観測者SS"アイドルは異常生態!?"

「かちょー...持ってきましたよー...うへぇ...皆散り散りになってるから集めるの大変でしたよー...」
異常生態課のエルシィが何らかの書類を集め、異常生態課の部屋へと持ってきた
「ご苦労、エルシィ君」
課長のセルシウスがエルシィから書類を受け取る
「さて、おさらいしておこう、今回我々はとある異常生態課の局員を調査することになった」
「あの人ですよね...ええと確か...」

「異常生態課のアイドル!ミミちゃんだぞーっ☆」
異常生態課の、所謂『モブ局員』のミミ・ガルシア
自称『異常生態課のアイドル』であり、フィールドワークに頻繁に出かける局員だ
多くの局員の観測に同行する事からその名を知るものは一定数居るらしい
本人曰く、昔から勘が鋭いという話らしいが...

「私も以前、ミミさんが同行してきた時があったんですよ
調査の途中、洞窟内部で迷ってしまって...
そしたらミミさんが勘で進み始めて、しばらくしたら出口に着いたんです
あの時はミミさんに感謝したんですが...
よくよく考えたら、あまりにも勘が鋭すぎる気がするんですよね...」
「そう、その局員を調査する理由は『勘の鋭さ』だ」
セルシウス課長が机の上に書類を並べる
「そこで、ミミ局員に同行したことのある、もしくは接触した事のある局員にアンケートをとった」

一般局員(執行部代理)A
いやー、まっさか自分より先に対象オーパーツを発見するなんて、ビックリしちゃったッス
あの子、随分勘が鋭いんじゃないッスかー?
あと、異常生態課のアイドルって何ッスかねぇ?
まあいっか!面白いし!!
執行部V
サボってたらアイドルとか言ってる局員に「もうすぐ役員さんが来ちゃいそうかもー☆」なんて言い出すから急いで準備して別の部屋に逃げ込んだらさっきまで居た部屋にTAKEさんがすっごい形相で入っていったよ...あっぶなかったー...
まあそのあと捕まったけどね
異常生態課Ki
観測中に左腕の鎧がどっか行っちゃって、一緒に探してたんだけど急にその子が近くの木登り始めたんだ
そしたらそこに巣を作ってたリスみたいな生物が勝手に持っていってたみたいなんだ
普通あんなの気付かないって...やっぱり勘が鋭いんじゃないか...?
異常生態課A
いっしょにがけのちかくをかんそくしててねー
そのこが「そっちは危ない気がするんだー...」なんていうからちょっとまってたらいきなりいわなだれがおきてびっくりしちゃったんだ
ぼくもかんはいいほうだとおもうんだけど、あのこはぼくよりかんがいいんじゃないかなー
異常生態課W
おやつくれた
あいつ いいやつ

「...と、他にも何枚もあるが、どれも彼女の『勘の鋭さ』を記しているのは確かだ」
「...1枚全く関係ないですけど」
「...まあW君だしな」
「W君ですしね」
「まあそれは置いといて、私はある仮説を唱えたい」
「...というと...?」
「異様なまでの勘の鋭さ
彼女はもしかしたら『異常生態』なんじゃないか?」
「...勘が鋭いから『異常生態』...ですか...?」
「あの勘の鋭さ、言い換えれば一種の予知能力だ
生まれながらにして持っているならその可能性がある
例えば、他の人間にはない器官が備わっているか、脳の構造が異なっているとか...
その可能性は決して否定出来ない」
「確かに...あれはもうほぼ予知能力みたいなものですしね...」
「...だが、彼女の勘の鋭さをさらに立証する必要がある...そこでだ」

---

「はーい☆異常生態課のアイドル!ミミちゃん!!ただいま招集に応じましたー☆」
アイドル...なんて言う割には普通にラボコートを着てきた礼儀正しいアイドルがやってきた
「やあどうもミミ局員、早速だがここに座ってくれ」
セルシウス課長が席に案内する
椅子の前には長テーブル、その上にはいくつかのコップが置かれていた
「君にはちょっとしたテストを受けて貰いたい、とはいえそんなに重いものでは無い、気を楽にして受けて欲しい」
「あ!これもしかして、コップの中に1個だけボールが入っててー、ぐるぐるーってして、どこに入ってるでしょーかっ!ってやるやつでしょー!」
...テスト開始前から早速勘の鋭さを発揮してしまっている
とはいえ、この光景を見ればある程度予測はつくだろう、まだ想定の範囲内だ
「ふむ、テスト内容を知っているなら話は早いな、エルシィ君、早速始めてくれ」
「え"...私がやるんですか...?」
「当然だ」
「これねー、ミミすっごく得意なんだよー☆
友達にもいっつもすっごーい!!って言われるの☆」
「なるほどなるほど...では、いきますよー...」
エルシィがコップをすり替えていく
真ん中が右へ、左が真ん中へ、右が左へ...そうして位置を何度も入れ替えた後にピタリと止める
「...さあ、ボールはどこへ?」
「えーっとぉ...左!」
「...ほんとだ、正解です」
「やってる本人が場所わからなくなってどうする...」
「ねー☆言ったでしょー☆」
「なるほど...では少し難しくしましょうか」
セルシウスがコップを二つ増やす
「よゆーよゆー!いつでもいーよー☆」
「それでは...いきます」
さっきの1回でコツを掴んだのか、エルシィは先程よりもスムーズにコップをすり替えていく
...当然、もう本人もどこにあるのか分からない
「...はいっ、さて、ボールはどこでしょう?」
「右から2番目っ!」
コップの中身は...ボール入っている、当たりだ
「ふむ...まあここまではただの記憶力のテストにも使われる程度のものだ
本番はここからだ」
次に、ミミ局員に目隠しをつける
「あのー、次は何をやるんですかぁ?」
「やることは先程と変わらない、数は最初と同じ3つ、どのコップにボールが入っているのかを当ててくれればいい、目隠しをした状態でだ」
「えー...さすがに難しいかもー...なんて☆」
「難しい所の話じゃないですよ課長、さすがに無理なのでは?」
「ミミ君の勘の鋭さが本物なら可能なはずだ、ところで、今どのコップにボールが入っているかわかるか?」
「えぇっとぉ...右...かな...?」
(あってるのかエルシィ君...)
(...課長、あってます...)
「...さて、始めようか」
合図を受け、エルシィがコップをすり替える
普通なら目隠ししたら決してわかるはずがない
これで正解したならより勘の鋭さが証明されるが...
「はいっ...ボールはどこでしょう?」
「えー、わかんなーい...真ん中?」
「...うっそ...」
「エルシィ君?」
「...あってます...」
「やったぁ!!ミミ超能力者かも☆」
(マジでその可能性あるんだよなぁ...)
「さ、さて、次のテストを行う」
そう言うとセルシウス課長は別のコップを出した
「今テーブルの上にはそれぞれ色の違うコップが置かれている
赤、青、黄、の3色だ
先程と同じようにコップをすり替える
そして、目隠しをしたままどれでもいいからコップを手に取ってくれ
手に取ったコップの色を当てて欲しい」
「鬼ですか課長...」
「えぇー...無理無理ぃ...」
「まあものは試しだ、始めてくれ」
もう何度目だろうか、エルシィがコップをすり替え始める
もはや不可能なレベルのテスト、これに正解すれば、『異常な勘の鋭さ』が立証される...
「...はい、どれか好きなコップを手に取ってください」
「はぁい、うーん...あ、あった!じゃあこれっ」
ミミ局員がコップを手に取る
「ミミ君、そのコップは何色かな?」
「うーんと、青ー、どことなーくひんやりしてるからー☆」
持っているコップの色は...
「...青だ」
「青...ですね...」
当たってしまった、これで『異常な勘の鋭さ』が立証されてしまった
「えー!当たったのー!?すっごいすっごーい☆」
(...課長、次は...?)
(ああ、テストは終わりだ、ここからは検査を行う)

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医務課 医療室
「あのぉ...どうして医務課で検査する必要があるんですかぁ?」
「すみませんね、再検査があったのですが、不手際で通達がミミさんに届いてなかったようです」
「再検査かぁ...」
ナズナ局員によってミミ局員の検査が行われている
その外で、セルシウス課長とエルシィ局員が話していた
「医務課に予め協力を要請しておいた、再検査という体でミミ局員の検査を行う
入社直後の検査よりもより精密な検査を実施する」
「これで、ミミさんの勘の鋭さの秘密がわかるんですかね...」
「恐らくはな...」

「あのう...婦長さん...」
「はい、どうかしましたか?」
「...私、わかっちゃったんです、どうして検査されてるのか...」
「...!」
「...婦長さん...私の秘密、内緒にしてくれますか...?」
「...はい、内緒にしますよ...」

---

「セルシウスさん、検査終わりましたよ」
「ああ、協力ありがとう、ナズナ婦長」
「まず、結果ですが、血液検査、レントゲン、CTスキャン、血圧、体重、その他もろもろ...どれを見ても...至って普通の人間です」
「...え、普通の...?」
「ええ、健康体です」
「...ナズナ婦長」
セルシウス課長がナズナ婦長に問い詰める
「...何か隠してる、そうですよね?
隠さなければならない程の『異常』が見つかった
だとしても、隠し通していい理由にはならない
我々観測者は世界を『観る』のが使命、そうじゃないか?」
「...セルシウス課長にはかないませんね...
本人には秘密にしてくださいね」
「ああ、わかった」
「...ミミ局員は...」
「...(ゴクリ)」
「...(ゴクリ)」





「食堂のご飯が美味しくってついつい食べすぎちゃって、それで今回再検査になってしまったんじゃないかって心配してたんです
女の子なんですからそういうのも気にしてしまうんですよねぇ、...内緒ですよ?」
「...あぁ...」
「なるほどなるほど...つまり...」
「ええ、彼女は...」
「ミミ局員は...」
「ミミさんは...」






「「「ついつい食べすぎちゃう異常なまでに勘が鋭い至って普通の人ってこと!!!!」」」



「...つまり、余計ややこしくなっただけか...」
「もー!!ワケわからーん!!!」





「今日の食堂のご飯はぁ...ナポリタンかなー?粉チーズたっぷりかけちゃお☆」
その日、食堂では山盛りのナポリタンが出された







局員データ:ミミ・ガルシア

外見
金髪ツインテールって事しか決まってない
能力一覧
戦闘:1
マイクより重いものは持てません!ぷんぷん!
(なお木に登りながら鎧の片腕は持てる模様)
観測:7
後述する『勘の鋭さ』によって対象物の発見力はピカイチだが専門知識に乏しい為若干のマイナス
情報:3
可もなく不可もなく
普段はあんな立ち振る舞いをしているが提出する書類は全部真面目、いい子
抵抗:3
普通、体は一般人なので特に無し
外交:4
アイドルなので自分の売り込みもしちゃうのでちょっとだけ高い
特殊:10?
異様なまでに『勘が鋭い』
もはや未来予知レベルにまで達しているそれは
一時期異常生態なのではないかと疑われいたが
勘以外は至って普通のアイドルである
今でも異常生態課を筆頭に調査、検査が続いているが未だに『勘』の正体がわかっていない




「みんなー!ミミが夢中にしてあげるっ☆」




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