7/1分 第60作 テーマ:一輪挿し
一輪挿しにぽつんと刺さったひまわりを、朝日が照らす。
毎朝目覚めると同時に目に飛び込んでくる光景だ。
たった一本で立つひまわりが、陽光を浴びて輝く。
いや、見る角度が違えば、陽光を浴びてすっと影を落としているようにも見える。
俺はふと思う。なぜ一輪挿しに立つ花は、こんなにも美しいのだろうか。
一輪の花よりも花束の方が断然きれいなはずなのに、一輪挿しにささった花は、花束の中で咲くどんな花よりも輝いてみるから不思議だ。
人間に置き換えてみると合点がいく。皆で一緒に行動し、群れている人間よりも、自分の足で、たった一人で、立っている人間の方が美しく見える。
「人は人で磨かれる」「人は他人の鏡に映ってこそ輝く」。
そんな風に聞いてきたけれど、実際は一人で立っている人間の方が輝いて見える。
なんと不思議な現象なのだ。
……そうか、わかったぞ。一輪挿しにささった花、1人で立っている人間が美しく見える理由。
きっとそこに至るまでに、たくさんの人の思いと支えに触れてきたのだ。
1人で立つようになって初めて、そこに対する感謝が芽生え、その感謝で立ち、輝いているのだ。
1人で立つようになるまで、きっと身につかないどころか、理解することすらままならない、そんな貴い輝きだ。
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