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デュエプレにおけるMRCロマノフの歴史

15弾で収録され21弾でND落ちするまでデュエプレのニュー・ディビジョン環境(以後ND)を支配し続けた《煉獄邪神M・R・C・ロマノフ(以下MRC)》とそのデッキの変化について歴史をまとめ、考察する。
なお本文では《》でカード名を、【】でデッキ名を書く。
各カードもしくは各デッキの詳細な解説はより実績のあるプレイヤーに任せ、このnoteは全体的なMRCの歴史についてのみ解説する。
各段のデッキリストはBEANS様より許可を得てお借りした。

22/7/9 DMPP-15 「超覚醒嵐舞 -FIRESOULS DUELIST-」


《MRC》が初登場した弾。《お清めトラップ》擁する【ネクラ超次元】との抗争が激化したが、優勢を維持し続けた。3コストのシステムクリーチャーが継続的に墓地を増やし、墓地が増えたら本体もしくは《魔光蟲ヴィルジニア卿》から走り出せる構成を取る。
《魔弾 ベター・トゥモロー》や《煉獄と魔弾の印》からワンショットを狙う型や《デッドリー・ラブ》によって毎ターン《MRC》を発射してリソース差を付けるデッキが産まれた。
カードプールの不足が原因なのか、この時期はコンボデッキにずいぶんと寄せた構築になっている。

15弾ベタートゥモローワンショット型
15弾デッドリーラブ型

22/9/29 DMPP-16 「ファースト・オブ・ビクトリー -激竜王の目覚め-」


新弾では《地獄門デス・ゲート》や《スーパー炎獄スクラッパー》など強力なトリガー呪文を得て受けも十分に硬くなり、最強デッキの座を維持し続けた。
十分に墓地があれば手札が無くなっても1枚からゲームをひっくり返す《魔光蟲ヴィルジニア卿》や、それを蘇生する《インフェルノ・サイン》《地獄門デス・ゲート》など、トップ解決力が極めて高いのもこの時期のデッキの特徴。
17弾以降の【呪文型MRC】に比べて、システムクリーチャーで墓地を増やす都合上、新たなる墓地メタ《サイバー・N・ワールド》の対処が面倒。《天雷の導士アヴァラルド公》のND落ちによる【ネクラ超次元】の衰退はそのまま《お清めトラップ》の衰退になり、デッキの立ち位置の向上が見られる。

16弾前期

22/10/27殿堂改訂

《魔光蟲ヴィルジニア卿》がDP殿堂入りとなった。《魔光蟲ヴィルジニア卿》との相性を見込まれた《邪眼銃士ディミトリ卿》や《インフェルノ・サイン》が抜け、《MRC》本体を回収できる《ライク・ア・ローリング・ストーム》や《プライマル・スクリーム》、《超次元リバイヴ・ホール》の増加が見て取れる。《特攻人形ジェニー》のハンデスや各種除去で遅延しながら墓地を貯める除去コントロールに寄ってきた。

16弾後期

22/11/14 DMPP-17 「ライジング・アライズ -希望の王女-」

《魔光蟲ヴィルジニア卿》や《ライク・ア・ローリング・ストーム》のND落ちに加え、《どんどん吸い込むナウ》や《勝利のガイアール・カイザー》によって盤面処理能力に長けたデッキが流行し、これまでのように低コストのシステムクリーチャーを維持するのが難しくなった。
そのため後に【呪文型MRC】と呼ばれる、《ヴォルグ・サンダー》の高い墓地肥やし能力に目をつけ、3コストチャージャー呪文→5コスト超次元呪文の流れを強く意識した構築に変化した。《ヴォルグ・サンダー》の価値を高めるためクリーチャーの数を《特攻人形ジェニー》《邪眼獣ヤミノオーダー》《MRC》各4枚の計12枚、もしくはそれ以下にする構築が主流となる。デッキの性質は除去コントロールから、《ヴォルグ・サンダー》の対処を迫りアドバンテージ差を付けるデッキに変わった。
チャージャーでマナを伸ばし超次元呪文1枚で墓地を一気に増やすこのデッキは、強力な墓地メタである《Nワールド》を乗り越える力を有していた。

17段前期

22/12/16 DMPB-03 「LEGEND OF PLAY´Sレジェンド オブ プレイス 2023」 DMPS-08 「燃えよ紅蓮のガイアール」DMPS-09 「咆えろ漆黒のガロウズ」

《プライマル・スクリーム》のND落ちや《サンダー・ティーガー》の評価見直しが進んだ結果、《超次元ライデン・ホール》まで入れた超次元偏重の【呪文型MRC】が流行する。実質選ばれない《レッド・ABYTHEN・カイザー》を出せる《超次元シューティング・ホール》を採用する動きも見られた。
《お清めトラップ》がND落ちしたが、すでにあまり見ないカードに成り下がっていた。代わりの墓地メタとして《埋め立てロボ・コンクリオン》が再録されたが、カードパワーが低く採用が広がることはなかった。

17弾後期

23/1/16 DMPP-18 「ゴールデン・ビクトリー -天頂開戦-」

ここに来て全く強化もND落ちによる弱体化も無い、【呪文型MRC】にとって変化がない弾となった。正確に言えば《邪眼銃士ディミトリ卿》がND落ちしたが、墓地回収の手段が多くない【呪文型MRC】に採用の余地は無い。文明も墓地利用方針も合う《ボルメテウス・リターンズ》《ボルメテウス・ブラック・ドラゴン》が登場したが、やはり【呪文型MRC】との相性が悪く対人戦で広く使われることはなかった。

18弾

23/3/23 DMPP-19 「グレイト・ディスティニー -希望の双子-」

【アガサ天門】に対抗すべく《超次元シューティングホール》を採用した形が流行した。超次元ゾーンには《激沸騰!シャチホコ・カイザー》を採用し、継続的なハンデスを狙いとする。
【青単リキピ】の流行により序盤のブロッカーに需要が出たことで、新たに登場した《ホネンビー》を採用した【クリーチャー型MRC】へのデッキタイプ変更がこの時期の特徴。もちろん3→5のプランを厚く取った【呪文型MRC】も依然大きな勢力を持ち、どちらが優れているかは決着することがなかった。自分のシステムクリーチャーを【超次元ライデン・ホール】で砕くことをパターンの一つとした【折衷型MRC】というのも存在した。
火文明のトリガー呪文枠に《ミサイルバーストG》が入ることもあった。ガチンコジャッジに弱い【青単リキピ】に対してより強力な対抗策を用意した形となる。

19弾クリーチャー型
19弾呪文型

23/5/25 DMPP-20 「レイジ・オブ・インフィニティ -神人類光臨-」

ここに来て【MRC】に大きな痛手となるND落ちがあった。《超次元ミカド・ホール》《時空の封殺ディアス Z》《時空の霊魔シュヴァル》である。
《超次元ミカド・ホール》は呪文型の中核であり、《ヴォルグ・サンダー》を呼び出す以外にも《勝利のガイアール・カイザー》や《時空の凶兵ブラック・ガンヴィート》で2面処理を行ったりと非常に強力な超次元呪文だった。《時空の封殺ディアス Z》《時空の霊魔シュヴァル》は勝ち盤面をより確実にする役割を持ち、速攻デッキに対する「蓋」として活躍した。
《学校男》という《眠りの森のメイ様》対策を兼ねた序盤の優秀な除去を手に入れたが、失った物の大きさを補うほどではなかった。速攻デッキに少しでも抗うべく、《ボーンおどり・チャージャー》ではなく《エンゲージ・チャージャー》を採用されることもあった。
新たなるデッキタイプ【墓地ソース】の主軸である《暴走龍5000GT》や《百万超邪 クロスファイア》に注目が集まったが、いずれも微妙に噛み合わせが悪く、折衷型が広まることはなかった。

20弾

23/6/28 DMPS-10 「激震の鬼ドラゴン」DMPS-11 「ザ・ゴッド・サンクチュアリ」殿堂改訂

《眠りの森のメイ様》《超次元ホワイトグリーン・ホール》のナーフやゴッドの復活などがあったものの、MRCにとって《眠りの森のメイ様》対策の《学校男》の採用が必須ではなくなったことが唯一の変化だった。【MRC】にとってND最後の環境だが、少し寂しい幕切れだったと言わざるを得ない。

23/7/26 DMPP-21 「ジ・オーバー・ロワイヤル -無法神聖紀-」

遂に《MRC》本体がND落ちである。1年間環境を支配し続け、惜しまれつつの引退劇となった。

デュエルマスターズ(紙版)

22/10/23に【デュエマプレイス・コラボデッキ 激竜の英雄&邪眼の始祖】が発表された。その時のMRCのテキストは以下のように「打った呪文が山札の下に行かない」というものだったためプレイヤー間に衝撃が走る。カードプールが20年に及ぶ紙版ではMRCが着地すると勝ちになるループコンボなどが即座に作られた。

紙版MRC修正前

22/10/27にテキスト修正のお知らせが発表され、「打った呪文は山札の下に置く」ことになった。それでもMRCが着地すると概ね勝てるコンボは作れそうだったが、タイミングの悪いことに《絶望神サガ》という墓地を使う歴代最強カードが発表・発売されてしまう。
デッキの強度もコンボの速さも数段劣る《MRC》は以後注目されることなくひっそりと23/2/15に発売された。
多人数戦であるデュエパーティにおいては全員の墓地枚数を参照できるMRCはかなりの強さを持ったカードとして認識されている。
参考デッキリストは以下



BEANS様に各段のデッキリストをお借りしました。ありがとうございます。

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