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弓削牧場を訪問しました

みなさま、こんにちは。Green Cities の三浦央稀です。
2024年8月1日、山﨑と三浦が兵庫県神戸市の弓削牧場に行ってきました。


ニュータウンの中に現れる緑豊かな牧場

神戸の中心地 三宮駅から、市営地下鉄に揺られること約10分。神戸電鉄との乗換駅でもある終着の谷上駅から、車に乗って10分弱。坂の多い丘陵地に多くの家が立ち並ぶニュータウンを抜けると、突然異世界の入り口のように弓削牧場が現れます。高度経済成長期に牧場周辺でニュータウンの造成が進み、現在の形になったのだそう。バスも行き来する住宅街にぽっかりと開いた入り口を入ると、それまでとはうって変わって木々に囲まれた心地よい景色に包まれます。急な坂を上っていくと、弓削牧場の牛舎やチーズ工房、レストランが待っています。


チーズを広めてきた弓削牧場

弓削牧場は、まだ日本でチーズが身近な食材ではなかった頃から、飼育している牛の乳を使ったチーズづくりをはじめました。実は、背景には牛乳の生産調整によって価格が下がるという牧場にとって厳しい状況があったそうです。手探りではじめたチーズづくりは多くの失敗を繰り返しながら、大人気の看板商品であるオリジナルの「フロマージュ・フレ」が誕生しました。

弓削牧場のチーズ

しかし、チーズは完成したものの、当時の日本ではナチュラルチーズの食べ方は知られていません。そこで、牧場内にチーズの食べ方を提案する拠点として「チーズハウス・ヤルゴイ」を開業。増築を重ねた現在も、チーズを目当てに多くの人が訪れます。レストランとショップを併設し、カマンベールチーズなど複数の種類のチーズを製造・販売しており、関西圏の高級ホテルでも採用されるなど、多くの弓削牧場のチーズファンがいます。緑の木々に囲まれた素敵な空間で、私たちも弓削牧場のチーズをいただきました。

木々に囲まれたヤルゴイ。神戸のニュータウンにいることを忘れてしまいます

牧場運営の効率化

弓削牧場では、人手と労力がかかる牧場運営の効率化を図っており、牧場でありながら8時間労働・週休2日制を実現。牛舎には欧州製の自動搾乳機が導入され、人の手をかけず、牛にもストレスがかからない搾乳を実現。牛舎の管理にかかる人手はわずか2人だそう。そうして効率化されたことで生じた労力を、チーズの研究・製造や、サステイナブルな事業運営に充てています。

牛舎(右側)から牛が搾乳機に入ると、自動で牛の状態を検知し、搾乳がはじまります

弓削牧場が取り組むサステナビリティ

弓削牧場では、2015年からバイオガスユニットを導入しています。バイオガスとは、家畜の糞尿や生ごみを発酵させて生じるガスのこと。発電をするとエネルギーロスが大きいため、ガスを使ってボイラーでお湯を沸かし、ロボットの洗浄やチーズの製造などに使用しているそう。牧場全体で使用するガスの約半分をバイオガスで賄っているそうです。

発酵タンクとガスの導管

家畜の糞尿などを発酵させると、液体分と固形分が生じます。この液体分は「消化液」と呼ばれ、においが全くなく、栄養が豊富な肥料として使われます。弓削牧場の消化液は有機JAS資材認証を取得しており、牧場のハーブ栽培や畑で使われているほか、この消化液のみを肥料にした米の栽培もおこなわれ、無農薬にも関わらず豊富な収穫量をあげて注目を集めているそうです。固形分は、再び堆肥として牛舎で牛の敷料に(=戻し堆肥)に使います。まさに、サステイナブルな循環の仕組みですね。

発酵タンクの外にある消化液の貯蔵タンク。においは全くありません

先駆的な挑戦を続ける弓削牧場ですが、実はバイオガス発電に取り組むきっかけは、周辺の開発が進んだことで風向きが変わり、住宅地に牛糞のにおいが流れるようになってしまったことがきっかけなのだそう。導入にあたっては、既存のバイオガスプラントは高価だったため、帯広畜産大学や神戸大学農学研究科などと協力し、比較的小規模な投資で導入可能なバイオガス発電システムを独自に設計。他の牧場や農家にも持続可能な仕組みが広まることを目指しているそうです。


(左から)弓削牧場の弓削忠生さん、山崎、弓削和子さん、篠原杏子さん

今回の訪問は、山崎とポートランド時代から関わりがある、現在も米ポートランド在住の篠原杏子さんのお誘いによって実現しました。弓削牧場をはじめ、全国の様々な取り組みを学びながら、サステイナブルなまちづくりをさらに推進していきます。


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