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新マイナポイントの落とし穴

 マイナンバーカードの保有者を対象として最大2万円分のポイントがもらえる「新マイナポイント」事業に注目が集まっている。当初、公明党が選挙公約として掲げていた3万円から1万円減額されたが、それでも現在、申請が急増している。ただし、マイナンバーカードを作っただけではポイントは付与されないという「落とし穴」がある。

「今年4月末までにマイナンバーカードを作れば5000円分のポイントをもらえると聞き、急いで申請してマイナポイントも登録したのですが……。“2万円分の買い物か、電子マネーに2万円をチャージしないとポイントをもらえない”と後から知り、使い勝手が悪くてがっかりしました」
 前回の「マイナポイント」事業は、今年4月末までにマイナンバーカードを申請した人が対象となった。「5000円分のポイントが付与される」という謳い文句だったために、申請すればすぐに買い物に使えるポイントをもらえるのかと思ってしまうが、実はそうではない。


「そもそも“マイナポイント”というポイントは存在しません。電子マネーやクレジットカードといったキャッシュレス決済サービスとマイナンバーカードを紐づけ、その電子マネーなどで買い物、もしくはチャージをした額の25%がそのサービスのポイントとして還元されるという仕組みです。2万円を消費することで、5000円分のポイントが付与されるということです」
 たとえば楽天カードをマイナンバーカードに紐づけた場合、買い物金額の25%、最大5000楽天ポイントが付与される。今年の年末までの買い物が対象となり、2万円以上利用したら翌々月の25日頃にポイントをもらえる仕組みだ。ただし、そもそも登録したクレジットカードや電子マネーの利用頻度が低い場合、2万円の上限額に達せずに期間が終了し、満額のポイントが付与されない可能性がある。マイナポイントには「登録の仕方が複雑で分かりにくい」という声も少なくない。キャッシュレス決済をあまり利用しない人にとってはもちろん、利用している人にとっても少々ハードルが高いようだ。
 現在、具体化が進められている「新マイナポイント」事業でも電子マネーなどのキャッシュレス決済サービスでの買い物やチャージが必要になるのだろうか。また、新たに導入される予定の「健康保険証の登録」「預貯金口座の紐づけ」をすると、それぞれ7500円分のポイントが付与される予定だというが、それらも電子マネーなどでの買い物額に応じて還元されるかたちなのか、それともすでに紐づけたキャッシュレス決済サービスに無条件でポイントが付与されるのか。事業の詳細について総務省マイナポイント施策推進室に聞いた。
「まだ自民・公明両党の協議結果を受けて、内部の関係部局で検討を始めたばかりですが、5000ポイントについては前回同様キャッシュレス決済サービスの紐づけと買い物などが必要になり、健康保険証や預貯金口座の7500ポイントについては買い物などが不要でポイントを付与する方向で進めています。ただし、実施スケジュールはまだ未定です」
 政府が肝いりで進める「新マイナポイント」。普及の切り札とするなら、使い勝手のいい制度としてほしいものだ。

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