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読書感想 「星美くんのプロデュースvol.3」




ネタバレなし感想


リアルで3回泣きました、ありがとうございます。


星美くんが、過去のトラウマの元凶と、そして自分の『好き』と改めて向き合う今巻。
傷ついて、苦しんで、泣いて、それでも顔を上げてまた笑う。
あなたが隣にいてくれるから……

この作品を好きになってよかった。推してて良かった。
そう心から思える、素晴らしい最終巻でした。
「星美くんのプロデュース」ファンとして、作品の最期をこの目で見届けられたことを嬉しく思います。

もう二人のこれからを見届けらないことがすごく辛い。
二次創作でも書こうかな。

悠木りん先生、花ヶ田先生
本当の本当にありがとうございました!
お二人の今後の創作活動に幸あらんことを、心から願っております!



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ネタバレあり感想


もう、感無量です。ロスがすごい。
いまだに余韻に浸ってます笑
今後この作品を超えれる作品なんて出てくるのだろうか、と本気で思ってしまうくらい素晴らしい巻でした。

「星美くん3巻もちょっと重くなる(当社比)」
「3巻は過去最高クオリティになってる」
「後半は怒涛の展開で、仕事ということを忘れて読み耽ってしまいました」
悠木先生や大米編集者様の言葉で覚悟はできていたつもりだったんですけど、いとも簡単に私の情緒はぶっ壊されてしまいましたね笑


今巻は、我が推し・星見くんのスポットが当たる巻だったんですけど。
中盤がね……もう……本当に辛かった……。胸が苦しくなった、どころの話じゃないですよ。
でも、この苦しさは私の大好物です!

かつて受けた傷は未だに癒えず、目立っていないとしても確かに根を張ってそこにある。
『好き』を否定される恐怖と、『好き』から逃げてはいけないという重圧。
そんな二つに板挟みされて、どんどんどんどん重くなっていって。
それを持つこと自体がしんどくなってきて。

でも、心寧ちゃんが隣にいて手を握ってくれたから、荷物を一緒に持ってくれたから、星美くんは苦しさと向き合うことができた。
自分で自分の『好き』を肯定することができた。
だから、本当の意味で、痛みから逃げずに立ち向かえたのでしょう。

二人ともが相手の存在に心を救われていて、そしてこれから先も、一番近い位置でお互いを支えあっていく。
改めて、お似合いの二人だなって思いました。


もう、心寧ちゃん! あなた最高のヒロインだよ!
3巻になった今でも、そのウザさと陰キャ具合は健在。もはやネタと化している自虐とコミュ障は、シリアスな場にも関わらず心安らぎました。
しかし今巻は、1,2巻と比べて明らかに、心寧ちゃんの素の性格の良さが溢れていたと思います。

星美くんの綺麗事に救われた心寧ちゃんだからこそ、星美くんを想う気持ちだけは誰よりも強く・熱く・必死でした。
苦しみすらも分かち合いたいと歩み寄って、たとえ力になれなくても彼の隣にいたいと強く願って、弱さも丸ごと肯定して。
こんなにも大きな想いを向けられたら、隣で救いを与えてくれたら、そりゃ星美くんも好きになっちゃいますよ。

この作品のヒロインが心寧ちゃんでよかった、と心から思いました。
あの踊り場で出会えたことは運命だったんですよ、きっと。


そして、今巻を語る上で欠かせないのが、かつての幼馴染・未羽美憂。
この子に関しては、悠木先生の腕がスゴいな、とすごく思いました。

プロローグで「あー、こんな過去が。じゃあ過去の出来事もまぁ許せなくはないかぁ……」と思わせておいて、
再会後の初めての会話で「なにコイツ?! めっちゃ嫌いなんだけど!」となって、
でも、断章とかプロデュース時で「この子も並々ならぬ事情があるんだもんなぁ……」と許しかけて、
でもでも、放課後デート前のやりとりとか、星美くんの部屋での一件で「コイツ、ほんま一回地獄に落ちろ(過激派)」と思って。

手のひら球体関節か、ってくらいクルクル回りました笑
悠木先生の手の上で転がされてるなぁ、と読み終わって気づきましたね。

未羽美憂、星美くん推しの私にとっては地雷でしかなかったんですけど、全部ぜんぶ憎むことはできない。
そんなキャラでした。


リアルで3回泣きました。
小説でこんなに泣いたの、これが初めてかもしれません。
悠木先生、読者の心を揺さぶる文章を書くの上手すぎませんか?

幼少期星美くんの辛い過去と、その時のお母さんの想いと、最期でまず泣く。
そして、未羽美憂 VS 心寧ちゃんでの、心寧ちゃんの怒りと想いで再度泣く。
そして、扉越しの星見くんと心寧ちゃんの2人の対話で号泣する。

もう情緒ぐっちゃぐちゃですよ、どうしてくれるんですか!(誉め言葉)
しかも、感想を書くために読み返してきたら、またウルッときましたし、もうー!


星美くんのお母さんの話は、過去の星美くんの叫びも含めてしんどかったです。
自分の『好き』を世間に否定された日が、自分の『好き』をたった一人に受け入れられた日で、愛する母の命日になった。
しかも、母の事故死には間接的に自分が絡んでいる。
……何ですかこの拷問。途中に救いがあった分、余計に辛すぎましたよ。
ありがとうございます(?)

受け取ってきたものが、本人すら意識しないうちに切り落とされ、削りとられて、
本来とは違った形を成してしまう。
そこに確かにあったはずの愛情が、いつの間にか呪縛に変わっていってしまう。
「愛ほど歪んだ呪いはない」とは言いますが、これはいくらなんでも悲しすぎますよ。
そうすることでしか、幼少期の星美くんは自分の『好き』の気持ちを保てなかったのかもしれませんけど……

「可愛いものを好きでいていい」
「似合わないって言われても、その何倍も、何十倍も、似合ってるって言い続けてあげる。可愛いって言い続けてあげる」
「お母さんが次郎のこと、可愛くしてあげる!」
かつて心寧ちゃんに言っていたものと似た言葉をここに持ってこられて、
そして私の頭の中で1巻の
「誰かに言ってほしかった。その言葉で、この身の内で僕自身が僕を否定する声を、かき消してほしかった」
という言葉がリフレインして、見事情緒がぶっ壊れました。
ありがとうございます(?)


未羽美憂 VS 心寧ちゃんは、もう
「いけーーー心寧ちゃんーーー、その性根の腐った女を叩きのめせーーー!」となってました笑
p.242 の怒りとか至極その通りでしたし。
星美くんとのこれまでと、一言では片づけられない星美くんへの想いを語る地の文とか、二人が歩んできた過程をずっと見てきたからこそ、こんなにも深くふかく私に刺さったんだと思います。
p.248の心寧ちゃんの決意とか、こんなの嫌いな人いないでしょうよ、ってくらいに自分も熱くなりました。最高です。


そして、扉越しの2人の対話ですよ。
「人と人は完全に分かり合うことはできないけど、それでも分かり合おうとしてくれる人がいるだけで救いになる」
店長さんの言葉どおりでしたね。

頑なに心を閉ざす星美くんに向けて、
心寧ちゃんが不器用に、たどたどしく、けれど真っ直ぐに語ったいくつもの言葉たち。
星美くんの乾ききった心に、慈雨のごとく降り注いだ心寧ちゃんの言葉と想いは、感情移入しすぎて涙なしには読めませんでした。

もっともっと語りたいのに!
この場面の事を語り尽くすには、この余白は狭すぎるんです!


星美くんが、自分の好きな格好で学校に通う。
いつか読みたいとは思っていたんですけど、まさか本当に叶ってしまうとは……。

いくら決意を固めても、隣に心寧ちゃんがいてくれても、完全に恐怖心がなくなる訳じゃないから、思わず手が震えてしまって。
そんなところに、かつて星美くんに言われた
「誰が否定したって、ボクだけは絶対に君を否定しないから」
の言葉を、今度は心寧ちゃんが言うのは反則でしょうよー!

しかも、クラスメイトが温かく受け入れられている場面で、p.287にいくつもの美しい表現が出てくるんですよ!
もう、スゴいな、としか思えませんでした。
やっぱり悠木先生の書く文章、好きです。


これで……終わり……? う、嘘でしょう?
あの、ガガガ文庫さん。せめて、あと一冊、あと一冊だけでも出してくれませんか?
後日談って感じで。

だって、2人のイチャイチャ成分が圧倒的に足りないじゃないですか!
しかも、花ヶ田先生の冬要素の入った表紙も欲しいですよ! そしたら、春夏秋冬で四季コンプリートになりますし!

本当に……どうかお願いします……腎臓を片方売れば足りますかね?


花ヶ田先生のイラストがね、もう最高です。
語彙力がなくなるのも許してください!

表紙をめくったら満面の笑みを浮かべた星美くんがいるわ、
代々木公園でシミラールックの服を着た二人がいるわ、
照れてる星美くん&キラキラ目の心寧ちゃんがいるわ、
量産型星美くんがいるわ、
涙を流しながら激怒している心寧ちゃんがいるわ、
扉越しに向かい合う二人がいるわ、
クラスメイトに暖かく受け入れられる制服姿の星美くんがいるわ、
晴れて恋人になった心寧ちゃんの笑顔と、繋がれた2人の手が最後に描かれてるわ。

…… 私 を 殺 す お つ も り で し て ?
でも先生、ありがとうございます。見たいものが全部詰まっていました。
最後にこれらを見ることができて、すごく嬉しかったです。
これで、心置きなく成仏できる……


ここで終わってしまったことが本当に惜しい。悠木先生と同じくらい、私も寂しい……。
それでも、
たかがそんなことで、「星美くんのプロデュース」という作品に出会えた、私のこの喜びは消えません。
今はただ、打ち切られることなく、無事に完結まで走り抜けてくれたことに、心から最大級の感謝を贈りたいと思います。

悠木りん先生
約一年間、彼らの物語をその巧みな文章力で丁寧に描いてくださり、本当にありがとうございました!

花ヶ田先生
シリーズを通して、可愛くてオシャレで最高に可愛いイラストを描いてくださり、本当にありがとうございました!

大米編集者様
この作品の誕生過程から、内容のブラッシュアップ、表紙イラストなど、様々なことに手を回してくださって、本当にありがとうございました。

そして、この作品の制作に携わった全ての方々へ
本当の本当にありがとうございました!

皆様のお力添えがあったからこそ生まれた「星美くんのプロデュース」を、私はとても愛しています!!!
今までも、これからも、ずっとずっと大好きです!!!



(あ、流石にこの分量の感想はキモかったですかね? ごめんなさい)



BGM

3巻)
SUPER BEAVER 「幸せのために生きているだ
        けさ」
        「361°」

シリーズ全体)
 Aqu3ra feat. 初音ミク「アイスドロップ」


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