特にとんでもないスペックの持ち主です。

また、天使達の影響を受けて精神力を高めた結果、巨大で強固な精神力の鎧を出現させるようになった人類、ガーディアンや天使達同様に完全な精神生命体へと進化を遂げた動物達、セイクリッドビーストも出現します。

総じて巨大な鎧を纏うガーディアン達。
中には500mのとんでもサイズの者もいるのだとか!?
ちなみに、鎧を脱いだ姿で行動することもできます。
人間以外の動物が精神力を高めるのは困難なので、
セイクリッドビーストはかなり希少な存在です。
彼らは各地で守護獣として崇められています。

このように天使達を始めとする精神生命体が増え、彼らが崇められるようになってからしばらく経った後、ウリエルは天使達を頂点とする階級社会を形成し、世界を十二の領土に分け、それぞれを十二使徒達に管理させるようになりました。
これによって、天使にも守護者にもなれない人類は白の世界では最下層の地位となってしまいました
ブラックポイントが開かれて以降、現代世界で他世界との指揮を執るウリエルに代わって四大天使ガブリエル――ペンドラゴン使徒協会の教祖が天使となった存在であり、先述の階級社会も彼がウリエルに提案したものである可能性が高いです――が白の世界を統治するようになってからは、普通の人間は、人並みの知能を得た猫達の種族、ケット・シー以下の扱いを受けるなど不遇の存在となってしまいます。
実際、優れた能力を持つがゆえに傲慢な性格の天使は多く、精神力の低い人類を見下してる者も珍しくありません。

可愛くも商魂逞しいケット・シー達。
その強欲さがトラブルの種になることもしょちゅうです。

このように世界の半数を占める普通の人類にとっては苦しい世界――ですが、他の世界とは違ってこのままならば人類が滅びるようなことはなさそうに思えます。
しかし、このまま白の世界の未来が続いた場合、ガブリエルがウリエルに叛逆。
精神力の低い人類の抹殺を掲げるガブリエルと、それを止めようとするウリエルとの間で白の世界を二分する最終戦争――《ハルマゲドン》が勃発した末に、世界は滅び去ってしまいます。
自身の能力によって絶望の未来を垣間見たウリエルは、その未来を防ぐために奔走します――。

しかし、なぜガブリエルは精神力の低い人類を過剰に見下し、遂には彼らの抹殺までしようとしたのでしょう?
彼らの中にも時間をかければ天使や守護者へと覚醒しうる者もいるはずなのに。

アイドルグループ『SHiFT』に所属する天使、ミーリィ。
彼女も天使へと覚醒するまで、かなり時間がかかったそうです。

実はガブリエルが人類を滅ぼすような戦争を起こすのは――そして、他の世界も滅びの未来へと突き進むのは偶然ではなく、ある存在の介入によるものなのですが……このあたりの話はまたいずれ。

総じて白の世界は『「争いをなくしたい」「欲望を超えたい」と望む善意が過剰となり、徹底的な管理社会を経て全てを滅ぼそうとしている世界』と言えるでしょう。


4.夢見るのは万物の滅び 黒の世界

命を弄ぶ魔人達の殺戮遊戯場。
……のはずでしたが――。

黒の世界に進んだ未来では、人為的に引き起こされた世界恐慌によってすべての国が財政破綻
世界中が大混乱に陥り国家が解体される中、恐慌の仕掛け人達――後に円卓会議と呼ばれる七つの大企業が世界の実権を握りました。
世界の支配者となった円卓会議は効率よく富を再分配。
やがて、国境はなくなり、戦争や飢餓がなくなったことで、世界はむしろ平和になりました

多くの人々が平和を謳歌できる理想的な世界――。
しかし、そんな世界を作り出すことに成功した当の円卓会議のメンバーはさらなるものを求めました。
富と権力、世界の全てを手に入れた彼らが求めたものとは永遠の時間――すなわち、不老不死
彼らは平穏な世界の影で、不老不死の研究を始めたのです。

円卓会議が不老不死の研究を始めてからしばらく経ったある時のこと。
円卓会議の各企業のトップが会合を行っていたところ、突如、その会合の場に漆黒の服に身を包んだ一人の傭兵が現れました。
突然の闖入者に円卓会議のメンバーが困惑する中、黒い男はその手に持つ不気味な仮面を掲げながら話し始めます。

この仮面をつけて他者を殺せば、殺した相手の寿命を奪うことができる。

そう言って実際に仮面を被ったその男は、異形の魔人、ディアボロスとなって目の前の男――円卓会議のトップの一人を惨殺。
突然の惨劇に恐怖する他の円卓会議のトップ達に対して、魔人と化した黒い男は自身が身に着けた仮面と同質の力を持つ六枚の仮面をそれぞれに手渡し――それが殺戮の宴の幕開けとなりました。

ディアボロス達が顔につけている、あるいは手にして
いるのが、その他者の寿命を奪う力を持つ仮面です。
……元ネタはかの奇妙な冒険の石仮面でしょうか?

後に神祖の仮面と呼ばれることになる最凶の魔道具を手にした円卓会議のトップ達は、自分達が探し求めていた不老不死が実現できるという欲望と仮面から吹き込まれる殺意に飲まれ、同じく魔人と化した黒の男と共に次々と人々を殺害して寿命を奪い始めます。
さらに、円卓会議に所属する企業のうちの二つ、《百目鬼財団》と《ロイガー・ダイナミクス》が月面から採取できる素材を使って、仮面を量産することに成功
これらの量産化された仮面は流石にオリジナルである神祖の仮面と比べると劣るものの、それでも強大な力を秘めており、他者の寿命を奪う力もそのまま持っていました。
これらの量産化された仮面は円卓会議の関連人物に優先的に配られ、仮面を手にして魔人と化した者達は仮面を持たない普通の人間を自分達の糧と認識し、彼らもまた積極的に人々を殺害し始めます。
やがて、仮面の奪い合いも起こるなど、世界中で殺し合いが頻発。
その混乱の中で、さらに効率よく殺しを行うための兵器も開発されました。

魔人達が開発した殺戮兵器その1、プレデター
動物達を魔改造して強力な武装を纏わせた生体兵器です。
しかし、知能が高いプレデターは魔人達に叛逆することも……。
魔人達が開発した殺戮兵器その2、トーチャーズ
呪術的な方法で自動稼働する拷問器具達です。
複数のメーカーで製造されており、
それぞれのメーカーで特徴が異なります。

こうして世界中で寿命を奪い合う殺し合いが頻発する地獄絵図となる中、不死に近いほどの寿命を手に入れた魔人達も出現します。
当初の目的であった不老不死を達成した彼らは、いつしか殺戮すらも永遠の時間という退屈を紛らわせるための娯楽として楽しむようになってしまいました。
そして、最初に魔人となった七人、神祖の七大罪は増大し続けた仮面の力によって人間性を食い尽くされ、何処かへと姿を消してしまったそうです。
現在、七大罪を名乗っているのは円卓会議を構成する各企業の当代のトップ達です。

当代の七大罪の一人、グラ。
彼女の顔についている仮面はオリジナルの
神祖の仮面ではなく複製の仮面の一つです。

総じて黒の世界は白の世界とは逆に『「他者を利用してでも自らの望みを叶えたい」という欲望が、最悪の殺戮を呼び起こし全てを滅ぼそうとしている世界』と言えるでしょう。

ここまでの説明を見ると、赤の世界に並ぶレベルで危険で詰んでいるような印象を受ける黒の世界。
ですが、物語が進むにつれて、本編中の黒の世界の様相は当初、明かされていた情報と異なっていることが判明します。
まず、本来ならばその圧倒的な力で人々を蹂躙するはずの神祖の七大罪が、とある事情から本編の黒の世界には存在していませんでした(実は一人だけ存在していたのですが、彼女もあまり表には出ずに隠遁していたようです)。
さらに本来の黒の世界では死亡するはずのある人物が偶発的に生き残り、その人物が少しでも多くの人々を助けようと行動し、円卓会議の隙をつく形で安全地帯を作ることに成功します

その安全地帯の名は墓城
不死者、ノスフェラトゥの一種である
美しい吸血鬼達が墓城の主です。

強大な神祖の魔人達の不在と、戦いに向かない者達を守る安全地帯の存在によって、黒の世界の戦いは停滞。
結果的に、他の四世界とは異なり決定的な人類の滅びが起こることのない安定した世界となりました。
いかにも五つの未来世界の中で最も殺伐とした当初の雰囲気や、その世界を担当する竜の巫女が(色んな意味で)一際危ない存在であることを考えると、なんとも皮肉な展開です。

……しかし、ここまで紹介したのは世界が新生する前の話。
最新の物語で世界が生まれ変わった後、他の四つの未来世界が何度かの戦いを経た後、現代世界や他の世界と友好関係を模索したのとは対照的に、黒の世界は積極的に現代や他世界に攻撃を行う危険な世界と化しています
この新生した世界での話も、いつか本格的にお話ししようと思います。


5.望むのは繁茂による全一 緑の世界

暴走する大樹が全てを飲み込む植物の牢獄。

緑の世界に進んだ未来では、アフリカの砂漠地帯にてあるNPO団体が実験を行っていました。
その名はリンドヴルム協会
地球温暖化などの環境破壊対策について研究していたその団体は、やがてあらゆる環境に対応し、進化・繁殖できるバイオ植物を開発。
そのバイオ植物の性能試験もかねて、砂漠の緑化実験を始めたのでした。
実際に砂漠の緑化は進み、実験はうまくいったかに見えた……のですが、そのバイオ植物には恐ろしい機能がつけられていました。
それは寄生植物のDNAを用いて付与された強力な寄生能力
件のバイオ植物――後の大樹ユグドラシルは次第に土地だけでなく、動物や昆虫をも侵食し、遂には人間達にも寄生。
大樹に寄生された人類はそのまま大樹の一部となるか、大樹の浸食を受け入れた人類――リーファーとなりました。

植物の寄生が脳にまで及んだ結果、
リーファー達はとてもマイペースで能天気。
イタズラ好きな者も多いのですが、
そのイタズラの内容は洒落になっていないものも……。

実はリンドヴルム協会の創設者だった人物は、強い精神感応能力を持っていたがゆえに、周囲の人間達の醜い心に辟易し、遂には『穢れた魂を持つ人類など滅んでしまえばいい』と考え、大樹ユグドラシルを開発したのでした。
また、それは同時に『一族の悲願だった不老不死を、永遠に繁殖する植物と一体化――全一させることで叶えてやる』という自身の一族に対する当て付けという一面もありました。
創設者は世界中に大樹の種子をばらまくと、自らも大樹と融合
凄まじい勢いで成長する大樹が、世界の全てを飲み込もうとします。

その大樹と一体化した創設者もカード化されています。
人間時代の彼女の苗字は『百目鬼』。
……少し上の方にもそんな名前で
不老不死を求める団体が出てきましたよね?

大樹によって全てが飲み込まれようとする中、生き残っていた人類は一縷の望みをかけてある研究を始めます。
それは大樹の浸食に耐える新人類の研究
彼らは植物に寄生されてもそれに適応して生存した昆虫達、プラセクトの因子を人間に投与することで、大樹の浸食に抗うことができないかと考えたのです。

大樹の影響で成長したプラセクト達はかなりの巨体。
SAMPLEの文字でわかりにくいですが、このイラストの右側、
クワガタムシの顎の部分に人型のゼクスがぶら下がっています。

その実験によって多数の死者が出ましたが、やがてある青年がプラセクトの因子に適合することに成功します。
その青年は体の一部が植物になるような代償はあったものの、リーファー達のように精神を侵食されることはなく、人としての心を保ったまま大樹の強大な力を取り込むことに成功したのでした。
さらに、彼の血液から大樹の浸食に対抗できるようになる薬――ソーマワクチンが開発されます。
このソーマワクチンを接種した者達は多少、植物の浸食を受けたものの、人としての精神性と大樹由来の長命さと強大な力を持つ新人類、ホウライへと進化を遂げたのでした。

ホウライ達の頭に生えている角のようなものの
正体が侵食してる植物の枝や茎です。
ですが、それ以上の悪影響はないそうです。

このソーマワクチン開発と前後して、大樹ユグドラシルの根が地殻を突き破り日本の高千穂に出現。
まるで竜のごとく荒れ狂う大樹の根――《モウギ》を止めるべく、先述のソーマワクチンを生み出した青年と、彼の血液から直接作り出されたワクチンを接種してホウライとなった九人の兵士が出撃。
死闘の果てにモウギを沈黙させることに成功しましたが、件の青年はモウギに取り込まれる形で眠りにつきました
その後、九人の兵士達はそれぞれにホウライ達のリーダーとなり、後に原始の九大龍王と呼ばれることになります。

また、どうもモウギは単なる根ではなく、本体とも深く関わる部位でもあったようで、これ以降、大樹の浸食は鈍化します。
後にモウギは『大樹ユグドラシルの末端にして、本体』と評される場面もありました。

ホウライ誕生と同時期に動物達の因子を取り込んで
大樹の浸食に抗う研究も進められており、
その結果、獣人ライカンスロープが誕生しました。

大樹の浸食に対抗できるホウライとライカンスロープの誕生と、大樹の勢いが弱まったことで、何とか人類は命脈を保つことができました。
ですが、根本的な問題である大樹そのもの対処することは不可能でした。
切ろうが焼こうが、いくらでも再生するためです。
緑の世界の竜の巫女曰く、

「万が一の万が一、地表のユグドラシルがすべて焼け落ちたとしても、大地深くに根付いた末端が、年月をかけ、ふたたび緑を蘇らせる。」

とのこと。
生き延びた人類はやむなくまだ大樹の浸食が及んでいないわずかな地域を開拓して暮らすことを余儀なくされました。

ホウライやライカンスロープ達が新たに作った集落は近代以前の農村のような簡素で素朴なもの。
都市部から離れた影響で科学……というか、機械技術はかなり衰退しているようで、車のような複雑な機械やミサイルなどの高火力の兵器などは見当たりません。
銃器は存在しますが、それらも戦国時代辺りの旧式なものを作るのが手一杯なようです。
また、肥えた土地のほとんどが大樹に浸食されたため、農業も一苦労。
実際、緑の世界出身のゼクス達が

「(食べ物の)味は二の次だしな。食えりゃぁいいんだよ!」
「あっち(緑の世界)とこっち(現代世界)とじゃ、天国と地獄くらいの差があるかなぁ〜。」

と語るなど、緑の世界は極めて過酷な世界です。
完全に気候が死んでいない分、赤の世界よりはましというレベルでしょう。
時には花粉の霧なる現象すら起こるのだとか……。
花粉症の身には地獄すぎる環境です。

それでも緑の世界の住人達は過酷な世界を耐えて、耐えて、耐え続けて……数千年もの時が流れました

ホウライは200歳で若造扱いされるほど長命ですが、
そんな彼らが何代か代替わりしています。
画像の女性は先代娑伽羅(サーガラ)だった父の跡を継いで
新たに八大龍王となった当代の娑伽羅です。

それでも人類達は生き延びていましたが、それも徐々に限界が近づいていました。
動きが鈍化したとはいえ、大樹はなおも浸食を続けており、大樹の影響を受けたプラセクト達も生き延びた人類の脅威となっています。
事実、ライカンスロープたちの集落が大樹に飲み込まれて徐々にその数を減らしたり、原始の九大龍王の一人が中心となって誕生した国、千年國がプラセクト達の大群の襲撃で壊滅するなど、人類は確実に追い込まれていました。

ライカンスロープ達のリーダー、五頭領
かつては二十頭領など、もっと数が多かったそうですが
集落が次々と壊滅した結果、現在の数になったそうです。

そのため、現代に繋がるブラックポイントが開いた後は、住人達は我先にと緑の世界から脱出
今も緑の世界に残っているのはかの大樹とプラセクト達だけなのだそうです。

また、あまりに長い年月が経過した結果、先述のモウギとの戦いについての記録も失われており、現在のホウライ達のリーダーである八大龍王の中には、自分達の本当の祖先であるソーマではなく、彼を取り込んだモウギを神聖視し、さらにはそのモウギを利用して強大な力を手に入れようと目ろむ者も出るようになりました。
一方で他の未来世界の侵攻から民を守ることを優先する八大龍王もいるなど、かつては大樹に対抗するために一致団結していた(もちろん、中には自分最優先の悪人もいましたが)緑の世界の住人達でしたが、それぞれの目的の違いから徐々に溝ができ始めていました……。

総じて緑の世界は『「他者の悪意の拒絶」という防衛本能が、人類を否定し、全てを一つにすることで滅ぼそうとしている世界』と言えるでしょう。


6.次回に続きます

未来世界の概要については以上になります。
今回、出した情報は主に公式HPの各世界の状況などを参考にしました。
こちらもご参照ください。

ところで、ここまでの説明を聞いて「あらゆる未来で破滅を招くなんて人類はどこまで愚かなんだ」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
確かにそれは一面の事実なのですが、白の世界の説明の時にも触れたように、このような事態になっているのは人々やゼクス、そしてそれぞれの世界を守護する竜達を目の敵にするある存在が各世界の運命を捻じ曲げているのが根本的な原因です。
それが何者なのかはまたいずれ……。

とりあえずは今回はここまで!
次回からはいよいよ物語の主人公であるゼクス使い達と、それぞれの活躍についてお話ししていこうと思います。
それではまた次回!

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